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ID.4696
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/03/19(日) 23:38


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第4章「独白」
「なあ、太一。聞いてくれ…」

ヤマトは口の前で手を組んだポーズで対面の太一に問い掛けた。その横のガブモンは「またか…」と呆れた表情を浮かべている。
太一も同じ事を考えていた。

ヤマトがブラコンなのは、昔からわかっていた。最近はそれも落ち着いていたと思っていたのだが……。

(ブラコンって、再発するんだな…)

正直、ヤマトのブラコントークは夫婦喧嘩並みに食う奴はいない。小学生のころは、「タケルぅ〜、タケルぅ〜」とタケルにべったりだったが、いつの間にかそれも落ち着いていたと思っていたのに。今は話が長く、正直鬱陶しい……。
それを差し引いても、ヤマトのタダ飯が食えるのだから、食べ盛りの金なし高校生には多少の事なら我慢できる。
要は聞き流せばいいんだからな。

「昨日、タケルの家に行ってからこうなんだ。なんとかしてくれよ」

ガブモンが困った表情でこっちを見ている。たった1日でガブモンが根を上げるなんてよっぽどなんだろうな。
俺はチャーハンをレンゲで掬い、ひとくち頬張る。
うん。豚キムチチャーハンが美味い! キムチの辛さと豚バラ肉の脂の甘さがちょうどいい。

「昨日、タケルの家に飯作りに行ったんだ」
「うんうん。このチャーハン美味いな! なんかコク?  っていうの?  それが美味い!」
「………ラードを使って食材を炒めている。あと隠し味に味噌をいれてる」
「あー、このコクは味噌がミソなのか!  味噌だけに!」
「………太一、人の話聞いてるのか?」
「んあっ? うん、聞ひてふ、聞ひてふ」
「なら、食ってるだけじゃなくて、ちゃんと聞けよ!」

ヤマトは目の前の皿を奪い取り、俺を睨みつけた。
なんだよ、お前のブラコン話に付き合わされるこっちの身にもなれよ……。

「わーってるよ。でっ?  タケルの家で何があった?  タケルがナニしてるのを見ちゃったとか!」
「…………見られた事はある」

マジか! あれは気まずい!

「あっ、そう……。まあ、気にすんなよ!  俺もヒカリや母さんに見られそうになった事あったから!  ほらっ、俺の部屋ベランダ越しにあるだろ? だから、洗濯物干す時とかにさ___」
「お前……いや俺たちのナニの話はいい!  本題に戻るぞ!」
「なあ、ヤマト?  "ナニ”ってなんの話だ?」

慌てて取り繕う俺に、ヤマトは少し顔を赤らめて、反応した。
いや、ホントナニする時は部屋の鍵とカーテン閉め忘れには注意しないとな。
ヤマトはフランスの血が混じってる割には、意外に奥手___いやムッツリスケベなところあるよな。

「まっ、ナニを教えたのは俺なんだけど……」
「はっ⁉ ︎ 嘘言うな!  お前も似たような感じだったじゃねーか!」
「まぁー、今はいいじゃん……。でっ、"ナニ”ってなんだよ⁉︎」

睨み合う俺たちにガブモンが困った感じで聞いてきた。ハハッ、まー無理ないよな。デジモンには無関係な話だ。
「お前は気にしなくていい」とガブモンに言うと、

「タケルが望月と付き合ってるのは、知ってるよな?」
「ああ、空から聞いた。いやぁ〜、残念だね、1番じゃぁ無くなって。オニイチャン?」
「だから、やめろって! たくっ、そんなに俺をイジって楽しいかよ?」

ムスッと不貞腐れるヤマト。そんな表情をするから、からかい甲斐があるんだけど!
正直、タケルがそこまで本気になるとは思ってなかった。結構、望月に対して気を遣っている印象はあったが、もう告白するなんて……。

「やっぱ、タケルの方がフランスの血が濃いのかもな!」
「うっせー。手が早いのは島根の神様の方が上手だぞ?」

ヤマトは俺を一層キツい目で睨みつけると、

「そこで俺は見つけたんだ……」
「えっ⁉ ︎ 使用済みのゴム?」
「…………(ギロッ)」
「悪かったって……。 そんな目で 睨むなよ……」
「…………リビングにあの?ランド?のパンフがあったんだ」

…………。
ランド……て、あのランドだよなぁ? トロピカルなパレード曲が流れているあのネズミの王様がいる? 確か王様の恋人が昔の空みたいな声してたよな?
俺も家族やサッカー仲間で何回か行ったけど、まあ恋人同士でいくのも悪くないよな。
…………………。
悪くないどころか、普通じゃね?
なら、別に可笑しなところはないし、むしろ当然じゃあ……。
えっ?  てか、それだけ?

「なんだよ!  それだけって、なんだよ!」
「いや、口に出してねーし!  そもそも付き合ってたら、そんくらい、普通だろ?」
「普通だと⁉ ︎ まだ中学2年生が高校2年生との初デートにあの?ランド?を選ぶか⁉︎」
「選んだっていいだろ⁉︎ もう中学生だし、そんなに遠出する訳じゃないんだから……」
「でも……、タケルは……いつも……俺のライブに女の子連れて来てて……」

そう言うと、ヤマトは持っていたチャーハンの皿をテーブルに置き、うっうっと嗚咽しながら、泣き出した。
メンドクセー!
泣くことか、そんなことで! ホント、付き合ってらんねー!
俺はそーっとチャーハンにレンゲを伸ばす。しかしヤマトは嗚咽しながら、皿をスッと離れたところに移動させる。まともに対応しないと、食えねーのかよ!
アー、メンドクセー!!

「なっ?  もう俺じゃあ、どうしようもできないんだ!  あの闇堕ちした時より重傷なんだよ!」

困り果てた顔を浮かべ、両手を広げるガブモン。
いやっ、俺にどうしろと……。
俺もそんなに経験豊富な方じゃないし、どうアドバイス……いや、この場合恋愛経験は関係ないか……。

「なら、ヤマトはタケルの初デートはヤマトのライブに来て欲しいんだ?」

俺の問いに、ヤマトは小さく頷く。
ウワー、メンドクセー!!!!
初デートに兄貴のライブって、どんだけブラコンなんだよ! 俺が彼女なら引く!  よくこれまでの彼女たち、耐えられたな……。

「太一、これでもヤマトは心配してるんだよ。中学生のお小遣いで無理してるんじゃないかって……」
「……俺のライブだったら、チケット代安く渡せるし、なんなら飯代も少しは出せるから……」

へー、ヤマトも考えてるんだ。たまに”お兄ちゃん”やってるじゃんか。
でも、タケルなら本当に必要と思った時に、ヤマトを頼るんじゃないか? 案外、俺たちの誰よりもしっかりしてるし、ちゃっかりしてる。そんなに心配しなくてもいいんじゃないか?

「まあ、タケルの事だし、きっちりデート計画してるんじゃないか? 俺らよりも場数こなしてんなら、まだお前を頼らなくても大丈夫だって判断したんじゃねぇーか?」
「そんなもんか?」
「まっ、俺もタケルには頼られたいしな!  アイツ、小さい時に俺の弟になりたい、とか言ってたけど、十分弟みたいな存在だよ」
「お前にはヒカリちゃんがいるだろ?」
「うまく言えねぇーけど、もっとワガママ言ったり、頼って欲しいんだよ、俺も……。でも、多分気兼ねなく無理な頼み事を相談されるのはお前しかいないよ……、オニイチャン?」
「バッ……バカっ!」

眉間に皺を寄せ、悪態を吐きながらも、ヤマトの表情は何処か嬉しそうに見えた。

「まぁ、俺もタケルのデートプランは興味あるけど!」
「因みに太一は今までどんなデートした事あるんだ?」
「確かにオレも知りたい。そもそも太一、女の子と付き合ったことあるのか?」

軽く零したひと言から、ガブモンとヤマトがなんか食いついて来た!

「バカッ、俺だってデートの1つや2つ……って言いたいけど、サッカーに集中しちまって、グループデートみたいなのしかないなー」
「…………それ、ホントにデートか?」
「ガブモン、触れてやるなよ。そこは温かい目で見てやろうぜ……」
「なんだよ、ソレ!  ふざけんじゃねぇーぞ!  そもそも向こうの方が俺に好意持ってたらしいし!」

それを言った瞬間、俺は「ヤバい、言い過ぎた!」と思った。が、既に後の祭り。ガブモン瞳には好奇色が、ヤマトは一見興味なさげだが、チラチラと視線をこちらに向けてくる。あー、鬱陶しい!

「なあ、相手の女の子……女の子でいいよな?」
「当然だ! 怒るぞ!」

ホッと安心した表情を浮かべるガブモン。おい、ヤマト。お前はなんでそんな驚いた表情をするんだ!

「その女の子との関係って……」
「相手のプライバシーががあるんから、黙秘する!」
「黙秘って……」
「大体、俺は呼ばれて来たんだぞ?  ヤマト、お前が先に話すのがマナーじゃないか?」

俺は無理矢理話題の方向性をヤマトに軌道修正する。こうすれば、ヤマトの事だ、なんだかんだで話をはぐらかすに違いない。

「俺か?  そうだな、基本ライブかな?」

……マジかよ。この話、引っ張るのかよ……。唖然とする俺を横目にヤマトは話を続ける。

「結構渋谷や恵比寿のライブには行くな。やっぱり他のバンドの曲を聞いて、俺もインスピレーション貰ったりするし、いいもんだぞ。後は合羽橋とか築地を回るのも…」

ヤマトが嬉々として、調理器具や食材の話を始める。あー、こいつの趣味の世界が始まった…。
大体、デートで合羽橋や築地って盛り上がるのか?  俺は行ったことがないからわかんねけど、楽しいモンなのかねぇ〜。

「まっ、金ないし中々買う事は出来ないけどな…」
「でも、ヤマトの料理はスーパーの食材でも十分美味いぞ!  これでいい食材や道具を使ったらどうなるんだろうな!」
「ガブモン、良いものを使えば良いってモンじゃない!  大事なのは、丁寧な下準備とどう調理するかだ!」

料理を語り出したヤマトを見ていた俺はフッと思った事を口にした。

「ヤマトはミュージシャンになるのか、それとも料理人になるのか?」
「いや、違うけど」

あっさりとした回答。しかも意外な答えでびっくりした。

「えっ、だってお前……!  そんなに料理や音楽に対して、熱く語ってるじゃないか!」
「ああ。でもこれは好きな事でやりたい事じゃない」
「なら、ヤマトは何をやりたいんだ?」

ガブモンがストレートに聞く。ヤマトはしばらく考えた後、手に持っていた皿を置き、

「俺は防衛大を考えている」
「…………」
「…………何それ?」

俺の返答に呆れて溜息を吐くと、

「要は自衛隊の育成機関だ。今回の感染デジモンやリブートの件で俺自身の無力を痛感した」
「…………」
「デジモンの事はこれから先、決して避けられない。だから、西島先生が所属する組織みたいなのが、秘密裏だけど組織されたんだと思う」
「…………」
「それに今回の件も、俺たちが高校生どころか一般人がどうこう出来る話じゃなかった。でも、例え秘密組織でどうこうできる問題でもなかった。俺たちには権力がなく、先生たちには武力がなかった」
「…………だから、俺たちみたいな選ばれし子供達による問題解決組織が必要なのか。しかも、一組織ではなく世界的に発言力があって……」
「オレたちみたいなパートナーデジモンがいるヤマトたちがオレたちを使って、問題を解決するのか?」

ガブモンが真っ直ぐな瞳でヤマトを見つめる。ヤマトはガブモンの頭も軽く叩くと、

「対デジモン兵器はあるようだが、それが完全体や究極体に通用するには時間がかかる……。俺もお前を戦わせたくないけど……、俺たちしかできないなら……」

そこで言葉を区切ると、ヤマトはガブモンに視線を向ける。その視線を感じ取ったガブモンは、同じように見つめ返し、

「 ヤマトが戦うって言うなら、オレも戦う! だって、ヤマトは……」

そこでガブモンは顔を赤らめる。その表情を見て、ヤマトも照れくさそうに、

「ガブモン……。ああ、俺も同じだ。ガブモンは大切なこの世界で唯一の俺のパートナーだ!」

アイコンタクトで頷き合う2人。
…………………。
俺、帰ろうかな…。

「今度はお前の番だぞ、太一?」

急に俺に話を振り、真っ直ぐに見つめるヤマト。
くそっ、ニガテなんだよ。その瞳。
俺は観念し、小さくため息を吐いてから、

「俺は……、もっと世界中人たちにデジモンやデジタルワールドの事を知ってもらいたいと思ってる。感染デジモンの件で、アグモンたちはいわれの無い風評被害を受けた。確かにデジモンの力は強大だ。でも、それは人間も同じだろ? 使い方を誤れば、世界は崩壊するだろうし、平和にもなるだろう。
俺は世界が……世界中の人がデジモンやデジタルワールドを受け入れられる世の中にしたい。これ以上、あいつら傷つけたくない。でも、その為に何をすれば良いのか……、何になれば良いのかわからない。わからないけど、俺は世界中にデジモンとデジタルワールドを知って貰う仕事に就きたい…! そう考えてる」

ふっ、我ながらクサイ台詞を言っちまったぜ…。でも、それが今の俺の正直な気持ちだ。だから、外国語を勉強出来る学校に進もうと、先生と相談して………、アレ?  なんだ、ヤマト?  その気不味い表情は?

「いやっ、まさかお前も将来の目標を語り出すなんて…」

えっ……⁉︎

「てっきり、もう少しグループデートの話を聞こうと、話を振ったつもりだったんだが……」
「オレもそんな話になると思ってたんだけど…」

ヤマトとガブモンは顔を合わせると、

「なんかゴメンな。将来の夢なんて、語らせちまって……」
「でも、太一もしっかり考えてる事分かったから、よかったんじゃないか、ヤマト?」

えっ……えっ! 何に⁉︎ 俺、語り損?

「マジかよっ!」

うっわっ、ちょー恥ずかし!
項垂れる俺を不憫に思ったのか、ヤマトがそっとチャーハンを差し出してくる。そんなんで、俺のこの傷ついたハートが……!

「…………うまい」

結局、食ってるし!  ええい、もうやけ食いだ!
俺が皿ごと食い尽くす勢いで、チャーハンを駆け込むと、ヤマトは「でっ」と前置きを入れ、

「タケルのデートの件だが、俺は後をつけようと思う……」

ワー、ココニオトウトノデートヲストーキングスルオニイチャンガイルゥゥゥゥ……

「マジかよ、ヤマト…。お前も堕ちるところまで堕ちたな……」
「うるせー、だからお前も誘ったんだ。俺ひとりだと、かなりヤバいのは分かってる」
「よかった。オレも最初に相談されたときは、変態かと思ったけど自覚はあったんだな!」
「うるせー、ガブモン。どちらかといえば、あのタケルが女子をどうエスコートするのか気になる! 太一、お前だって、そうだろ?」

そこにはふざけた笑みを浮かべたヤマトはいない。真剣な顔をしている。
どうやら、この前の空の気持ちを汲み取れなかった事を気にしているみたいだ。まあ、俺も人の事、言えねーけどなッ。

俺はしばらく考えるフリをする。即答だと、ただの野次馬に思われる。そう、俺はタケルから女子への対応方法を学ぶんだ!  なんだろう、言ってて悲しくなってきた……。
俺はレンゲを皿に置くと、その手を前に差し出し、

「分かった、俺も協力しようじゃねーか!  他でもない、お前の頼みだからなっ!」
「太一!」

ヤマトはその差し出した手を両手で握る。ガブモンが冷めた目で見ているが気にしない。気にしない。気にしたら、そこで試合終了だ!
いつか女心がわかるようになるなんて言ってたら、あっと言う間にオッさんになっちまうよな!
こうして、俺たちの週末のプロジェクトは動き出したのだ。


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