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ID.5000
 
■投稿者:tonakai 
■投稿日:2018/06/02(土) 19:04


転生したおっさんは元飼い猫とデジモンやっています1−4
「死んだふりか、死んだとこっちが勝手に思い込んだか」

「後者でありましょうな、別個体の可能性もぬぐえませぬが」

刹那、2体の黒いデジモンの周囲が青い渦に発生する。

「まずい! ムシャモン、遠慮するな、全力でたたっ斬れ!!!」

「承知っ!!」

アスタモンが焦り、ムシャモンが指示どおり飛び掛る。

「切捨て……御免っ!!!」

ムシャモンの必殺剣がうなる。
しかし、

「なんとぉぉぉおおおおお!!」

斬りつけた瞬間、弾き飛ばされた。

「っの野郎がぁ!!」

アスタモンがマシンガンをフルオートで発射する。
しかし、弾丸は見えない壁に阻まれるようにそれ以上は進まず、力なくバラバラと地面に落ちていく。

「くっそ、あいつら進化するぞ! ツカサぁ、ウィッチモンと逃げろ! てめぇをかばって戦える相手じゃねぇ!!

「あ、えっと、はひぃ!!」

情けない声をあげてしまった。
ウィッチモンは状況を把握したのか、ホウキを召喚すると、俺に乗るように支持してきた。

「しっかり捕まってくださいね、全速力は久しぶりなんで」

女の子にしがみつくなんて、元おっさんながら恥ずかしい。
やわらかい体を堪能する余裕もなく、俺はその場を離脱した。
一体なにが起ころうというのか。





ツカサたちが離脱してすぐに、黒いデジモンたちを囲む渦が消失して新たな姿をしたデジモンが現れる。
それはとにかく真っ黒だった。
上半身は黒いマント、というよりローブで覆われている。
そこから覗かせている両腕は獣のような顔をしている。
右手は重火器、左手は折れた剣、そして、小枝のような腰と足。
こまかな包帯のようなもので補強されているようにも見え、疲弊しているように見えるが、それがかえって不気味さを演出していた。


「お、オメガモンだとぉ!!!」

「そ、それは確かロイヤルナイツのデジモンでは」

「少し違うな。ズワルトにも近いが……中二病に感染してんじゃねぇよってか」

「中二?それはどういう」

「……感染しているのは俺だった。忘れてくれ」

アスタモンは、頭を横に振って、気持ちを切り替える。
2体と対峙する黒いオメガモンは“死神”という言葉がしっくりくる。
ただそこにいるだけで強烈な圧があり、空気も凍り付いている。
アスタモンはジャケットの内ポケットから何かを取り出した。

「ムシャモン、こいつは切り札にとっておきたかったが、温存しておく理由がなくなった」

ムシャモンに投げて寄こしたものは、多角形で、中央にディスプレイと操作ボタンがついたアイテムだった。

「もしや……伝説のデジヴァイス!?」

「レプリカの使い捨てだ。1度だけ限界突破の進化ができる。俺はわけあって使えねぇ。あんたが使ってくれ。効果は1時間ってとこだ」

「私が進化を……」

「迷ってる時間はねぇぞ、そいつを掲げて進化するイメージを浮かべるだけでいい」

「承知」

ムシャモンはデジヴァイスを掲げる。
全身が粒子化し、新たなシルエットに構築され、それは顕現する。
それは武人の姿をしたデジモン。
しかし、ムシャモン時の赤主体ではなく、黒主体の鎧。
顔は仮面で覆われている。
抜き身だった太刀はさらに巨大化し、強い力により鞘に封印されていた。

「はっ、“タクティモン”じゃねぇか。喜べよ、死に物狂いで強くなりゃそいつがお前の未来の姿ってわけだぁ」

「なんと……いや、今は感動している時も惜しい。行きましょう!!」

2体は黒いオメガモン、オメガモンズワルトDに向かっていった。





俺は、ウィッチモンのおかげで、森の外に出ることができた。
敵からの攻撃は一度も受けていないし、高速飛行による木や地面への激突は免れた。
自動二輪にでも乗ったことがあれば、きっとそれに近い感じなのだろう。

「ありがとね、ウィッチモン」

「いえ、それよりあの黒いデジモンたちですが……」

ウィッチモンは寒気を感じたかのように、自身の肩を抱く。

「あれはデジモンじゃないです。データの残滓、いわゆる幽霊が生前の姿で見えたりすることは稀にではありますが、確認されたことはあります。しかし、あそこまではっきりと見えて、攻撃までしてくるというのは前例がありません」

「やっぱり君たちが調査している件と関係が?」

「はい、通常ではありえない現象という点ではそうです。やはり、私も戻って見届けなければ……」

「駄目だ!」

咄嗟にウィッチモンの手をとった。
鋭い爪の生えた手は少し怖かったが、その時に迷いはなかった。

「俺はこの世界のことも、デジモンのことも、ほとんど知らない。でもあれは本能的にわかる。やばいやつだ。アスタモンやムシャモンは強いデジモンだけど、正直、勝てるかわからない! そんなところに君を行かせるわけにはいかない!!」

自然と握る手も強くなる。
大声を出す俺が珍しいのか、ウィッチモンは目を大きく見開いて数回瞬きした。
なんかブチに似ている。

「あ、えっと……仕事熱心なのはいいけど、命をかけるまでのものなのかな? 俺はその……仕事に熱心過ぎて力尽きた奴を見たことあるんだ。そいつ、口癖が栄養ドリンクが恋人! 72時間働けるぜぇ〜止めてみな!」

ウィッチモンに見せつけるように、茶色の小瓶を取り出して苦笑い。
今語ったことは事実であり、自分のことです。

「え、あれ? なんでそれを……」

ウィッチモンがポケットをまさぐって、慌てている。
この小瓶は、さっきホウキに乗せてもらったときに、腰のあたりの感触からもしかしてと思って拝借しました。
今話していた栄養ドリンクの類でしょう。
手癖が悪いなんて言われたことないけど、今回は文句言えないな。

「やっぱりそうなんだ。ラベルの文字が読めないから、魔法のアイテムとも思ったけど……とにかく、これの服用は禁止だから!」

叩き割ろうと思ったそのとき、急に周囲の空気が変わった。
大きな冷蔵庫の中に入った気分。
空が急に暗くなって、紫色の霧のようなものが床に漂っている。

「え?え? なんですか?」

「なんか……ヤベーイ……?」

言ってる場合じゃない。

「ゥゥゥゥゥゥ」

低いうなり声みたいものが聞こえてきた。

「キッヒヒヒヒヒヒ」

奇怪な笑い声が聞こえてきた。

「ヒャヒャヒャヒャヒャ」

「キシシシシシ」

どうやら複数いるようだ。
狭い空間にいるかのように反響している。
どうしたんだ、確かに森の外にいたはずだ。
森も消えているし、空がどこまでも黒い。
刹那、地面から何かが出てきた。
声の数のとおりなのか、複数の人型。
歩いてもいないのに、左右にゆらゆらと揺れている。
全身が包帯に巻かれているところから見ると、エジプトのミイラのようだ。
包帯に隙間から伺える目と肌の色がグロテスク。
松葉杖のようにもたれかかっている黒光りするものは重火器だろうか。

「ま、マミーモンです! でもこのあたりにはいるなんて聞いていないし、あんなにたくさんいるなんて」

「幽霊のデジモンを見た後に、なんともタイミング良く現われるなぁ……」

「とにかく、ツカサさんは逃げてください。私なら時間かせぎくらいできます」

ウィッチモンはホウキの先を向けてマミーモンたちと対峙する。

「ダメだ。ここは俺がやる。大体こういうのは、どこまででも追いかけられるのが相場だ」

俺は、腰に引っ掛けておいたイナズマを模した杖を取り出す。
いや、これもしかして太陽なのかな?
自分(ウィザーモン)のことも良くわかっていないのは情けない話だ。
ダメダメだ。

「ツカサさんは修行中なんですよね? だったら」

「女の子に守ってもらうほど、俺も落ちぶれちゃいないさ。さっきの前言撤回になるけど、これ使わせてもらうよ」

ウィッチモンから没収した栄養ドリンクの小瓶の蓋を抜いた。
プラスチックの回す方式の蓋ではなく、どちらかというとワインボトルのコルク栓みたいな感じだ。
一気に口に流し込む。味は少し辛め。
栄養ドリンクと同じ効能であれば、足の震えくらいは抑えられるはずだ。
あれって一種の興奮剤だからね。
大丈夫、俺ならやれるさ。
ソーサリモン師匠は言っていた。
まずは自分を信じること。
デジモンは自身の特技については余程のことがない限りは特訓しなくても使えるのだそうだ。
経験次第で威力については個体差があるらしいけど。

「えっと、その、確かにそれを飲めば色々と戦闘では恩恵を受けられはしますが、魔法が使えるようになるとは思えませんけど」

「大丈夫、絶対なんとかなる! 俺は俺を信じる!」

不思議だ。
あのドリンクのせいなのか、今以上にやばい状況に立ち会ったせいで感覚が麻痺したのか。
予想どおり足の震えは消えているし、なんだか普通に戦えそうだ。
戦闘経験は皆無です。
フラグかな?
でもそれは自分で気づいた時点で消滅するはずだ。
根拠はないが、俺の信条だ。





デジモンは環境に応じて力を発揮する生き物だという。
フィールド補正ってやつだ。
水が得意なデジモンは海や川、熱いのが得意なデジモンは昼間の砂漠や活火山といった場所で本領発揮できる。
ウィザーモンが補正を受けられるのは……暗黒、墓地、湿地、亜空間! ここなら条件3つくらいは当てはまるだろう。
ドリンクのおかげか、本当にいつもより調子が良い。
怖くない。
体中に力が集まっている感じもする。
その力を杖に集中させる。
魔法の修行で最初に言われたのはイメージトレーニングだった。
次に雷雲の発生について。
一番簡単なのは、嵐の日に外で使用する。
あまりにも限定的なので、それは却下。
あとは呪文だ。とは言え、決まった文言はないし、極端な話、声に出す必要もない。
攻撃のために雷雲を発生させることは、ウィザーモンなら容易なのだ。
ヒーローがわざわざポーズをとって変身するのも、きっと同じ理論なはずだ。
自分に暗示をかけ、力を最大限に使えるようにする。
よし、これで準備は整った。





マミーモンは未だ笑い声をあげて、不気味に立っている。
あ、攻撃の構えをしてきた。
松葉杖にしている銃器をこちらにむけてきた。
俺はマミーモンから目を離さずに、杖を掲げて放つ。

「出でよ雷雲、奔れ稲妻、サンダァァァァァァァァァクラウドォォォォォォォ!!!!!!」

すごい音がした。雷が杖に落ちてきた。
杖の先から稲妻が拡散していく。
それらはマミーモンたちに向かって走る。
一瞬だ。
当たった瞬間、消し炭のごとく消滅していった。
マミーモンはどんどん床から生えてきた。
その度に俺が狙いを定めるように視線を送ると、面白いように当たっていった。
杖に落ちてきた雷はエネルギーを補充するように数回に分けて落ちてくる。

「まだまだぁぁぁ!!!」

マミーモンの出現スピードが落ちてきた。
そろそろ打ち止めか。
今まで5体くらいは同時に出現していたが、今では1体だけだ。

「これで、最期だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

稲妻は正確にマミーモンを切り裂いた。
俺の意識はそこで途切れた。





「初めてにしては良かったよ。いやいや合格点だ。おめでとう!」

まいどお馴染み、ソーサリモン師匠の睡眠学習空間。
俺は釈然としていなかった。
達成感はあった。
嬉しい気持ちにもなった。
魔法が使えた!すげぇ!ただのおっさんが魔法使いになった!
初めて戦いの中で、自分の技により勝利を収めた。
いや、戦い?勝利? 違うな。
下手な演技ですね、師匠。あのマミーモン達はあなたが用意したものでしょう。
見せかけだけの張りぼてだ。
白い魔法使いは人間界でもデジモン界でも自作自演が好きらしい。
目の前の師匠は俺にだって見透かせるくらい下手っぴだが。

「ははははは! 君みたいな勘の鋭い弟子は……好きだよ!! 
ははははは!」

嫌いだよって言われなくて良かった。
某キメラの研究者を思い出したよ。
それに、師匠と敵対したいわけじゃない。

「いつ気づいたのかな?」

割と最初から。ウィッチモンがそれほど焦っていなかったことと、タイミングが良すぎたところ。安全を確保した上で、俺をその気にさせようとしたんでしょう?

「いやはや、まったく、とんだ名探偵がいたもんだ」

この師匠、ちょいちょいネタぶつけてくるな。まさか同郷じゃないよな?

「ん? ウィザーモンの源流はウィッチェルニーだからあながち間違いじゃないよ?」

いやそういうことじゃなくて!





いつもの天井だ。
つまり我が家だ。
小鳥のチュンチュンと鳴いている。朝か。
……小鳥!? デジモンじゃなくて? 小鳥のデジモンかな?あはは。


「ツカサ! 良かったにゃ〜!!」

「……マミーテイルモンが現れた。攻撃 魔法 アイテム 逃げる」

「にゃ?」

「魔法 ⇒ ファイア!」

「にゃにゃにゃ〜〜〜〜〜!!!!」

状況を説明しておこう。
目が覚めた。
視界に白いのがあわられた。
よく見ると、包帯巻き巻きで、仕込んでいると思われる額当てから布を垂らしたスタイル。
頭頂部から髪の毛がはみ出ている。
幕末の燃え殺されかけた人斬りみたいだ。
覚えたばかりの魔法を応用した静電気っぽいやつを発生させてみた。
布から発火して燃え広がろうとしたところで、猫っぽい言葉を喋る生き物は焦って流し場まで飛んでいった。

「あはは……お元気そうで何よりです」

ウィッチモンは苦笑した。
目覚めてすぐ見るなら彼女の顔がいいに決まっている。

「うん、色々と迷惑かけてごめんな」

「いえいえ。あの後、アスタモンさんとムシャモンさんは戻ってこられて、村に戻ってきた段階で解散になりました。あ、ムシャモンさんが抱えてくださったんですよ」

ムシャモンには今度会ったらお礼を言わねば。
それにしても、あの2体も無事だったか。
良かった良かった……っていいのか!?

「ブチィ〜! ブチはおるかぁ!!」

「ここにおりますにゃ、親方様! って、なんで戦国にゃ?」

ノリで言ってみただけだ。
包帯猫デジモンから変身解除した我が忠義の猫が首をかしげる。
その仕草、可愛い。
俺も焼きが回ったぜ、ここはあざといというのが正解。

「ツカサ酷いにゃ〜、あやうく本当に京の都を焼き尽くそうとしてた人斬りになるところだったにゃ〜!」

はいはい、細かい元ネタ説明サンクスです。

「酷いのはそっちだろ!? おかげで魔法が使えるようになりました。どうもありがとうございます!!」

黒猫に中指の第二間接でグリグリやってやった。
これは動物虐待ではない。教育的指導だ。
出るところに出るつもりはない。

「にゃにゃにゃ〜、僕は最凶の5歳児じゃないにゃ! は〜な〜す〜にゃ〜」

「大体なんだったんだよ今回のは!? ひたすら危ない目にしか遭ってないぞ!!」

マシンガンをつきつける同行人(アスタモン)、正体不明の幽霊デジモンとの遭遇(黒いアグモンとガブモン)、魔力切れによる失神。
最後のは少し違うが。

「お、落ち着くにゃ! 説明するから座らせてほしいにゃ!」

ぐりぐりの宙吊りから開放されると、ブチはメガネと差し棒を取り出して話し始めた。
教師スタイルであることは無視だ。

「まずはデーモンのことにゃ」

ネタを色々ぶっこんできたので要約する。
デーモンは山岳エリアの管理者。
猫使いの荒いやつとのことだが、これ以上はブチの私見が入るので割愛。

ブチはそんな管理者と契約している。
契約社員的なものを想像したが、どちらかというと、召喚獣に近いとのこと。
そんなブチは、俺が転生してくるずっと前から、この村の管理の実行部隊(とは言え1匹だけ)らしい。
ブチのデジモンとしての年齢が気になったが話が反れるから無視だ。
村周辺が対象となる厄介なギルドからの依頼は基本請けることになっており、盗賊団の討伐で、ブチが参加するのは必然だったようだ。
そして、ペタルドラモンの件があって、後日、調査隊を派遣することに。
しかし、難航しているため、三度行くことになったが、ブチは別件でデーモン呼ばれて、今回の調査に同行できず。



アスタモンについて。
彼は山岳エリアの人手不足のため臨時に派遣された実行要員らしい。
普段は別エリアで、ブチみたいな仕事をしている。
戦闘特化の狂戦士の気があるため、たまに暴走するが……うん、それは俺が身をもって知っている。
でも、2回目に会ったときには随分と良いデジモンになっていた気がする。
未だ怖いけど。



蛇足になるが、ムシャモンは盗賊討伐依頼が出された直前にこの村に来ている旅人であるため、デーモンたちとは無関係だが、現地にいたことと、腕が立つことが買われ、2度の調査参加を依頼されたということだ。





「ブチお前、公務員だったのか!? 将来安泰だな!」

「退職金も年金も約束されていない契約に何の意味があるにゃ! きつい、危ない、給料低いの『3K』にゃ!」

現代サラリーマンの闇を見ているようだ。

「でも、ちゃんと仕事しているブチはえらいと思うよ?」

「ほ、褒めても、お肉料理しかでないにゃ」

それは嫌だな。
お肉の漬け物はクセが強いんだ。

「はぁーい、じゃあ朝食にしましょう。ツカサさんは夕食も抜いてますから、たくさん食べてくださいね!」

ウィッチモンがちゃぶ台いっぱいに朝食を並べた。
なんとメニューはサンドウィッチ!!……ダジャレじゃないよね?
いやいや、それにしてもだ。

「パンですか!? ウィッチェルニーはパンもあるんですか!」

「はい、むしろ主食はパンです」

いいなぁ、ウィッチェルニーに移住したい。

「ツカサ、誤解してるにゃ。単に山岳エリアにお米とかパンの文化がないだけにゃ」

うん、とりあえず山岳エリアを出たくなったよ。
引越しはやっぱり考えておかなきゃ。
とにもかくにも腹が減っている。
なんといっても魔力が空になって倒れたくらいだ。
しっかり栄養補給をしておかねば。
サンドイッチの種類は、お肉スライス&葉物野菜、キュウリ&トマト、いちごジャムの3種。
材料が限られるからこんなものだろう。
お袋が作ってくれたものなら、あとはポテトサラダ、シーチキン&レタス、たまに生クリーム&いちごとか、卵&レーズン!……そういや転生してから卵は食べたことがない、デジモンは卵から産まれるから共食いになるからか?

「ご馳走様でした」

「ゴチにゃ! まぁまぁだったにゃ」

おっブチのやつ、ウィッチモンにちょっとデレを見せるようになったな。
嬉しい限りだが、キャラ変えに忙しいやつだ。





朝食後にコーヒーを飲んでまったりしていた。
……コーヒー!?
ウィッチェルニー、ますます興味深い。
ウィッチモンが来てから、食事が豊かになった気がする。
その分、日々の危険度が増したのも否めないが。
そういえば、

「ウィッチモン、昨日もらった小瓶の中身のことだけど」

「あぁ、あれですね。ちょっと仕事が立て込んでいるときに飲むと頑張れるんですよねぇ。あれ、私が調合したオリジナルなんです!」

彼女は自慢気に胸をそらす。
俺は慌てて視線をそらす。
やはり効能は栄養ドリンクと同じらしい。
しかし、俺はなんとなく気づいていたことがある。

「中身は度数の高いアルコールだね?」

ウィッチモンはそれを聞くと、目を大きく見開いてまばたきを数回する。
この娘の癖だということはよーくわかった。

「すごいですね、さすがウィザーモンです! そうなんですよ。その場で酔っぱらったり、2日酔いになったりしないように度数と分量にこだわってるんです」

あ、なんか喋りだして止まらなくなっちゃった感じだぞ。
小瓶を数本取り出したり、研究メモを取り出して語っている。
うんうん、もうわかったから! 難しい用語を出されてもわかんないから!
ブチも眠そうな目をしながら、目の前の小瓶をフリフリしている。
あ、蓋開けて匂いを嗅ぎ出したぞ……ちょ、一気に飲んだ!?

「ぷふぁ〜〜〜〜〜……あれぇ〜、地面が〜天井が〜ぐるぐるにゃ〜〜〜〜〜」

黒い肌が真っ赤になって、くるくるとトリプルアクセル(3回転半)をかましてひっくり返った。
こいつ下戸か。
いくら分量にこだわっていても、弱い人にはひと舐めでもダメだっていうしな。
ちなみに、生前の俺は度数が強い酒には強く、度数の弱いビールや甘いチューハイはすぐに悪酔いしていた。
さらに言えば、強い酒を飲むほど頭が冴え渡って、会話が円滑になったなんてこともある。
許されるはずもないが、仕事で飲んだら最強だったかもしれない。
足の振るえが止まって、いっちょ前に魔法が出せたのはその特性のおかげかもしれない。

「名前は『デジビタンG』です!! ……あれ、猫さーん、大丈夫ですかぁ〜?」

ウィッチモンがようやくブチの様子に気づいて水で濡らしたタオルをデコにかけた。
猫だけに、どこまでがデコなのかは知らない。
俺は即座に乗せられた濡れタオルをさらに広げてやった。
ご臨終みたいになった。自業自得だ。
ちなみに、相方は仏になったので、ドリンクのネーミングには突っ込まないことにする。



つづく


スレッド記事表示 No.4993 転生したおっさんは元飼い猫とデジモンやっています1−1tonakai2018/05/27(日) 22:20
       No.4995 転生したおっさんは元飼い猫とデジモンやっています1−2tonakai2018/05/29(火) 21:31
       No.4996 転生したおっさんは元飼い猫とデジモンやっています1−3tonakai2018/05/30(水) 21:57
       No.5000 転生したおっさんは元飼い猫とデジモンやっています1−4tonakai2018/06/02(土) 19:04
       No.5001 キャラ紹介と今作についてtonakai2018/06/02(土) 19:18
       No.5004 頭空っぽの方がネタ詰め込める夏P(ナッピー)2018/06/10(日) 17:03