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ID.4702
 
■投稿者:すすやん 
■投稿日:2017/03/27(月) 00:10


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第5章「高潔」
「光子郎はーん、タケルはんとパタモンが来ましたでぇ〜」
「いらっしゃい、タケルくん。すみませんが先約を済ませますので、ソファに掛けて下さい」

僕とパタモンはテントモンに案内され、光子郎さんのオフィスに。そこには既に先客が居て、

「あっ、タケルさん。ご無沙汰です」
「だぎゃ!」

伊織くんとそのパートナーのウパモン。お菓子の袋に顔を突っ込んでいたから、口の周りにカスが…。
テーブルにはウパモンが食い散らかしたと思われるスナック菓子の残骸と家から持ってきたおはぎの重箱が置いてある。
パタモンは僕の手から離れると、ウパモンの横に降り立つと、

「ウパモン、久しぶりだねぇ〜」
「ポロモンとはよー会っとるがぁ〜、他のみんなとは都合が合わんで、会えとりゃせんでぇ〜」

確かにあの冒険の後、伊織くんたちは体調が優れなくて、お見舞いにも行けなかったっけ?
「伊織くん、久しぶり! 学校が同じなのに全然逢ないね?」
「建物が違うので、仕方ないと思います。あっ、タケルさんもいかがです? 母のおはぎです」

相変わらず、律儀だなぁ〜。
伊織くんが皿に盛ったおはぎを受け取り、ひと口大に切ると、

「はい、パタモン!」

パタモンに差し出す。パタモンはそれをパクッと食べると、

「ふふふ! 伊織のお母さんのおはぎ、いっつも美味しいね!」
「そうだね」
「ありがとうございます。母にも伝えておきます」

僕もひと口頬張る。うーん、このさっぱりとした甘さがたまらない!
「体調はどう? 戻ってきたときはあの大輔くんがげんなりしてたくらいだし?」
「タケルさん。僕は小学生ですよ? 真夏の道場で防具を来て剣道をやっているので、3日くらいは動けませんでしたけど、それからは問題ありません」

逆に動いていないと、鈍ってしまいます、と一言付け加える伊織くん。ははっ、ホント相変わらず真面目だね。

「伊織のお母さんはもっと休んどけ、ってゆーとるが〜! この前もケーコでふらついとっただぎゃ!」
「えっ?! そうなの? 伊織くん、無理はよくないよ………」
「いえ、お爺様もそこは気を遣っていますし、大丈夫です。それに………」

すると、伊織君はケータイを取り出すと、

「僕には疲れたときに癒してくれる相手がいますから」

ニヤッと笑みを浮かべる伊織くん。
あー、そっか………。伊織くんにもいたよね、彼女。まさか、スマーティに彼女自慢してくるとは、誠実の継承者、あなどれない。
光子郎さん、知識の先輩としてなんか負けてますよ。

「んっ? どうしました、タケルくん?」
「いえ、なんでも」

僕のチラミに気付いたのか、光子郎さんが声を掛けてきた。僕が慌てて、流すと、

「そうですか。もう少しですので、待っていてください」
「はい、タケルはん、パタモン。お茶でっせ」

僕が苦笑いしていると、テントモンがおはぎに合う煎茶を出してくれた。さすが、できる秘書だ!
「これがこーで。…………よし、これで問題ありません。タケルくん、お待たせしました」

光子郎さんはデスクから離れると、引き出しを開き、手の平大の包装紙に包まれた箱を取り出す。それとノートパソコンを持って、僕らと対面する様に座った。

「今、伊織くんのD-3に特別なプログラムをインストールしています。それが出来れば、同じものをタケルくんのD-3にもインストールします」
「インストールって、何を?」
「ホーリーリングです」

ホーリーリング? どうして、そんなものを?!
「光子郎さん、説明をお願いします」

困惑する僕を横目に伊織くんが代弁してくれた。恐らく伊織くんも同じ事を思ったんだろう。
光子郎さんは小さく頷くと、

「今回はイグドラシルにいい様に踊らされました。そしてこの様な事は幾度となく訪れると僕は予想しています」

光子郎さんはそこでテントモンが用意した烏龍茶をひと口飲み込む。

「そこで戦力アップの為、ジョグレス進化に注目しました。以前の様に簡単にジョグレス進化はできなくなりました。その理由はわかりますか?」
「テイルモンのホーリーリングを媒体にしていたので、それができなくなったから、ですよね?」
「そうです。ジョグレス進化は特異な進化。2体のデジモンで構成されるのに、デジコアはひとつのみ。ホーリーリングがなくても進化はできますが、安定が難しく、長期戦は困難でした。そこで…」

光子郎さんがノートパソコンの画面を見せる。そこにはワイヤリングされたホーリーリングと解読不能なコンピュータ言語、数字とデジ文字の羅列。

「テイルモンのホーリーリング、そして嘗て一乗寺くんが使っていたイービルリングのデータを元にジョグレス進化に必要なデータを抽出したものです。これをお二人のD-3にインストールして、安定性を確認します」
「光子郎さん、先程戦力アップと仰いましたが、僕はアルファモンとの敗北を経験しました。確かに僕たちはアルファモンの力の前に敗北しましたが、正直ウパモンを戦わせたくありません………。弱いままなのは問題があるとは理解していますが………」

俯きながら、膝に置いた拳を強く握る伊織くん。どうやら?戦力アップ?という言葉が引っかかる様だ。

「僕も闇雲に戦わせたくはありません。それでも、力が無くては蹂躙されるだけです。?倒す?ではなく?抗う?力として、理解してくれませんか?」

光子郎さんは諭す様に伊織くんに説明をする。伊織くんには感情や誤魔化しよりも正攻法で行くしかない。論理的に説明をして、納得して貰うしかない。

「…………」
「つまり、オレもシャッコウモンに進化できるだぎゃ?」

葛藤する伊織くんを他所にウパモンが尋ねてきた。

「理論上は。更にアルマジモン単体でもシャッコウモンに、その上の究極体へも進化できないか考えています」

まだまだ調べる事は多いですが、と光子郎さんは苦笑い混じりでウパモンの質問に答えた。
その言葉にウパモンは目を輝かせ、

「イオリィ! オレも究極体に進化したいがや! やってみるだぎゃ♪」

ウパモンは伊織くんの膝の上に乗ると、ぴょんぴょん飛び跳ねている。伊織くんは複雑な表情を浮かべながら、

「そうですね。というか、既に実行済みなんですよね、光子郎さん…」
「すみません。やはり、伊織くんにも事前に説明するべきでした。失念していて、申し訳ありません」

苦笑する光子郎さんに対して、伊織くんは小さく首を振ると、

「いえ、僕もわがままもいってしまって、申し訳ありません。それに僕も負けっぱなしは性に合いません」

伊織くんはウパモンの頭を撫でながら、答えた。その言葉にホッとした表情を浮かべる光子郎さん。

「よう、おましたな、光子郎はん。1番説得が難しそうな伊織はんに最初に声を掛けて!」
「ええ。まだ上手くいくかもわからない内容でしたし。このような無茶なお願いができるのは、知識の紋章を引き継いでくれた伊織くんでないと難しいと思ってました。タケルくんは巻き込んでしまってすみません………」

申し訳なさそうに謝罪する光子郎さん。

「いえ、そんな! 僕は喜んで協力しますよ!」
「わーい、ボクもシャッコウモンに進化できる!」
「パタモンはセラフィモンに進化できるだぎゃ! 贅沢だぎゃ!」
「まあまあ、パタモンもウパモンも、まだ可能性の話やから、みんなで長い目で調査していきまひょ」

テントモンがお菓子の入ったバケットを差し出して、2人を宥めた。その瞬間、2人ともお菓子に群がる。

「ところでタケルに来て頂いたのは、もうひとつ渡したい物があったからです」

そう言って、傍に置いていた箱を僕の前に差し出す。

「光子郎さん、これは?」
「お菓子?」
ビリッ!
僕が手に取るよりも先にパタモンがその箱に手を掛ける。

「出来れば、家に帰ってから開けて貰いたいですが………。まあ、芽心さんとお付き合いを始めたタケル君への僕からの餞別…」
「だぎゃ!」

ビリッ!
ウパモンが勢いよく包装を破いた。
「あっ……」と小さくを声を出した光子郎さんは右手を出した状態で固まっている。
そこに見えるのはビニールに包装された箱。表面に「めちゃ薄…」の文字が見える。

「…………」
「…………? …………!」
「…………」
「あちゃぁ…………」

三者三様の表情を浮かべる。
僕らの顔を不思議そうな顔で見回すパタモンとウパモン。
この空気の中、言葉を発したのは、伊織くん。

「光子郎さん、これをどこで?」

そこを聞きますか。確かにコンビニやドラッグストアで入手可能だけど、光子郎さんがそんなところで買える勇気があるとは思わない。きっと…、いや間違いなく、

「伊織くん、世の中にはネット通販というものがあります!」

やっぱり、そうだと思った。

「まだお付き合いし始めだと思いますが、いつかその……セ……そうジョグレス! ジョグレスする機会が来ると思います!」

赤面しながら、なんで言いにくい事を言うんだ、この人は…。

「そんな時、お二人はまだ未成年ですし、このコン………そうデジメンタル!高潔のデジメンタルが必要になる筈です!」

高潔のデジメンタル……。まあ、いいや。そこにはツッコまない。

「光子郎さん、どーしてこれを?」

困惑しながらも、餞別の由来を確認する。

「えっ? アメリカの友人に聞いたら、これが一般的だと言っていたものですから…?」
「一種のアメリカンジョークというヤツですね」

伊織くんがため息混じりに呟いた。

「まあ、そこそこいい値段ですから、中学生には嬉しい贈り物ではないでしょうか、ねっ、タケルさん?」
「まあ、そうだね」

乾いた笑いをする僕と伊織くん。アレ? 伊織くん、なんで高潔のデジメンタルの値段知ってるの? さすが彼女持ち…と言ったところか。

僕が伊織くんに小さな疑問を浮かべていると、光子郎さんのデスクトップパソコンから「ピロリン」と音がなる。
光子郎さんがパソコンに向かい、少しキーボードを叩くと、

「よしッ! インストール完了です! 次はタケルくんのD-3を貸してください」

僕はD-3を光子郎さんに渡すと、改めて餞別の箱を見る。

「うーん、サイズ合うかな?」

僕は帰ってから、こっそりデジメンタルアップする事を心に誓ったのだった。


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