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ID.4710
 
■投稿者:すすやん 
■投稿日:2017/04/09(日) 21:40


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第7章「欺誑」
「おい、何だよその格好は?」
「なんだよ? おかしなところないだろ?」
「そうだよ、いつも通り決まってるだろ(笑)」
「いや、ガブモンお前笑ってるじゃねーか…」

太一は呆れ顔で顔を臥せた。
今日はタケルと芽心のデートを尾行……ストーキング……追跡する為に、太一とアグモン、ヤマトとガブモンの4人は東京テレポート駅の改札前に集合した。
タケルたちにバレない様に、変装してくる様に太一に伝えていたヤマト。
そのヤマトの格好はいつもの様にシルバーアクセサリーを着けた痛…カジュアルな格好ではなく、赤と黒を基調とした独特なジャージを着ている。背中には奇抜なロゴが入っており、一瞬サングラスを掛けた人の顔にも見える。
それに合わせるかの様に、ヤマトもサングラスを掛け、いつもなら立たせている髪を大人しめに押さえている。
一方ガブモンは特に奇抜な格好はしておらず、いつも通りだが、

「ねー、ガブモン? どーしてサングラス掛けてるの?」
「あと頭に乗せてる緑の耳の長いウサギみたいなのなんだよ? それどこで売ってんの?」

アグモンとと太一の言う通り、ガブモンは丸いサングラスを掛け、頭には耳の垂れた薄緑のウサギの帽子を被っている。

「何って変装に決まってんだろ!」
「タケルたちにバレない様にヤマトが選んでくれたんだ。似合うかなぁ〜」
「似合うか、ってよりも…」
「いいなぁ〜、タイチィ〜! 僕もガブモンみたいなのがよかったぁー!」

アグモンが不満げに太一に顔を向ける。その反応に太一はギョッとしながらも、

「いいか、アグモン。ああ言うのはな、悪目立ちするから良くないんだぞ?」

そういう太一は、欧州のサッカークラブのロゴが入った青地のTシャツ。下は膝下までのデニムパンツ。

「いつも通りじゃあねーか!」

ヤマトがツッコミを入れる。

「なんだよ、悪いかよ! そもそもそんな奇抜な格好してるとなんか不自然だろ」
「そうそう! だから、太一と僕が一休さんとパンプアグモンに進化するから……」
「悪ぃ、アグモン。俺、一休さんに進化出来ないわ……」
「えっ、どうして?」
「大人の事情ってヤツさ……」

寂しそうに遠い目をする太一。

「だからと言って、そのまんまじゃ尾行出来ねーだろーが!」
「まぁ、待てって。こう言うのは、特徴さえ消しちまえばいいんだよ。例えば、俺の場合……」
「ウルトラルーズとゴーグルだろ?」
「いつ話だよ! 大体、両方とも中学で喪失したわ!」

太一が喚き散らすと、ヤマトの横にいたガブモンが頷き、

「つまり、その寝癖をなんとかすればいいんだな!」
「…………ベビーフレイムしちゃう?」

ガブモンとアグモンの冗談に聞こえない会話に太一は咄嗟に髪を庇った。

「怖い事言うなよ……。そもそも寝癖じゃねーし!」

寝癖じゃない発言にヤマトは雷に打たれたような顔をしたが、

「兎も角だ! 先ずはそのねぐ…ヘアスタイルを何とかしないと」
「その為にいろいろ用意したぜ? ほら、アグモン。これ着けて みろよ」

太一はそう言って、アグモンにヘッドホンと赤いマフラーを着けてあげる。
アグモンはマフラーを物珍しく触っていたが、

「暑い……」
「我慢しろよ、アグモン……。俺も被るから」

すると太一はリュックから麦わら帽子を取り出し、それを被り、「2005」とデザインされたサングラスを掛けた。

「うわっ、ダサッ!」
「その言葉、そのまま返す。ぜってー、隣にいたくねー」

正直異質な雰囲気の4人が駅の改札前に屯ろしているので、非常に浮いている。
ガブモンはこちらを不審な目向ける人たちに気付き、そっと顔を伏せた。
そうしている内に、見慣れたシルエットがエスカレーターを降りてくる。
パタモンを抱えたタケルである。
太一たちはタケルにバレない様、少し距離を取った。
タケルは周囲を見渡し、それから携帯を取り出し電話を始めた。すると、コンビニから鐔の広い帽子を被った女性が電話片手に出てきた。タケルもその存在に気付き駆け寄る。

「アレが望月か? なんか雰囲気違うな……」
「デートだからおめかししてるんだろ?」

ヤマトは芽心の印象がいつもと違う事に気付いたが、太一は素っ気なく答えた。
ヤマトは小さな勝利を感じたが、今大事なのは目の前の2人だ。

「メイクーモン、どこかな?」
「多分、あの大きなバッグの中に入っているんじゃないか?」

対するアグモンたちは、一緒に行くと言っていたメイクーモンの姿がない事に気付いたが、タケルたちが移動する素振りを見せると、

「取り敢えず、後を追うぞ!」
「待て、ヤマト! 切符買ってない!」

ICカードを片手に改札を通ろうとしたヤマトは太一の言葉でズルッとコケて、改札のバーに頭をぶつけそうになる。

「おまっ…、Suicaは?」
「持ってねーし」
「太一ぃ、スイカってー、なーぁにぃ? それ美味しいよね?」

イントネーションと自分の記憶を探って、アグモンがそれを食べ物だと認識し、ヨダレを垂らしてる。
その様子を呆れ顔で見ていたガブモンは、小さな紙を取り出すと、

「電車に乗る為の切符だよ。普通ならこ切符を買わないといけないけど、前もってヤマトが持ってるカードにお金をチャージしておけば、切符を買う手間がなくなるんだ」
「そっか…。食べ物じゃないんだ……」

がっくりと項垂れるアグモン。
ガブモンの知識に驚きながらも、太一は2人分の切符を券売機で購入する。
太一とアグモンが改札を抜けると、苛立ちを隠さないヤマトが貧乏ゆすりをして待っていた。

「悪りぃ、悪りぃ!」
「……前もって買っとけよ」

本当はもっといろいろ言いたい事があったが、次の電車まで時間がない。4人は地下のホームに移動する。
丁度ホームに下りた時、電車がやって来た。
太一たちがタケルたちを探すと、入って来たばかりの新木場行きの電車に乗り込む姿を確認できた。
太一たちは1両後ろの車両に乗り込む。その直後、電車が動き出した。

「なんとか間に合ったな」
「ああ、このまま舞浜まで……、えっ……ええっ!」

ホッとひと息つくヤマトに太一も同調するが、その瞬間有り得ないものを目撃する。
そこにはホームでこちらに向かって手を振るタケルだった。

「今のタケルだよね?」
「ああ。手振ってたね」

アグモンとガブモンも目撃しているので、見間違いではない様だ。
太一たちの様子にヤマトが怪訝な顔をしていると、

「あー、まんまとタケルくんに駄まされたわね、おふたりさん!」

ヤマトが振り返ると、そこには帽子を目深く被った白のワンピースの女性、望月芽心。

「望月!?」
「太一さんもヤマトくん、とっても目立ってましたよぉ〜」
「…………じゃあないよな……」
「そもそも望月、そんな甘ったるい声で語尾伸ばすかぁ?」
「て言うか、空だよね?」
「ああ。何してるんだ、空?」

アグモンたちからも正体がバレてガックリする望月芽(偽)こと武之内空。

「タケルに頼まれて、一芝居うったの」

すると肩掛けバッグからピヨモンが顔を出して、経緯を説明した。
タケルは選ばれし子供たちの中で確実に自分たちの後を尾ける人物がいる事を予想していた(特にヤマト)。
そこで予め偽のデートプラン情報を流し、そして追跡者を撒く為に空にお願いし、一芝居うってもらったのだ。

「遠目だとバレないと思ったけど、やっぱり声でわかっちゃうか〜」

そう言うと、眼鏡とカツラを外し、苦笑いを浮かべた。
すると、太一とヤマトは急にそっぽを向き、よそよそしい態度をする。

「何よ? 言いたい事があるなら、言いなさいよ!」

その態度に怪訝な表情を浮かべた空は2人を問い詰めた。
太一とヤマトはお互い顔を見合わせると、

「そのワンピース……似合ってるな」
「意外に眼鏡を掛けてるのも、雰囲気違ってよかったぜ」

2人からの意外な答えに顔を赤くする空。まさか、この2人からそんな言葉が出てくるとは想定していなかったのだ。
空はピヨモンバッグごと抱え、顔を隠すと、

「その……ありがと……」

ぼそりと返した言葉だったが、太一とヤマトにも聞こえていたのだろう。こちらも顔を赤くしている。
アグモン、ガブモン、そしてピヨモンはパートナーたちの反応に自然と笑みが溢れていた。

「ところでこれからどうする?」
「どうするって?」
「もうすぐ新木場よ?」

切り出したのは空。太一は乗車口の電光掲示を確認すると、「次は新木場」と表示されている。

「まさかこのまま夢の国に行くつもりなの? 男2人で?」
「えっ……いやぁ〜」
「まぁ……なぁ?」

口籠る2人に空は少し意地悪な顔をして、

「ならこれからタケルくんと芽心ちゃんのデート追跡しない?」
「お前、タケルの味方じゃないのか!」

タケルの陽動作戦に協力していた空はタケルの味方と思っていた太一は驚き、ヤマトも肯定の頷きを繰り返している。
対する空は、そんな2人の態度を機にする様子もなく、

「私だって頼まれたから協力しただけで、2人のデートに興味あるわよ! それにタケルくん。私も信用してなかったのか、教えてくれなかったしね」

少し恨みがましい笑みを浮かべる空に太一たちは恐怖を感じた。

「でも、タケル見失っちゃったわ。どうやって後を追うの?」
「匂いも追えないしね」
「俺がガルルモンに進化すれば、なんとかなるかも!」

ピヨモンが困った顔をして、ガブモンがとんでもない事言い出すと、空は不敵に笑った。丁度そのタイミングで電車は終点新木場に到着する。
6人はホームに降り立つと、空は携帯を取り出し、

「同じ事を考えているのは、私たちだけじゃないって事」

そう言って、電話を掛けた。


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