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ID.4712
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/04/23(日) 23:45


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第9章「思惑」
「今、空さんから連絡がありました。協力して頂けるそうです」

カリカリカリ…

光子郎は携帯から耳を離し、机の上に置いた。

「じゃあ、これで全員が協力者になったわけね? なんだかんだで、最後にはまとまるのね、私たち!」

カリカリカリ…

ミミは小悪魔的な笑みを浮かべ、とても楽しそうにしている。

「はぁ…、なんで僕まで巻き込まれるんだ? 僕ぁ、受験生だよ!」
「そう言う割には、朝からノリノリだったじゃないか、ジョ〜?」

カリカリカリ…

深いため息を吐く丈にゴマモンが呆れ顔でひと言返す。

「なんや、今日の光子郎はんは一味違いまっせ!」
「あの『そーさほんぶ』ってなんなの! それにどうして顔の前で手を組んでいるの?」

カリカリカリ…

光子郎から放たれる謎の威圧感にテントモンとパルモンはたじろいでいる。
光子郎は椅子に座り、机に肘を突き、鼻の下辺りで手を組むポーズをとっている。何故か薄暗いオフィスに小さく開いたカーテンからの日差しを背中で受けて、まるで後光が差しているようだ。

カリカリカリ…

「なんか雰囲気出てるな、光子郎。でも、それより…」

テントモンたちと同様に光子郎の異様な雰囲気に飲まれそうになりながらも、丈は何故かこちらをチラチラ見てくる。
あのミミでさえ、何故か呆れ顔でこちらを見ている。
その理由はわかっている。ワタシは顔を半分上げて、

「ヒカリ、ボーロ食べ過ぎ」

一心不乱にーーそれを超えて一種の恐怖さえ覚えるーーボーロを口に運ぶヒカリをたしなめた。

「えっ……? あっ、ごめんなさい……。ついつい夢中になっちゃって……」

すまなさそうな顔をして、俯くヒカリ。しかしその手はボーロに向かっている。

「やっぱりヒカリちゃんって……」
「いや、どうだろう? 僕はどちらかと言えば、タケルの方がヒカリくんに想いを寄せてたと思ってたんだけど…」

その様子を見たミミと丈がコソコソとヒカリに聞こえない様に話している。まぁ私の地獄耳にしてみれば、そのこそこそ話もよく聞こえるのだが…。

パキッ

「ミミさん? 丈先輩?」

にこやかな半分微笑みを浮かべるヒカリ。その指からボーロの残骸がワタシの頭に降りかかる。
その微笑みはミミと丈向けられたものだが、何故か光子郎やテントモン達まで戦慄で顔を引き攣っている。
何をそんなに恐れているんだ? こんなにヒカリがカワイイィ〜笑顔をしているのに?

「オホン! では気を取り直して……」

光子郎はそう言うと、リモコンで大型モニターをオンにする。
そこには簡略化されたお台場の地図が。そこに赤く点滅する一点がある。
その場にいた全員がモニターに注目すると、光子郎はモニターの前に立ち、

「ミミさんが芽心さんに渡したぬいぐるみの中には発信器が内蔵されています。そこから発せられる信号がこの赤い点と言うわけです。つまりこの点のルートを解析すれば、お2人のデートを追跡する事が出来ます」

何時もの様に淡々と説明する光子郎。すると、丈が手を挙げて、

「ひとつ質問いいかい? その発信器はどこで手に入れたの?」

全員の視線が光子郎に注がれる。

「丈先輩、秋葉原で手に入らない電気部品はありません!」

力強く答える光子郎。その自信満々な顔で返した答えに丈も納得するしかなかったのか、静かに手を下げる。

「それだけでなく、実働部隊として、京くんと一乗寺くん、大輔くんと伊織くんにそれぞれ田町と月島に配置して貰っています」
建物に入られはったら、発信器でも追えへんさかい、その為にいてもろうてますぅ」
「更に空さん達が新木場にいますので、これで東京のどこへ行こうにも、あらゆる手段で追えるはずです」
「光子郎くん、すっご〜い! やっぱ頼りになるぅ〜」
「いえいえ、そんな事は」

謙遜しているが、ミミに褒められ口角がゆっるゆっるの光子郎。
しかし、人間は変わっているな。何故2人のデートをここまでして追跡したいのか?

「きっとみんな寂しいんじゃないかな?それを紛らわす為にこんな茶番をやってるんじゃないかな?」

ヒカリに今朝ここまで来る道中に聞いた時、そう答えてくれた。その時のヒカリは少し哀しそうな顔をしていた。
やはり、ヒカリもタケルに対して思う事があるのだろうか…。決して話してはくれないが、それを溜め込めるのはどうだろうか? ワタシにだけでいいから、話してもいいんだぞ、ヒカリ?

「ねぇねぇ? 赤い点が海の上に移動してるんだけど?」

パルモンの声にワタシはモニターに視線を戻す。確かに赤い点は何もない海の上を移動している様だ。

「そんな! 何故!」
「ああ、水上バスだね。料金は割高だけど、隅田川沿いにいろいろ見えるからデートや観光にはぴったりだね」
驚いた声を挙げる光子郎。それに答えたのは、丈。

「そういやー、ヴァンデモンの時もオイラ達、水上バスでお台場に帰ろうとしてたっけ? 結局乗れなくて、竹芝桟橋からイッカクモンで向かったんだよな?」
「レインボーブリッジでメガシードラモンと戦って、ズドモンに進化してで勝ったんだよね」

懐かそうに話すゴマモンと丈。

「なるほど。てっきり原宿か浦安方面に向かうと思っていたので、水上バスは盲点でした」
「じゃあ、2人を追えないの?」
「安心してください。その為の別働隊です」

顔を間近に寄せるミミに赤面しながら、光子郎は携帯を取り出した。

「もしもし 、泉です」

◆ ◆ ◆

「ハイ! こちら青いイナズマ隊です!」

大輔は元気よく光子郎からの連絡に答えた。
背中に背負ったリュックから顔を出したチビモンも体を出して、電話に耳を寄せる。

『今、月島駅ですか?』
「はぁーい! もちろん、伊織もいますよ!」

愛想よく答える大輔。そんな大輔に三白眼で睨んでいた伊織が、

「大輔さん、僕も聞きたいのでハンズフリーにして下さい」

対面する伊織に睨まれ、大輔は携帯のハンズフリーボタンを押した。

「光子郎さん、伊織です」
「ウパモンもおるでよ!」
「オレも! オレもいりゅぜぇ〜」
『全員、揃っていますね?』

携帯を前に全員が頷き、

『? 聞こえてますか?』
「ああ、すいません! います! 全員います!」

声を出さなければいけない事に気付き、大輔と伊織は慌てた。

『早速ですが、移動をお願いします。タケルくん達は水上バスに乗船しました』
「水上バスですか? じゃあ、東側の可能性は……」
『限りなくゼロに近い、と思います』

光子郎の答えに伊織は暫し考え込むと、

「では、竹芝桟橋で下船し原宿方面に、そのまま乗船で両国に向かう可能性がありますね」
『ええ。ですから、竹芝は京くん達にお願いしようと思っています。大輔くん達は自転車で水上バスと並行して、隅田川を登って下さい』
「任せといて下さい! あっ、あとヒカリちゃん、そこにいます?」
『いますけど……』
「伝えて下さい。オレ、このミッションを見事クリアしてみせます! って伝えて下さい」

キメ顏で宣言する大輔。何故キメ顏で言うですか?といった表情を浮かべる伊織。

『? 取り敢えず、気を付けて下さいね?』
「わかりました。また何か情報があれば、ご連絡下さい」

伊織はそう言って、通話を切った。そして地図を取り出すと、

「もし隅田川を上がって来る様でしたら、ここから目と鼻の先ですれ違いますね」

伊織は月島駅から北西方面に延びる道路を辿り、隅田川と交差す橋を指差す。

「おっ、余裕じゃん! のんびり行こ〜ぜ!」

余裕綽々といった表情を浮かべる大輔に対し、伊織は首を横に振る。そして橋から指を上流に進めながら、

「見て下さい。この周辺は水路が張り巡らされていて、川沿いにある道は途中で途切れてしまっているんです」
「? 何が言いたいんだ?」

目を点にして、チビモンと一緒に首を傾げる大輔に伊織は小さな苛立ちを覚えながらも、説明を続ける。

「自転車で並走するには、門前仲町方面に移動する必要があります」
「モンゼン…ナカマチ……って言うと……」

大輔は地図で門前仲町を探すと、

「げっ! 遠回りじゃん!」

月島から門前仲町を通り、再び隅田川と並走できるのは、橋を2つ渡る必要があるのだ。

「ヤバいじょ、だいしゅけ! 急がないと、タケルたち行っちまうぞ!」
「イオリ、早う出るだぎゃ!」

チビモンはその小さな手で大輔の頭を叩き、ウパモンは伊織の頭の上で飛び跳ねている。

「取り敢えず、移動しましょう大輔さん。まずタケルさん達が乗っている船を探さないと……」
「だな! よーし、行くぜ!」

2人はお互いの自転車に跨ると、

「おっしゃー! 青いイナズマ隊、出動ぉー!」

大輔は右手を掲げて叫ぶ。

「おー!」
「だぎゃっ!」
「………そのネーミング、辞めません? 正直恥ずかしいです……」

伊織の呟きに気付く事なく、大輔は自転車を漕ぎ始めたのだった。


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