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ID.4756
 
■投稿者:すすやん 
■投稿日:2017/07/16(日) 23:27


デジモンアドベンチャーtri.タケメイ二次小説 第14章「円満」
「なによ! なんでメイメイと手つないでるの! まるでデートみたいじゃない!」
「ミミ、”デートみたい”じゃなくて、デートよ?」
「パルモン、シャラップ!」

パルモンは困った顔をしながら、「昔のミミみたい」と勝手に納得して口を噤んだ。

「なぁーなぁー、俺もう少しライオン見たいんだけど?」
「ヤマト、何普通に楽しんでんるんだ?」

父親に引き取られた為か、あまり行楽地へ外出した記憶のないヤマトが目的を忘れ、純粋に動物園を堪能し始めたので、止めに入るガブモン。

「ダイシュケぇ〜! 何、あのでっかいの!」
「おっ! あれはゾウだぜ! ゾウさんだぜ!」
「ゾーウん、強いの?」
「そりゃー、あんなにデカいんだから、強いに決まってんだろ!」
「オレ、ゾーさんの背中乗りたい!」
「おーし、なら行くか、チビモン!」

そう言って、柵に足を掛けようとした大輔を空が止めた。

「大輔もアンタ何処に行くつもり! ああ、ちょっとヤマト、勝手に移動しない!  アグモンも落ちてるもの食べない! 光子郎くんもそろそろ復活してぇー!」

いつもの事ながら、基本フリーダムなメンバー。それを纏めようとする空は、既にボロボロである。

「ホント、みんなのお母さんだな?」
「太一! それは空くんの前では禁句……」
「ピヨモン? 後で太一と丈先輩をシバくわよ?」
「よくわかんないけど、わかったわ、空!」
「納得すんなよ、ピヨモン!」
「ちょっ……、なんで僕まで?」
「ジョー……、諦めよ?」

ガックリと肩を落とす丈にショルダーバックから顔を出したゴマモンが声をかける。

「あそこにいるの、オイシそー!」
「アグモン、柵の向こうにいるは食べ物じゃないからな!」

羊を見つけてヨダレを垂らすアグモンにテイルモンが注意する。

「なんかこうして、みんなでワイワイするのがホント久しぶりねぇ〜」
「京しゃん、声が大きいでしゅよ!」
「賢ちゃん、なんか遠足みたいで楽しいね!」
「そうだね。ただ少し……」

短い手を上下に動かし、喜びを表現するミノモン。賢はその様子に微笑みで返しながらも、周囲を見回し、

「騒ぎすぎだね……」

呆れながらも、変わらない様子の仲間に心の中で、ホッと一息ついた。

「あれ? 光子郎さん。どうしたんですか? なんか元気がないですね……」
「腹でも減っとるだぎゃ?」

園内のベンチに腰を掛け、うなだれる光子郎に伊織はジュースを片手に声を掛けた。

「いえ……、気にしないで下さい……」
「今日は前半が格好よかったさかい、後半のミスが光子郎はん的には響いてまんねや……」
「テッ……テントモンッ!」
「ああ……、そう言うことですか……」

テントモンの言葉に納得し、伊織は一気にジュースを飲み干した。そして、いつもの仏頂面からは想像できない意地悪な笑みをニッと浮かべ、

「でも、あまり慣れない事をするのはお薦めしませんよ?」
「いっ……伊織くん! 君はなにを言って……!」
「えーっ? 何の話?」
「何の話!」

項垂れた表情から一気に赤面して顔を上げた光子郎に、横からミミとパルモンがヒョッコリ顔を出した。

「ミッ……ミミさん! いっ……いえ……別に……!」
「落ち込んどるコーシローをみんなではげましてただぎゃ!」
「そっ……そんな! 僕は落ち込んでなんか……!」
「えー、光子郎くん、けっこーカッコよかったと思うよ!」
「えっ……」

首を傾げて尋ねるミミに光子郎は耳まで真っ赤にして、

「ふっ……ふひょーーーーー!」

耳から蒸気を出すと、糸が切れたように顔面から膝に落下する。

「綺麗に落ちましたね……」
「ちょっと、光子郎くん! しっかりしてよー!」
「あっ……、なんか面白いことになってる?」

突然、壊れた光子郎の背中を揺するミミ。その様子に動揺する事なく見つめる伊織の横に、ソフトクリームを食べながらヒカリがやってきた。
いつも抱えているテイルモンが今は離れているため、片手が手持無沙汰のようだ。
伊織は横目でヒカリの様子を確認する。
その視線は目の前の光子郎とミミには向けられておらず、その先にいる二つの影を追っていた。

「ヒカリさん、つかぬ事をお聞きしますが……」
「伊織くんからの質問って、なんか新鮮ね」
「そうですね……」
「でも、その質問私に聞く?」

伊織と同様に横目で見つめるヒカリ。しかし、その視線はいつもの優しげな瞳ではなく、凍てつくような瞳。伊織は一瞬背筋に冷たいものが奔るのを感じた。

「それでも誰かが聞いてあげないと、ヒカリさん自身が辛いのでは?」

しかし、伊織はその視線に臆する事無く、はっきりと答える。その答えにヒカリはソフトクリームを食べる手を止めた。そして、バツが悪そうに表情を歪めると、

「伊織くん、本当に小学生?」

そう言って、ヒカリは苦笑いを浮かべた。その様子に伊織も小さく笑うと、

「こう見えて、お爺様からいろいろ教えて頂いていますから。それに彼女持ちですし?」

その答えに、ヒカリは噴出し、そして声を出して笑い声を挙げた。それにいち早く気付いたテイルモンが駆け寄った。

「どうした、ヒカリ?」
「アハハッ! なんでもない! なんでもないよ、テイルモン?」
「ヒカリちゃ〜ん、どうしたの? 突然笑い出して? オイ、伊織! お前ヒカリちゃんになんかしたか!」
「大輔さんとタケルさんじゃあるまいし、ヒカリさんを困らせるような事しませんよ」
「そりゃそうか……。って、なんで俺が混ざってるんだよ!」
「ダイシュケ〜、オレ否定できない……」
「チビモ〜ン、フォローしてくれよぉ〜……」

パートナーであるチビモンからも見放され、肩を落とす大輔。その様子を知ってか知らずか、未だに興奮冷めやらぬヤマトが大輔の肩を強くと掴んだ。

「どーした、どーした、大輔! 元気ねーぞ!」
「やっ……ヤマトさん? どーしたんすか、そのテンション?」
「ええぇ? いつもどーりだろ?」
「うわっ……、ヤマトがいつも以上にウザい!」
「オイ、コラッ! 太一! ウザいとはなんだ、ウザいとは!」
「ヤマト……、さすがにそのテンションはオレもフォローできないよ……」
「えっ……、俺そんなに?」

目を見開き、周囲のメンバーに意見を求めるヤマト。その反応にその場にいた全員が、
「…………(コクッ)」

無言で首を縦に振った。
その反応にヤマトは顔を赤らめて、ガブモンの後ろに隠れてしまった。

「女子か!」
「なんか、今日のヤマト、ハッチャケてるわね」
「下手に捻くれてるよりはいいんじゃない?」
「オイ、ピヨモン。そんな事言ってくれるなよ……。俺悲しくなるよ」
ヤマトの様子に太一、空そしてピヨモンがそれぞれ感想を言うと、ガブモンはため息混じりに呟いた。
一方渦中のヤマトは未だにガブモンの背中に隠れている。その様子に丈は、乾いた笑いを浮かべている。ゴマモンはそんな丈の横腹を長い爪で器用に突くと、

「なあ、丈? ヤマトのフォローしなくていいのか?」
「フォローしたいのは山々だけど、あの状態のヤマトになって言っていいか……」

そう言って、苦笑いを浮かべる丈。

「あれ? ねー、みんな。タケル達どこに行ったの?」

アグモンの抜けたひと言にその場にいた全員が周囲を見回す。
先程まで、猿山を見ていたタケルと芽心達はいつの間にかその姿を消していた。

「しまった! 一瞬目を離した隙に……」
「賢ちゃん、どーするの?」
「賢くんが気にする事ないよ」

賢は頭を抱えて、苦虫を噛み潰した顔をしたが、京がすかさずフォローを入れる。

「それより大輔! アンタもうちょっとちゃんと見ときなさいよ!」
「なんで俺が文句言われなきゃなんないんだよ!」

京は、賢に向けた真逆の表情で、大輔に詰め寄った。

「オイ! この人混みでタケル達探すの大変だぞ!」
「お前も一因噛んでるんだけどな……、オニイチャン?」
「太一、お前いい加減に!」

緊急事態に立ち直ったヤマトに対し、太一は冷たく言い放った。

「もう、2人とも喧嘩しない! それよりも、手分けしてタケル君と芽心ちゃんを探すわよ!」
「へー、俺たちを探してどうするの?」

太一とヤマトを止めながら、空が次の行動を指示した時、不意に後ろから声が掛けられた。
空が振り返ると、満面の笑みを浮かべたタケル。しかし、その瞳は笑ってはおらず、奥にある怒りを隠そうとしていない。その横には恥ずかしそうに俯く芽心、呑気に笑顔を振り撒くパタモンとメイクーモンがいた。

「やっほー、ガブモン!」
「チェンパイ達も来とっただなぁ〜!」

パタモンとメイクーモンは嬉しそうにニコニコしている。

「皆さん……いつから見ていたんですか?」

芽心は恐る恐る尋ねる。少し前の自らの痴態を思い出し、背中に嫌な汗が流れる。その様子を察したのか、ヒカリは微笑みながら、

「いえ、私たちもさっき着いたばかりで! ねっ、伊織くん?」
「えっ……、あっはい。まあ、追いかけていた事は申し訳ありません」
「あっ……、そんな謝らなくてもいいですよ」

伊織の言葉を聞いて、ホッとした表情を見せる芽心。

「メイメイ!」

ホッとしたのも束の間、突如横から現れたミミに芽心は抱きしめられる。

「ミミさん! びっくりしました」
「もう、メイメイ今日はホントに可愛いいんだから!」
「そっ……そんなそんな可愛いだなんて! 」
「嘘じゃないよ? いつもと違って髪上げてるのも新鮮だし。あとあんなにパンダではしゃぐ姿なんて、チョー可愛かったよ!」

ミミの言葉が嬉しくて顔を綻ばせていた芽心だったが、最後のひと言で表情が固まった。その様子を見ていたヒカリと伊織は苦悶の表情を浮かべる。

「僕が誤魔化したつもりなんですけど……」
「どーも言ったらいけん事を言ったみたいだぎゃ……」

ウパモンが呆れた表情でミミを見上げる。

「チョット、メイメイ? なに、どーしたの?」

ミミは自分が仕出かした事に気付かないまま、放心状態の芽心の肩を揺する。
すると、タケルが割り込むように2人の間に入ると、

「ミミさん? あんまり俺の彼女を困らせないでくれる? 俺の彼女を!」

?彼女?という単語を強調するタケル。対してミミは下唇を噛み締めて、苦渋の表情を浮かべる。その顔を見た瞬間、タケルは周りに気付かれないように小さく鼻を鳴らした。

「まあまあ、お2人とも。少し落ち着きましょ?」
「そうだよ。特にタケルくん。君の言葉で?彼女?さん、ゆでダコみたいになってるよ?」

賢に言われたタケルは腕の中の芽心に目を向ける。タケルの腕の中で?俺の彼女?と宣言された芽心は、頭から湯気が出始めている。頭の中では理解していたが、改めて言葉に出して言われると嬉しさと恥しさで胸が張り裂けそうだった。

「メイ〜、タケルゥ〜。苦しいだがん!」

タケルと芽心に挟まれたメイクーモンが苦しそうに声を挙げ、空いた片手でタケルの胸を押す。

「あっ、ゴメン。メイクーモン!」
「もうタケリュ……。イチャイチャし過ぎ! もっと僕たちも構ってよ!」

慌てて芽心から離れたタケルに、パタモンがその胸に飛び込む。その顔をムクッと膨らませ、ヤキモチを妬いているのがよくわかった。

「ゴメンねぇー、タケルくん。結局みんなで来ることになっちゃってぇ〜」

空は謝罪の言葉を言いながら、タケルに近づいた。しかし、言葉とは裏腹に悪びれる様子のない笑顔を向けている。

「ホントですよ。折角手伝って貰ったのに、まんまと裏切るんですから……」
「でも、それも想定済みでしょ? ここの事だって、私に教えてくれなかったし」
「まあ、空さんの囮は保険だったんで。まさか、アレに引っかかる人がいるとは思いませんでしたけど……」

タケルも同じように笑顔で返す。

「それ、どーいう意味?」
「嫌味ったらしぃ……。あの素直で可愛いタケルくんはどこ行ったのかしら?」

そんな二人を横で見ていた京は『そういうセリフがお母さんっぽい』と心の中で思った。もちろん、言葉にはしないが……。

「ちょっと待て、タケル! 何気に俺達をディスってないか?」
「おい、”俺達”ってもしかして俺も含まれてるのか?」

タケルと空の会話を聞いたヤマトと太一が慌てて駆け寄ってくる。タケルはそんな二人に笑顔を返した。

「いや、なんか言えよ!」
「そして、なんか憐みの目を向けるな!」
「まあ、しょうがないよヤマト……」
「タイチ……、大人になろ?」

お互いのパートナーに慰められるヤマトと太一。
その二人を苦笑いで見ながら、丈とゴマモンがやってきた。

「タケル、それに望月くん。先ずは尾行していた事を謝るよ」
「いえ、そんな!」

頭を下げる丈に芽心は戸惑い、タケルは「丈さんらしい」と小さく笑った。

「タケル、空から聞いたゼ! 今日のデート、丈の意見を聞いてくれたんだってな?」

ゴマモンが嬉々とした表情で聞いてきたので、タケルは一瞬焦りが顔に出そうになった。横目で空を見ると、その視線に気づき、ピヨモンと一緒に悪そうな顔を浮かべる。
丈とゴマモンの顔を見ると、自分の意見を参考にしてくれた事が嬉かったらしい。どうやら二人にはセンスを疑った事は伝わっていない様子。タケルは心の中で悪態をつきながらも、それを表に出さない様に、

「はい、丈さんに相談してよかったです!」
「ふふー、そうかそうか! そう言ってくれるか!」

丈は眼鏡を外し、涙を拭う。

『ここまで喜んでくれるとは……』

その行動にタケルは複雑な気持ちになりながらも、その素直な反応に心を和ました。芽心はタケルの表情に違和感を覚えながらも、特に口を挿まずにいた。

「なー、もうタケル達にバレちまったからよー! これからどーすんだ?」

苦々しい表情をしながら、大輔が声を挙げた。このタケルに謝罪しなければいけない空気が大輔からすると、どうしても納得できない……というかしたくない。

「そうですね、いつまでも大人数で屯すわけにも……」

伊織が腕を組み、チラッとタケルを見る。その視線に他のメンバーもタケルを見た。

「……絶対嫌だからね?」
「まだ何も言ってねーだろ!」

タケルの言葉に大輔が返し、自然と睨み合う二人。今にも火花が飛び交いそうな勢いになった時、

「……あの……みんなで回りましょうか?」

芽心が小さく手を挙げる。恐らくそれが最善策だと、直感が判断したのだ。
その言葉を言った時の表情はそれぞれ。
タケルは手で顔を半分多い、大きなため息を。
そのタケルを表情を見た大輔はニンマリと笑顔を浮かべ、

「ねーねー、ヒカリちゃん! 西園の方は不忍の池と繋がってるんだってぇ〜。一緒に行かない?」
「テイルモンも一緒にいこーじぇー!」

こそこそ隠れる必要がなくなった途端、大輔はヒカリを誘い、チビモンも便乗する。それに対してヒカリは、

「いいわよ?」
「ええっ!」
「やたァー!」

ヒカリの答えに大輔は両手を挙げて喜び、京はその意外性に眼鏡をずらしながら驚愕の声を挙げる。

「いっ……意外だね……」
「賢ちゃんも? 僕もそう思う」
「何か裏がありちょうな気が……」

京と同様に驚く賢とミノモン、そしてそこに裏があると勘ぐるポロモン。

「いいのか、ヒカリ?」

テイルモンもヒカリの返答に驚いているが、それに気付いているのかいないのか。ヒカリは口元に指を添えて、「うーん」と悩むと、

「不忍池か……。あひるボートが有名よね? 後で二人でそれに乗る?」
「ヒッ……ヒカリちゃんとアヒル……デート?」
「あっ……だいしゅけからなんか出てる! だいしゅけから……だいしゅけ!」

天にも昇らんばかりに感動する大輔。しかし、その言葉の裏にある意味を察した伊織は、

「悪い人だ……」
「んっ? イオリ? なんか言ったきゃ?」
「いえ、別に……」

その小さな呟きは誰にも聞かれる事はなかった。

「ほれ、光子郎はん? そろそろ会話に戻りましょ? あれ? なんかこのセリフ前にも言ったようなぁ〜?」

腕を組んで悩むテントモンの言葉を受けて、放心状態だった光子郎が再起動する。

「はっ! すみません、取り乱しました!」
「大丈夫でっせ、だーれも気にしてませんさかいに」
「それはそれで悲しいですが……」

テントモンのフォロー(にはなっていないが……)に苦笑を返す光子郎。

「なあ、光子郎! 他にどんなところがあるんだ?」
「そうそう、光子郎くん! 調べて!」
「きゃっ、ミミさん!」

完全に目的を忘れたようにヤマト、そしてどさくさに紛れて芽心に抱き着きながら、光子郎に尋ねる。

「あっ、ハイ! この先だと……近くに白熊やアザラシのブースがありますね!」
「よーし、じゃあみんなで行くか!」
「ねぇ? 白熊っておいしい?」

慌てて検索した光子郎が提案すると、太一はそれに賛同し、アグモンの一言を聞いて、表情が強張る。

「よし、タケル一緒に……」
「はいはい、ヤマト。俺達はさっさと行こうぜ……」

テンションがおかしいヤマトがタケルを誘うと、ガブモンがそれを制止し、背中を押して移動を始めた。なにやら、ヤマトが喚いているが、太一も肩に手を回し引き摺るように歩き始める。

「オーケー! メイメイ一緒に……」

芽心と一緒に移動しようと高らかに声を挙げたミミだったが、その腕を空と京が掴む。

「へっ?」

突然の事で困惑するミミに空と京は笑顔で、

「まあまあ、ミミちゃん。珠には一緒に行きましょ?」
「そうですよ、ミミお姉さまぁ〜?」
「パルモンも一緒に行きましょ?」
「あっ、恐縮ですぅ〜!」
「あっ、待って下さい、京しゃん!」
「ちょっと、空さん、京ちゃん! 私はメイメイとぉー!」

必死に懇願するミミの叫び虚しく、二人は引きずる様に足を進める。その様子を見た伊織も丈と光子郎の背中を押し、

「さっ、光子郎さん、丈さん。僕たちも行きましょう」
「ちょっ……伊織くん! そんなに押さなくても……」
「いいから行こうぜ、ジョ〜。そろそろオイラ、暑い……」
「そうでっせ、光子郎はんも行きまっせ!」
「えっ、テントモン? 急にどうしました?」
「全く……、世話が焼けるだぎゃ……」

ウパモンは呆れ顔でひとつため息を零した。

「じゃあ、僕達は先に行くから。二人はごゆっくり。ほーら、大輔いくぞ!」
「ぐえっ!」
「だいしゅけ、トノサマゲコモンみたいな声出したぞ?」
「賢ちゃーん、早くいかないと置いて行かれるよ!」

賢が大輔の襟首を掴み、大輔は後ろ向きに引っ張られる形で移動していった。
そして、残されたのはタケルと芽心とヒカリとそのパートナーたち。ヒカリは三白眼でタケルを睨み、タケルはそれに笑顔で返す。その様子を芽心が困ったようにあたふたしている。

「あの……二人とも……、えーっと……その……」

困りながらも、やっとの事で声を挙げた芽心だったが、その先をなんと言っていいのかわからない。口籠り、少し涙目になってきた芽心を見て、遂にヒカリが耐え切れず、

「ぷっ!」

小さく吹出し、そして声を出して笑った。突然の事で芽心もパートナーであるテイルモンもポカンと口を開けて驚いている。

「ヒカリさん?」
「もう芽心さん、可愛いんだけど」

突然の事で戸惑う芽心を余所に、ヒカリは涙を拭う。その様子に唖然としていたテイルモンも呆れ顔になり、

「何がそんなに可笑しいんだ?」
「なんでもないよ、テイルモン?」

テイルモンの問いをヒカリは笑顔ではぐらかす。そう言うと、軽く駆け足で他のメンバーのところへ走っていく。その様子にテイルモンは安心したように、目を閉じる。だから、ヒカリが一瞬下唇を噛み締めた事に気づかなかった。

◆ ◆ ◆

俺達がヒカリの後ろ姿を見送った芽心を見ると、はホッと小さく吐息をついていた。

「ゴメンね。撒いたつもりだったんだけど、なんか結局みんな集まっちゃって……」
「あっ! いえ、そんな謝らないで下さい。こちらこそ、心配かけたみたいで……」

芽心さんは途中まで言いかけて、その言葉をぐっと飲み込んだ。俺の謝罪に芽心さんは気にした素振りを見せずに、逆に気遣わせてしまった。

「まー、ちぇんぱい達がおるけぇー、賑やかで楽しいだがん!」
「そうだね。なんかピクニックや遠足みたい」
「いや、これ完全に遠足だよね?」

キャッキャと笑う芽心さんとメイクーモンに俺はため息をつきながら、小さくツッコミをいれた。そんな俺の様子が可笑しかったのか、芽心さんはメイクーモンの頭に顔を埋めてクスクス笑った。

「メイィ〜、こしょばいだがん!」

そういうメイクーモンの顔は言葉とは裏腹にとても嬉しそうにしている。

「まあ、僕とメイクーモンを連れてきてる時点で本当にデートなのか、よくわかんないけどねぇ〜」

毒の入った一言を言ってくるパタモン。

「元はと言えば、パタモンたちが他の皆に喋ったのが原因だろ?」
「だってぇー! 僕だって嬉しかったんだもん!」
「ちゃんぱいを叱らんでごしない! メイも一緒にしゃべっただがん」

俺がパタモンを責めると、パタモンは不貞腐れて、メイクーモンはそのフォローに入る。「ありがとー、メイクーモン!」とパタモンが涙目で言っている。

「パタモン、大丈夫だで。タケルくんも本気で怒っとる訳じゃないけん」
「それは僕もわかっているよ。でも……」

パタモンが見上げるように俺の顔に視線を向ける。

「ちょっと不機嫌だよね?」
「うん。みんなにいろいろ邪魔されてるからね」

「うう、やっぱり……」とパタモンは伏し目がちになっている。どうやら反省しているみたい。これ以上意地悪するのもよくないよね?

「まあ、もうみんな来てる事だし、俺も想定してない訳じゃないから、別に気にする必要ないよ?」
「そう? ありがとうー、たけりゅ!」

俺の言葉を聞いて、パタモンはホッとした顔をして、耳(翼?)をはためかしている。
パタモンの様子に俺は胸を撫で下ろしながらも、どこか釈然としない気持ちもあった。パタモンとメイクーモンが一緒に来るのには、別に問題ないんだけど、最終的に他のみんなが集まってしまった。出来れば、芽心さんとの時間を満喫した気持ちが胸に閊えている。

「さあ、タケルくん。私たちも行きましょう?」

俺の気持ちを知ってか知らずか、芽心さんは微笑みながら手を差し伸べてくる。
まあ、今更気にしても仕方がないか。
そう思い、彼女の手を握ると、芽心さんは急に強い力で俺の引っ張る。バランスを崩し、前のめりになった俺の耳元に芽心さんは顔を寄せて、

「今度は二人っきりでお願いしますね」

俺にしか聞こえない小さな声で、そっと囁いた。驚いて彼女の顔を見ると、まるで悪戯が成功した子供のように、歯を見せて満面の笑顔だ。

「敵わないな……」

そんな俺の小さな呟きに首を傾げるパタモンとメイクーモン。
俺は体勢を立て直すと、芽心さんの手を改めて強く握り返し、

「取りあえず、今はゆっくりみんなに追いつこうか?」
「ふふっ、そうですね!」

そうして俺達はみんなの後を追いかける。
俺達のペースで、ゆっくりと……。


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