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ID.4740
 
■投稿者:すすやん 
■投稿日:2017/07/10(月) 00:08


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第13章「享受」
「うわぁぁぁぁぁ! タケルくん! パンダ、パンダですよ! あっ、あっちにはシカ! ゾウもいるぅー!」
「ほんものだーで! メイィ! スゴイだがん!」

尋常じゃない興奮した様子を見せる芽心さんとメイクーモン。フフフ、やっぱり芽心さんの行きたい所を聞いて正解だった。
彼女が希望したのは、動物園。たまたまテレビで流れた映像を見て、ここを選んだ。

「すごいすごいすごーい! こんな近くで見れるだなー!」
「喜んで頂いて光栄です、マイプリンセス」
「はっ……、すみませんすみません! 私達だけ興奮しちゃって……」

…………。あっ、これ”マイプリンセス”の部分完全に聞いていなかったな……。チョー恥いんだけど。

「ねー、タケリュ! 僕ゾウさん見たいよぉー!」
「メイもぉー。ゾウさん見たいだがん!」
「うんうん! ゾウさん見よ―ね!」

若干キャラ崩壊気味に芽心さんは頭にパタモン、胸にメイクーモンを抱いた格好で進んでいく。いつもなら、あんな恥ずかしい格好出来ないだろうに、それさえも忘れてしまうほど、アドレナリンが分泌しているんだろうな。

「本当にうれしそうだね?」
「ハイ! 鳥取には動物園はありませんでしたから。パンダとかゾウとかテレビでしか見た事なくて!」

なるほど。動物にふれあう機会に恵まれなかったわけか……。

「牛や馬はみるくの里におったな!」
「あとタヌキは見たかな? イノシシやクマもおるらしいけど、見た事ないな」
「…………」

いや、どこかの童謡じゃあないんだから、熊さんなんかに出会ったらアウトでしょ…。
僕達は他愛のない会話をしながら、園内をぶらりと歩く。休日なので、お客さんはそこそこ多い。だけど、各人思い思いに動物達を見て回っている為か、人集りまでは出来ていなかった。
しばらく歩くと、頑丈な柵に囲われたエリアに。そこにはブラウンの立髪を纏った百獣の王ーライオンのブース。しかし、当のライオン達は秋に入ったとは言え、そこそこ強い日差しを浴びて、腹を上にして寝っ転がっている。百獣の王風格は何処へやら……。
少し呆れ気味に見ていた僕とは違い、芽心さんは悲しい表情をしている。

「レオモンさん……」

あっ、そこに行っちゃう! 僕が驚いていると、芽心はライオン達に向かって手を合わした。そして、それに釣られる様にメイクーモン達も手を合わせる。

「レオモンさん、のんのん……」

なんか言ってる! えっ、なに? 「NonーNon」ってどう言うこと?
そんな事より気になるのは……、

「ママぁ〜、あのお姉ちゃん達変だよ?」
「コラ!見ちゃいけません!」

周囲から白い視線が! パタモン達だけでも十分なのに、これ以上はアウトだ!

「芽心さん、早く次行こう。視線が痛い」

そう言うと、芽心さんはハッとして、恥ずかしそうにメイクーモンで顔を隠す。

「すみません! なんか興奮しちゃって、変なテンションになっちゃいました……」
「それはわかるけど、ライオンに手を合わせるのは、やめようよ……」
「はい……、すみません……」
「あと、その”すみません”も禁止ね!」
「えっ!」

驚いた様子の芽心さん。だって芽心さん、その言葉癖になっているよね?
初めは謙虚な人だな、って思ってたけど、どうも"すみません"が口癖になっている節がある。痛くないのに、軽くぶつかっただけで「痛い」っていう人いるよね? そんな感じがする。
それにこういうの、恋愛ドラマとかでよくあるよね? あるよね?

「私、そんなに言ってました?」
「メイ、前からよー言っとだで?」
「結構言ってるよ? 本編も含めて、見直してみたら?」
「えっ、本編って……?」
「ああ、気にしないで! で、今からこのデート中”すみません”禁止だからね?」

芽心さんは釈然としないながらも、「わかりました」と納得してくれた。

「ねー、タケリュ! 次行こうよー! あっちに鳥がたくさんいるよ!」
「そうだね、それじゃあ行こうか?」

そう言って、僕は手を差し出す。

「えっ! あの……」

困った表情を浮かべる芽心さん。
うーん、雰囲気的に行けると思ったんだけどな……。
僕が差し出した手をどうしようか考えていると、その手をに握り返す反応が……。手元を見ると、長めの茶色い毛むくじゃらが……。僕の手を握ったのは、芽心さんから離れたメイクーモンの片手。もう一方の手は、芽心さんの手に。
すると、メイクーモンはニコニコを嬉しそうに笑いながら、「だがん!」と声と共に僕達の手を繋げた。
突然の事で、僕達は完全に固まった。僕はその繋がれた手を見た後、視線を芽心さんの顔に向ける。

「…………」
「…………」

芽心さんと目が合った。芽心さんが耳まで真っ赤になるのが、はっきりとわかった。

「あれ? タケリュ? 顔真っ赤だよ?」

芽心さんの頭の上に乗っていたパタモンがからかう様に言ってきた。

「なっ……なーぁ!」
「えっ! そっ……!」
「二人ともなに言っとーだぁ?」

この結果を生み出した張本人は呆れ顔をしている。
僕がどうしたものかと考えていると、僕の手を握る力が強くなった。芽心さんを見ると、照れて顔を背けているが、嫌そうな雰囲気は出ていない。
僕は……俺は芽心さんに答えるように手を握り返すと、

「じゃあ、行こうか? 芽心さん!」

優しい声で返すと、芽心さんも、

「はい!」

それを確認すると、俺はメイクーモンを抱きかかえた。

「だがん?」
「パタモンは芽心さんが乗せてるから、メイクーモンはこっち!」
「だがん!」

嬉しそうに俺の胸の中ではしゃいでいるメイクーモン。パタモンが少し恨めしそうな眼をしていたけど、お前は特等席にいるじゃないか!
俺達は手を繋いで、再び歩き出した。


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