オリジナルデジモンストーリー掲示板NEXT
 

小説とその感想の掲示板です。小説を投稿される方は小説投稿規約を必ずお読みください。

         


ID.4912
 
■投稿者:ぱろっともん 
■投稿日:2018/02/27(火) 23:20


それは悪魔の様に黒く 四話 後
徒歩三分であっさりとつくと、平岡は鍵を開け、誰もいないからと三人を招き入れた。

「さて、じゃあ本題。聖の忠告が足りなかったと僕は今日の見て思ったので」

まぁ、一人にならないでと言われて早々に一人になってるのもどうかとは思うけどと平岡は言ったが、その時の蘭はエンジェウーモンは痴女という事しか考えてなかったのでそもそも聞いてなかった。

「まぁ、まず、ざっくりこの学校にいるデジモン達は四つに分けていいと。委員長とその従姉妹、聖のグループ、キツネ顔のグループ、その他個々や小さなグループ」

まぁさらに細かく個人個人でゲート賛成反対様子見とか賛成の中でも積極派開けたら開きたい派みたいな差とかもあるけど、と言いながら平岡は一本指を立てた。

「やっぱり最強は委員長。これは現状変わんない、まぁ……一応もう一人いるにはいるけど誰かもわからないし、究極体らしいとしかわからないからとりあえずノーカン。で、まぁ委員長を取るか沈めるかしたら実質学校の支配者になれると」

それは知っていると世莉達は頷く。潔癖すぎる正義によるディストピア的な支配もロマンだよねと蘭とエカキモンも頷く。完全に思考の方向が迷子であっても平岡には伝わらない。

「そういうわけで、委員長を味方にしたいというのは何かしら野心があったり目的があったりするとこは考えてる。その鍵がおそらくあなた。多分、ここを伝えてないからアレだと思うんだけど、委員長って結構強情で……なんというか……」

あー、一言ならなんて言おうかなと平岡が少し指をくるくる回してからぴっと止めた。

「白河の清きに魚の住みかねて、元の濁りの田沼恋しき、みたいな?」

「デジモンがいればそれなりにできることは多いけど、あくまで人の範囲の倫理で、それも結構潔癖に抑えつけているから委員長相手の不満は燻っている」

世莉とレディーデビモンは頷いていたものの他がぽかんとしてるのでセイバーハックモンはそう付け加えた。

そういえばこの二人は古典の補習プリント貰いに学校来てた様な若干成績振るわない部類だと平岡が気づいたのは言った後だった。

「そんな委員長に自分の主張をほぼ一方的に飲ませた、委員長の側から接触するぐらいに特別扱いされてる黒木さんに、委員長が欲しい、融通を利かせたいというやつは擦り寄ってくるし、委員長を倒したいというやつも人質として効果があるのではと狙ってくるって事。遠いところから順を追って試みるならば、当然周りも狙われる。例えば……近い誰かを突然襲って自分の差し金だったと明かして脅すとかも鉄板だし」

世莉は神妙に頷く。蘭とエカキモンはあーさっきのそういうのだったのかそれはそれとして委員長と世莉さんの恋愛展開は面白そうだとかやはり明後日の方に思考を飛ばし、葵は自分のせいなのではと三者三様の反応を、特に今襲われたばかりの蘭の反応が一番薄いを見て平岡はこういう感じだから私に守る様に言ったのかと納得した。

「で、その中で一番危ないのがキツネ顔とそいつに寄生してる金メッキのネズミ。確かチューチューモンとかいうやつ。あいつの能力はどういう過程かわかんないけど、催眠なのか洗脳なのかそういう感じのことするのはわかってる。芋づる式に委員長まで洗脳されると最悪……独裁国家状態。今のとこは委員長がいるから表沙汰にならないよう知られないよう抑えてるけど……」

ギリギリギリと平岡は怒りを押さえ込む様に歯ぎしりをした。

「……催眠かけた女子の裸の写真だとか、万引き演出した写真だとか、催眠が解けても縛れる様にしとく様な陰湿なやつだってのはすでにわかってる」

そういう感じのエロ展開は二次元でさえ地雷だし現実で考えるとなおいやだと蘭とエカキモンすら顔をひどくゆがめた。

私的にはエロ展開は……と話始めようとするエカキモンの口を蘭ががしっかりと抑え込む。この数日で蘭はエカキモンと自分の漫画の趣味が合いすぎていることを感じていた。エカキモンの性癖暴露は実質的に自分の性癖暴露である。

「……あの、そこまでわかってるなら委員長に言うというのは駄目なのかな?」

蘭の酷い様子を横目に見ながら葵が言うとそれはダメと世莉と平岡が同時に声を上げた。

「委員長は多分、これ以上被害が出ない様にとすぐに叩きのめしに行くと思う。だけど、被害者側がこれ以上被害を被るのも構わず叩きのめしに行く、というのが聖の分析」

全体的な被害が広がらないことを考えればそれは絶対的に正しい。本来心の傷は数値化できたものでもない、だから図れるのは被害者の人数のみ。だからこそ数値で考えたならば可能な限り被害者を減らすのが絶対的に最も小さく抑え込める。

絶対的に被害者は少なく済むが、フォローできる状況を作らずにそうした事を行った時、キツネ顔がどうせもうどうしようもないならばと道連れにするため画像をばらまく可能性はある。

「だとしたら、それで社会に戻ってこれなくなる人も出てくるかもしれないし、フォローできる状況がないと……」

世莉の言葉に平岡は少し意外そうな顔をしつつ頷いた。口調ぐらいの違いしかなく、ほぼ同じことを言った。

聖はあくまで人を幸せにしたい、幸せにしたいから絶対に委員長に知られない様根回ししているのは聖だ。そして同時に写真のデータを一斉に消去できる手筈を整えようとしている。

しかし消去しても向こうが健在ならまた一からやられるだけ。そして、デジモンがいるのにどうして電子媒体だけでしか管理してない訳があるのか。当然、そんな事はない。

キツネ顔はすでに写真を印刷しているだろうと見ていた。それぞれ数枚ずつはあるだろうと、それも同時に処分しなければ道連れにと被害者側を巻き込む可能性がある。

ただ隠し場所はわかってない。だからその間は被害が増えない様に聖にできるのはそもそも狙われないようにすること、それは向こうもわかっていることでもあった。どうしたってわかる。実際に聖達が知って手を回してからはキツネ顔が勢力を拡大するのは非常に難しくなっていた。

セイバーハックモンがキツネ顔の側から見てあまりに厄介だった。セイバーハックモンはローダーレオモンの様な単なる基本的な能力の優秀さで強いと言える完全体ではなく、レディーデビモンやエンジェウーモンの様なバランスよく何でもできるが戦闘能力に優れているとは言えないデジモンでもエカキモンの様な一芸だけのデジモンでもない。

戦闘に向いたデジモンであり一芸であるが故のわかりやすい弱点もない、聖を狙うにしても障害であり、少数の操っている駒で何かを成そうとしても一体で二体三体の完全体を相手どれる。

聖は聖でエンジェウーモンが天使という性質故か洗脳を解くことが可能で洗脳だけしてあとから縛るようなものをという手が取れない。そのエンジェウーモンの首を取るにもセイバーハックモンは強すぎた。対応できない数で囲むには準備がいる為事前にバレる。バレないような数ではセイバーハックモンは殺せない。

かといって狙うそぶりを見せなければ勢力拡大しようという動きをかき回す方にセイバーハックモンが出てきてしまう。そうすれば勢力の拡大はできない。

また、聖が妨害で終わらせているのはまだキツネ顔が誰にも取り返しの付かない傷をつけていないからでもある。すでについていると取れることもできなくはないが、現状では聖の耳に入ってるのは最悪キツネ顔の記憶や被害者側の記憶を暗示を使って消してしまうという手が使えるもののみ。

キツネ顔はその線を越えたら自分が殺されるか、廃人にされるといった、あくまで正義の委員長はしない被害者を守るための行動を聖が取ると、聖から宣告されていた。つまり、キツネ顔にできるのは八方ふさがりの中で降伏するか、なんとか隠し場所を隠し通して現状を維持し続けるか。

そんな中で世莉が現れた。

キツネ顔から見れば地獄に垂らされた蜘蛛の糸の様なもの、もし取れれば委員長が取れるかもしれない、そうしたら劇的な大逆転が見込める。

だから間違いなく狙いに来る。

だから竜美や蘭が巻き込まれる。

しかも竜美といるローダーレオモンの様なそれなりに強力な完全体、またエカキモンの様な限定的であれ他社の介入を制限できるようなデジモンを取られれば戦力差が縮まる。戦力差を縮めることで委員長が取れなくとも聖達が脅威でなくなってくる。あわよくば戦力差を利用して聖を自分の側に取り込むことすら考えられる。

だから引き離したかった。世莉が悪魔であるとかは理由のほんの一端に過ぎない。少なくとも竜美と蘭は必ず巻き込まれる様な立場ではない、世莉から引き離せばついでに狙われることもなくなる、キツネ顔にそんな余裕はない。

「……じゃあ当分……僕達がなんとかするまで二人から離れてくれる?そうしたらその間はこっちで守るから。こっちも手をこまねいてるだけじゃないし」

聖達が何をしているのか世莉は知らない。知らないし、聖達は聖達で洗脳する術があるのも今さっき目の当たりにした。

ただ、世莉は委員長がどうかというところは信用している。委員長がいる限り確かにそう簡単に催眠を使ってやりたい放題という事にはならないのだろう。それに、世莉自身はともかく葵や蘭が耳をふさいだだけで大丈夫だったこと、レディーデビモンにも効いている様子がなかったことを思えば聖達側の洗脳に対しての警戒は少なくていいかもしれない。

ならば亜里沙さんと葵くんも守ってもらえないかと世莉が言おうとした時、蘭がちょっといい?と少し控えめに手を挙げた。

「……えーと、催眠とか洗脳とかされないのってそんなに難しいの?」

「それはまぁ……方法もわかってないし……」

「……でも、エカキモンがいるし、飲んだら催眠とか洗脳とかされなくなる薬とか出せばいいんじゃない?」

急にあまり仲良くない人と話すのが辛いが故の発言だったが、真面目に考えていた平岡達をポカンとさせるには十分だった。

「え、時間制限とかは……」

「斎藤さんの矢の傷はその後も残ってたし……飲んで三分で半年効くみたいな設定にしたら関係ないんじゃないかな」

ね?と蘭がエカキモンに問いかけると、エカキモンは突然腕を組み、神妙そうな顔を作った。

「蘭のイマジネーションがあれば、斎藤さんみたいに立って喋って馬に乗って刀振るって弓矢使ったりもさせられるのですから、三十分とか一時間ぐらいできるでしょうし、これは……いけるのでは?」

いける、これならいけると興奮気味にノートを取り出して書き出した蘭とどんなのにしますとウキウキ話しかけているエカキモンに世莉と平岡は少し顔を見合わせて、平岡はポツリと聖に聞いてみると携帯を取った。

葵は取り残されたついでにここが女子の部屋だということを思い出して少しそわそわしそうになりながら、そわそわするとみっともないと思われるのではないか、きもいとか言われたらとても耐えられないと葵は表情を殺しにかかった。

「蘭さん、エカキモン、今回は仕方ないけど今度からあまりその能力使わない様にした方がいいと思う」

世莉がそう話しかけると、蘭は手をピタリと止めて少し悲しげな顔になった。え?こんなに面白いのにという感じのその顔に世莉はあくまで真剣に向き合う。

「委員長がいるとはいえ委員長の目の届かないとこでならやる事をやってるやつがいる以上、なんでもできる様に見えてしまうエカキモンの力は使わないほうがいいと思う。私の事とか頼ってもいいから」

「なら、まぁ……あ、あれだよね?家でやるのはセーフだよね?」

世莉はレディーデビモンと顔を見合わせ、まぁ家ならセーフかなと頷いた。

平岡は聖からいっそご馳走になってきたらと言われたらしく。複雑そうな顔で私の分もお願いしていい?と蘭に頼む。

蘭は大丈夫と頷いて、五分程紙に向き合った後、三色の液体の入った三角フラスコをエカキモンの能力で出した。

はて、なんで三つに分けられているんだろうと周りが見ていると蘭は楽しそうに緑の液体の入ったフラスコと青の液体の入ったフラスコを取る。

「この緑を赤に入れて……そこに青を入れて……」

三色の液体が混ざるとボンッという音と共にフラスコの中から煙が出てきてドクロみたいなマークを描く。それを見て蘭とエカキモンはニヤニヤ笑ってパンと手を合わせた。

「……とりあえずコップ持ってくる」

平岡がこめかみの辺りを押さえながらキッチンに行く。

八つ持ってこられたコップに少しずつ薬を入れてそれぞれで飲む。舌に感じた味は誰が飲んでもりんごジュースだった。


スレッド記事表示 No.4882 それは悪魔の様に黒く 三話 前ぱろっともん2018/02/15(木) 13:36
       No.4883 それは悪魔の様に黒く 三話 後ぱろっともん2018/02/15(木) 13:38
       No.4886 な、なんて能力だってばよ……!夏P(ナッピー)2018/02/16(金) 23:46
       No.4891 この学校…ヤバイッ…!マダラマゼラン一号2018/02/17(土) 22:21
       No.4901 感想ありがとうございます。ぱろっともん2018/02/20(火) 21:55
       No.4911 それは悪魔の様に黒く 四話 前ぱろっともん2018/02/27(火) 23:15
       No.4912 それは悪魔の様に黒く 四話 後ぱろっともん2018/02/27(火) 23:20
       No.4915 真の主役登場夏P(ナッピー)2018/02/28(水) 21:02
       No.4927 感想ありがとうございます。ぱろっともん2018/03/13(火) 23:33