オリジナルデジモンストーリー掲示板NEXT
 

小説とその感想の掲示板です。小説を投稿される方は小説投稿規約を必ずお読みください。

         


ID.4731
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/05/21(日) 22:45


デジモンアドベンチャーtri.タケメイ二次小説 第12章「衝撃」
「あっ! 川から離れた!」

真っ先に気が付いたのは、モニターを凝視していたパルモン。皆、ソファでお菓子を食べ漁り、少々だられきった空気がオフィスを支配しかけたとき、事態は動き出した。

「既に空さんたちは東京駅に移動してもらっています。大輔くんと京くんたちがタケルくんたちを補足するのを待つだけです」

光子郎は勝ち誇った表情を浮かべ、頷いている。丈はそれを半分呆れて見つめていた。

(一体、この追跡に意味があったのだろうか?)

しかし、さすがの丈もその疑問を口に出したりしない。なぜなら、自分もこの場所にきているのだ。そんな自分の首を絞めるようなこと、言えるわけがない。

「ジョー、なんか空気読んでる?」

ゴマモンが含みを持たせた目で丈を見つめる。図星を突かれたので、苦笑いで返した。
その間も赤い点は地図上を移動していたが、駅を少し過ぎたところで停止する。それが意味するところは1つ。
光子郎は椅子に座ると、ヘッドセットを装着。携帯と接続すると、京達に電話を掛けた。

「泉です。今どちらにいますか?」
『雷門から少し離れたコンビニにいます』

その場所を聞いた光子郎は発信器と京達の位置が近い事を確認し、小さく安堵の息を漏らした。

「今からタケルくん達のいる場所へナビゲートします。先ずは道を渡って下さい」


◆ ◆ ◆


京達は光子郎の指示に従い、移動を開始した。
観光シーズンは外れているとはいえ、東京の名所である浅草周辺は人でごった返していた。電話を片手に人混みを進む京に賢は必死なってついて行く。

(まったく、一度集中すると周りが見えなくなるんだよな。ほんと、困ったもんだよね)

賢はそんな彼女を愛おしそうな目で見つめた。そんな賢を複雑な瞳で見つめるミノモン。

(ずっと賢ちゃんの1番にはいられないよね)

デジモンカイザーの一件以来、賢との絆は一層深まったと感じいた。それでもその絆はあくまで、パートナーとしてのもの。家族や恋人といったデジモンでは理解出来ない絆もある。友情ならデジモンでも理解できる。特にジョグレス進化の相手であるブイモンに対して、他の仲間とは違う繋がりを感じる。
しかし、それさえも超えるのがパートナーとの繋がりだとミノモンは思っている。それでも賢が家族や京への想いは自分へ向けられるものとは違う、とミノモンは感じていた。実際は家族については、血の繋がりだけでなく、法律上もしくは紙面上で構成される。しかし、何より重要なのは当人同士の【情】の繋がりで、デジモン達とのパートナーとの関係と変わりはないはずなのだが、ミノモンとしてはそこに一線を引いてしまうようだ。
ミノモンが物思いに耽る内に、道を渡り切った一同は光子郎の指示に従い、移動を続ける。そして車一台が通れそうな道に入ると、

『すぐそこが目的地です』

電話口から言われ、京は目の前の建物を見上げる。賢もつられてその目線の先を追う。

「どうしたんでしゅか、京さん?」
「賢ちゃん、なんで固まってるの?」

完全に停止した2人に戸惑うポロモンとミノモン。
何故2人が固まったのか、その理由は……。


◆ ◆ ◆


『……泉先輩?』

困惑した様子の京の声が電話からでもよくわかる。

「どうしました?」
『本当に……ここで合ってますか?』

何故か京の声に覇気がない。周りを伺うように、小声に成りつつある。光子郎の様子にその場にいる全員が問題が発生した事を直感した。

『光子郎さん、一乗寺です』

口籠っていた京に代わり、賢が電話に出た。しかし、その声音は硬い。

「一体何があったんですか?」

光子郎の問いかけに、賢は非常に言いにくそうに、

『僕が言うのもなんなので、そちらで一度調べて下さい……』

そう言われて、光子郎は位置情報から住所を割り出し、それを検索にかけた。そこに映し出されたのは……、

「なっ……!」

その瞬間、赤面し硬直する光子郎。

「どないしはったんでっか、光子郎はん?」

様子のおかしい光子郎にその横に移動するテントモン。そして、硬直した理由を見ると、

「…………?」

テントモンの表情は基本的に大きく変わることはないが、今回に限っては、首を捻り困惑している様子がわかる。

「ちょっとぉー、テントモン! 何があったのよー!」
「てか、光子郎くん! 何か硬まってんのぉー!」

光子郎とテントモンの様子から、何があったのか気になってしょうがない、といった様子でパルモンとミミが急かす。一同、声には出さないが思いは同じであった。
テントモンはパソコンとモニターを同期させる為、キーボードを叩く。

「ちょっと待っておくんなはれ。今モニターに映しますさかい」
「ちょっ……! まっ……!」

キーボードを叩く音を聞いて、ハッと意識を取り戻した光子郎が声を挙げると同時に壁掛けモニターの画面が切り替わった。

「えっ……?」
「はっ……?」
「…………」
「何! オシャレな建物!」
「なーなー、ジョー! なんて書いてあるんだってばよ!」
「ヒッ……ヒカリ。ぐっ……苦じいぃ…」

その反応は子ども達とデジモン達で異なって(一体例外はいるが……)いた。その理由はモニターに映し出された建物の写真と名称。デジモン達は写真からその建物が自分達が住んでいるマンションの入り口と異なり、多少派手ではあるが妙な魅力を放っている。
対して子ども達は、建物の紹介文章を読んで、その建物が一般に宿泊もしくは休憩ができる施設だと判断した。ただ一般的なホテルのような宿泊施設でなく、好意を持つ異性(もしくは同性)が、2時間程度休憩(多くの利用者は休憩せず、激しい運動)を行う施設だと言う事を。
丈は口角をヒクヒクと動かし、ミミはこの世の絶望を見たような悲壮を浮かべる。ヒカリは表情こそはオファニモンフォールダウンモードのように無表情を貼り付けた様にしているが、手に持ったボーロを袋ごと握り潰している。
デジモン達はパートナーの表情を見て、状況がかなり不味い事を察した。しかし、どう打開するか妙案など浮かぶ筈もなくお互い顔を見合わせるだけであった。その空気をミミの悲鳴にも似た叫びがつんざく。

「いやぁあああああ! そんな、メイメイの……メイメイの……メイメイがぁあああ!」
「落ち着いて、ミミくん! なにかの間違いだよ。ねっ、光子郎!」

何が間違いなのか、自分で言っていて訳が分からないが、丈は光子郎に助けを求めた。しかし、無情にもその答えは彼らが求めたものではなかった。

「残念ですが、お二人はこの建物に中に入ったと考えるべきでしょう。まさか、こんな事が……!」

この場にヤマトがいなくてよかった、と光子郎は思いながらも、後々聞かれた場合どうしたものか、と苦悶していた。
一方ヒカリは未だに無表情の鉄仮面を外さぬまま、モニターをじっと見つめる。
全員が困惑する中、突然リズミカルに電子音が部屋に鳴り響く。

「あっ……、僕の携帯だ」

丈は一瞬取るのを躊躇うが、鳴り続けさせるのもこの場にはそぐわないと判断し、通話ボタンを押した。

「もしもし?」
『丈さんですか? 伊織です』
「伊織くん! どうしたんだい?」

それは京達とは別で移動していた大輔と伊織からの連絡だった。

『すみません。連絡が遅れまして。今、タケルさん達を追跡しているんですが……』
「タッ……タケル達を追跡しているだってぇー!」

丈の素っ頓狂な声に全員の視線が丈に集まった。丈は二の句が継げず、口をパクパクと動かしていると、

『ギリギリでしたが、地下鉄に向かうお二人を見つけたので、慌てて追跡を続けました。地下鉄に乗ったので、ご連絡が遅れて申し訳ありません』
「そう……それはよかった……。でも、どうして僕に?」
『光子郎さんがずっと通話中だったので、丈さんに連絡を……』

そう言われて、丈は光子郎に視線を向ける。光子郎は未だヘッドセットを装着しており、恐らく未だに京達と繋がっているのだろう。

「光子郎、伊織くんから連絡来てない?」

そう言われ、光子郎は自分の携帯に目を向ける。すると、伊織からのキャッチを告げる表示が映し出されていた。光子郎はバツが悪そうな顔を浮かべ、

「京くん、どうやらタケルくんにしてやられたようです。タケルくん達はそこにはいません」
『あっ……、そうですか……』
『アレ? 京、ちょっと入ってみたかった?』
『なっ……何言ってんの! そもそも、入れないでしょ!』

電話の向こうで京と賢のノロケ口論が聞こえる。光子郎は何故か無性に切りたくなったが、彼女達に伝えなければならない事がある。

「丈先輩、タケルくん達はどこにいるんですか?」

光子郎に聞かれ、丈は頷き返すと、

「それで伊織くん、タケルくん達はどこに?」
『今移動中ですが、十中八九あそこだと思います。その場所は―――」


スレッド記事表示 No.4693 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第1章「玉砕」すすやん2017/02/26(日) 23:20
       No.4694 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第2章「決断」すすやん2017/03/04(土) 16:44
       No.4695 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第3章「思惑」すすやん2017/03/12(日) 23:15
       No.4696 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第4章「独白」すすやん2017/03/19(日) 23:38
       No.4702 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第5章「高潔」すすやん2017/03/27(月) 00:10
       No.4704 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第6章「瀟洒」すすやん2017/04/02(日) 22:50
       No.4710 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第7章「欺誑」すすやん2017/04/09(日) 21:40
       No.4711 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第8章「期待」すすやん2017/04/17(月) 00:20
       No.4712 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第9章「思惑」すすやん2017/04/23(日) 23:45
       No.4713 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第10章「満喫」すすやん2017/05/07(日) 23:56
       No.4723 デジモンアドベンチャーtri.タケメイ二次小説 第11章「懐抱」すすやん2017/05/14(日) 23:38
       No.4731 デジモンアドベンチャーtri.タケメイ二次小説 第12章「衝撃」すすやん2017/05/21(日) 22:45
       No.4740 デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第13章「享受」すすやん2017/07/10(月) 00:08
       No.4756 デジモンアドベンチャーtri.タケメイ二次小説 第14章「円満」すすやん2017/07/16(日) 23:27