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ID.4713
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/05/07(日) 23:56


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第10章「満喫」
「ハイハイ、こちらぁー赤い太陽隊です!」
『…………大輔くんもそうですが、流行っているんですか、そのネーミング?』
「へっ? なんの事ですか、泉先輩?」

後輩達の奇跡のコラボに光子郎は言葉に詰まるも、

『タケルくん達は水上バスで移動しています。日の出桟橋で下船する可能性がありますので、待機をお願いします』
「水上バスですか……。なかなか乙なチョイスするね、タケルくん!」
『乙かどうかはわかりませんが、裏を掛かれたのは確かです。時間的に厳しいですが、最寄駅の浜松町に向かって下さい』
「了解しましたぁー! 京隊員とその一同現場に向かいます!」

ビシッと敬礼までして、対応する京。並んでいた賢は京が電話を切った事を確認すると、

「光子郎さん、なんだって?」
「タケルくん達、水上バスに乗ったみたい。だから、私達は浜松町に移動して、降りて来るか確認します」
「ねぇ、賢ちゃん。その水上バスにボク達も乗らないの? そうすれば、確実に追いかけられるよ?」
「そうでしゅ。なぜ、皆さんやらないのでしゅか?」

ミノモンの疑問にポロモンが同意する。すると賢は解説しようとして、

「先ずは電車に乗ろう。こうしている間にも、タケルくん達は日の出桟橋に近づいているからね」

そう言って、賢と京はミノモンとポロモンを抱えて、改札へと足早に移動した。


◆ ◆ ◆


「あっ、東京タワー!」

水上バスからその姿を見つけて、今日一番の声を挙げる 芽心さん。僕らは中の座席から移動して、船尾のオープンテラスに移動した。中と違いガラスはなく、風を感じながら風景を楽しむ事が出来る。

「今日一番のテンションの上がりようだね?」

俺が少しからかう様に言うと、芽心さんは赤面し、

「すっ…すみません。やっぱりザ東京を目にしちゃうと、興奮しちゃって……。田舎者ですみません……」

恥ずかしさいっぱいで謝ってくる芽心さん。そんなに謙遜しなくても……。純粋に楽しんでくれているんだから、俺は嬉しいのに。
心無い人は「あざとい」って言ってきそうだけど、芽心さんの行動や表情を見れば、そんな事一切考えていないのがよくわかる。

「ううん、素直に喜んでくれてるみたいで、デートコースに選んでよかったよ。鳥取の人ってみんな芽心さんみたいに素直なのかな?」

そう言うと、芽心さんはしばらく考えて、

「全員、そうかと言われればそうではないと思いますが、素朴さとお淑やかを売りにしているのは確かです。でも、地元のええところはきちんと言えます! …多分」

最後は自信なく萎んでいったけど、地元愛は結構あるんだね。

「メイ〜、でもあげな高い建てモン、米子にもないがないがなぁ〜」
「だなぁ〜。駅サが1番……、あっ、夢みなとタワーがあるがな!」
「ああ、そげそげ!」

完全に鳥取ローカルトークに入る芽心さんとメイクーモン。くっ、俺とパタモンは蚊帳の外だぜ!

「タケリュ〜、それで今日はあそこに行くの?」

パタモンが東京タワーを指差す。

「残念だけど、違うよ。アレ? パタモンには言ってなかったっけ?」

てか、丁度芽心さんと相談した時、側に居たはずなのに。

「僕きいてないぃ〜! ねぇ、どこ行くの!」

ムッと頬を膨らませるパタモン。怒ってても可愛いヤツめ!

「チェンぱい、それは着いてからのお楽しみだがん!」
「そうだよ、パタモン。ここまで来たら、何処に行くか聞かん方がエエよ」

メイクーモンと芽心さんは敢えてパタモンには内緒にしたい様だ。まあ、俺も反対はしないけど。

「うぅー、メイクーモン達が言うなら僕聞かない! 楽しみにしてるね!」

しばらく考えた後、そう結論付けたパタモン。
そうこうしている内に水上バスは日の出桟橋に着岸した。

◆ ◆ ◆

「意外に早く着いたわね」
「うん、結構近いんだね? 近所だけど知らなかった」

京と賢はテラスに座り、近づいてくる船を見ていた。
テーブルには併設されたカフェで出しているラテとココアが置いてある。
賢はラテをひと口啜ると、

「さっきの続きだけど、一緒の船に乗っちゃうとバレちゃうからだよ」

先ほどミノモンに返し損ねた件について答えた。

「そうかな? うまく隠れれば大丈夫だと思うけど……」

ミノモンの言葉に賢は首を横に振った。

「向こうにはパタモンやメイクーモンがいる。人間では気付かない事でもデジモンはわかる可能性がある。それに……」
「それに?」

賢は言い難い表情を浮かべて、

「やっぱりデジモンは目立っちゃうよね?」
「まあ、そうよね」

賢と京は苦笑いを浮かべた。

「やはり、目立ちましゅかね? ワタシタチ?」
「うーん、ボクは悪目立ちしそうかな?」

自分で言っておきながら、勝手にダメージを負うミノモン。
そうしている内に水上バスは目の前の桟橋に着岸した。

「ミノモン達はテーブルの下に隠れて。京はサングラスでも掛ける?」

賢はショルダーバッグからサングラスを取り出すが、

「ダイジョーブ! 今日はコンタクトだから。これは伊達メガネ」

メガネを外し、ケースにしまう京。
ベッド上でもお目にかかれない京の素顔が見れて、賢は内心ガッツポーズをとった。すると、賢の視線に気付いた京は、ニヤッと笑うと、

「ナニナニ? いつもと違う違う私が見れて、エッチな妄想しちゃった?」
「なっ…何言ってるんだよ! ………まあ………少しだけ………」

尻すぼみに答える賢にも京は嬉しそうに笑いながら、

「やっぱ、賢くんも中学生! そんな妄想しちゃうよね? ベースケだねぇ〜」

楽しそうに賢の様子を見ていたのだが、

「…………京、後で覚えておいてよ?」

賢は冷酷な言葉と共に、残酷な瞳でギロリと京を睨みつける。その目にかつてのカイザーの面影を感じ、京は口元を固めて慌てて目をそらす。

「賢ちゃん………」

その様子を下から見上げていたミノモンはその様子に恐怖を覚えながらも、何処か光悦に浸る自分がいる事を感じた。
その様子を横から見ていたポロモンはミノモンの言葉の最後にハートマークがついたのを聞き逃さなかった。

京達がそんな事をしている内に、水上バスは桟橋に着岸した。京はココアを飲む素振りをしながら横眼で、賢は渡しそびれたサングラスをかけて、下船する客を観察する。しかし、その中にタケルと芽心と思わしき姿を確認する事は出来なかった。
水上バスは桟橋に待機していた客を乗船させると、汽笛を合図に出向していった。
それを確認し終えた賢と京はお互い顔を見合わせ、

「降りなかったわね」
「そのようだね……」
「これからどうしましゅか?」
「まずは泉先輩に連絡。もしかしたら、私達が見逃している可能性もあるから」

ポロモンの問い掛けに答えながら、京は携帯を取り出して電話を掛ける。

『泉です』
「こちら赤い太陽隊!」
『…………京君ですね』
「アレ? なんか飽きれてます?」
『……いえ、なんでもありません。ところでタケル君達は降りた様子はないですよね?』
「はい! バッチリ見てましたけど、降りてないです!」
『発信器も隅田川を北上しています。まだ乗船中と見て間違いないですね』

京が光子郎と話していると、賢が電話を代わるように手を出してきた。京は携帯を渡すと、賢はハンズフリーボタンを押し、

「一乗寺です。僕らは山手線を内回りに移動しようと思いますが、何処に向かうべきでしょうか?」

賢の質問に光子郎は無言になる。賢達も黙って光子郎の答えを待った。

『浅草に移動して下さい。水上バスの停留所側にあるデートスポットと言えるのはそこです』
「浅草ですね。わかりました!」
『もう少し場所が絞り込めればよかったのですが……』

申し訳なく答える光子郎。太い眉を八の字にしている様子が目に浮かぶ。

「先輩! そんな謝らないで下さい!」

京はすかさずフォローを入れる。さすが出来た後輩をお持ちですね、と賢は微笑ましく思った。

「賢くんと〜、こ〜してぇ〜、デート出来るんでぇ〜、先輩には感謝しきりですぅ〜!」
「…………」

前言撤回。かなりの俗物でした。

『皆さん、よろしくお願いします。何か進展がありましたら、ご連絡します』
「ハイハ〜イ、こちらも移動しま〜す」

電話を切り、小さく息つく京。

「そんなに気張る必要ないのに……。まあ、そこが先輩のイイところだけど……」

少し呆れ気味にため息をつく。

「もしかして光子郎さんの為にあんな事を?」

賢が尋ねると、京は不敵な笑みを浮かべ、

「ハイ、ポロモン! いつまで隠れてんの! 行くわよー!」

テーブルの下からポロモンを引きずり出し、高く掲げる。

「京しゃん、人前でしゅ! みんな見てましゅ!」

慌てるポロモンに「ゴメンゴメン」と悪怯れる様子なく返す京。
賢が足元を見ると、ミノモンが訴えかける瞳でこちらを見ている。賢はミノモンを抱きかかえ、京がしたように高く掲げると、

「これでいいかい、ミノモン?」
「ありがと、賢ちゃん!」

ミノモンはその小さな手をバタつかせ、嬉しそうに答えた。その様子に賢も自然に頬が緩んだ。

「賢くん、ポロモン、ミノモン! 私達も行くわよ! いざ、浅草ぁー!」

こうして4人は浅草を目指し、動き出した。


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