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ID.4694
 
■投稿者:すすやん 
■投稿日:2017/03/04(土) 16:44


デジモンアドベンチャーtri. タケメイ二次小説 第2章「決断」
「なるほど。取り敢えずタケル、おめでとう!」

喫茶店で丈さんと僕は向かい合って座っている。
それぞれのパートナーであるゴマモンとパタモンは横でスイーツを食べている。ああ、おいしそう。

「で、今度の土曜日にデートに行くんだけど、どこがいいのか迷ってて…」
「えっ! もうデートの約束をしたのかい⁈」

丈さんは驚いた声を挙げるけど、このくらい普通じゃない?
は〜っ、っと抜けた声を出しながら、「気を取り直して」と前置きを入れ、

「そこで彼女がいる僕に相談しにきたわけだね。ふっふっふ、まさかタケルにデートの相談をされる日が来るとは…」

感慨深そうに頷く丈さん。

「なっ! やっぱみんなジョーを頼りにしてるんだよ! まあ、いつもどこか抜けてる感はあるけどな〜」

モンブランをフォークで器用に食べていたゴマモンが横から茶々を入れる。

「一言余計だ、ゴマモン! でも、女の子とのデートはタケル結構やってるんじゃないのか? 」
「たけりゅ、モテモテたもんねぇ〜🎵」

パタモンは顔をチョコだらけにしながら、なぜか一番嬉しそうに答えた。
確かに、同級生とのデートは何回かある。でも、相手は年上。僕だって男だ、見栄がある。

「高校生と中学生じゃあ、結構感覚違うでしょ? それに望月さん、こっちに来たばかりでしょ。台場周辺じゃなくて、少し離れたところに行きたいんだ」

近場でもいいが、お台場はミミさんたちと回っているはず。都心の方に出て、デートをリードしたいのだ。

「なるほどなっ!。ジョー、タケルはデートをリードして、大人ぶりたいみたいだぜ?」
「大人ぶりたいって…、まだタケルは中学生だよ? そこまでしなくても…」

ハハハッ、と軽い笑いを飛ばしてくる丈さんから僕は反射的に顔を逸らした。
その動きに丈さんが固まる。

「えっ…、タケル。君本当に…」
「うっ、…否定できない」

こちらの思惑を言い当てたゴマモンは満足げに口元を綻ばせている。

「なら、ヤマトや空くんに相談した方がいいんじゃないか? ヤマトたちの方がいろいろ知ってるだろ?」
「いきなり空さんに相談は安直かなって思ったんだけど………。アニキは………、その………、こだわりが強いでしょ? 多分、完璧なデートプランは作れても、イコール相手も楽しいデートとは限らないじゃない?」

そう言われた丈さんとゴマモンは暫く見つめ合い、うーんと考え込むと、

「オイラもタケルの考えにサンセー」
「ヤマトには悪いけど、否定できないな…。この前のバーベキューも『肉と野菜のハーモニー』や『自然との闘い』とか、よくわからないこと言ってたし…」

「言ってた言ってた」と相づちを返すゴマモン。

「なら僕が彼女………、勿論実在するよ! 彼女とのデートプランを教えればいいんだろ?」

丈さんは自身で納得したように頷き、答えを返した。

「そう! できれば、よかったとこや問題点も教えて欲しいんだけど…」
「よし、わかった! じゃあ、先ずは初デートのプランなんだけど………」


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


そんな丈さんとの会話が2時間前。

「で? 丈先輩のアドバイス…、どうだったの?」

ところ変わって、大手ハンバーガーショップ。僕の目の前には、我らがビックマザー………もとい空さん。その横のピヨモンはイチゴ味のシェイクとチキンナゲットを食べている。
僕の横にはパタモン。先程の喫茶店でもスイーツを食べていたのに、ここではアイスクリームを食べている。

僕は丈さんのアドバイスを貰った後、急ぎ空さんと連絡をとった。だって、丈さんのデートプランが………。

「大学受験合格の神社仏閣巡りとか………」

受験とはここまで人の感性を狂わせるのか………。来年が恐い…。

「丈先輩らしいわね。あの夏の冒険の時も、頭が良くなるありがたいお経とか知ってたし………」

ため息混じりに、空さんが呟いた。

「でも、あのお経のお陰でバケモンたちは倒せたわ。ヴァンデモンの時もそうだったじゃない?」

空さんの様子を不思議に思ったのか、ピヨモンが返す。
それを聞いた空さんは「それもそうね」とピヨモンを撫でながら答えた。

「それで私のところに駆け込んできたわけね? ふーん、それにしてもタケルくんと芽心ちゃんがねぇ〜」

空さんにしては珍しくニヤニヤして、おもちゃを見つけたように笑っている。ヤバイ、絶対後々弄られる系だ!

「たけりゅ、最初芽心から『すみません』って、言われて泣いてたよ」
「パッ…パタモン!」

慌ててパタモンの口を塞いだけど、時既に遅し。空さんだけでなく、ピヨモンさえも意地悪な顔になっている。

「そっ…空さん。この事はできればご内密………」
「そらぁ〜、アタシ限定のスイートポテト食べたい!」
「私も期間限定お月さまバーガー食べたいな〜」

くっ………! 中学生に集る高校生とか、洒落にならない! ここはお小遣いの前借りしかないか………。

意気消沈した僕がレジに行こうと立ち上がると、空さんは慌てて僕を止めた。

「冗談だってぇ! ちょっと意地悪したくなっただけだから!」

僕が座るのを確認すると、空さんはコホンと咳払いをして、

「で? 理想のデートプランを企画したいわけよね?」
「はい、できれば望月さんを驚かせたいんです!」

なるほど、と空さんは小さく微笑むと、

「なら、芽心ちゃんにどこに行きたいか聞いてみなさい!」

その答えは意外だった。

「えっ………? でも、俺望月さんを驚かせたくて………」
「タケルくん!」

僕が言い終わるのを待たずに、空さんは遮ると、

「あなたたち、出会ってどのくらい?」
「えっ?あの…その………」

僕が言い淀むと、更に空さんは続けた。

「いい、タケルくん? 私だって、まだ芽心ちゃんの知らないこといーっぱいあるのよ! それなのに、芽心ちゃんがどこに行ったら凄く喜ぶかなんて、わかりっこないじゃない!」
「アタシも空にサンセッ🎵 アタシは空と一緒ならどこでもいいわ🎵 でも、それはアタシと空がパートナーで長い時間一緒に居たから」

ピヨモンはそう言うと、空さんに顔を擦り付けながら甘える仕草を見せる。空さんも嬉しそうにピヨモンの頭を撫でた。その様子を見ていたパタモンが物欲しそうに僕に視線を向けてくる。

駄目だ、さっき簡単に口を滑らせたじゃないか! ここで甘やかせたら、また何を口滑らすか…。

やめてくれ! そんな瞳で僕を見つめないでくれ!
ああ、瞳を潤ませて、口もあわわと動かして…、この…可愛いヤツめ❤️

そう思った瞬間、僕はパタモンを抱き上げ、頬擦りをする。

「タケリュ、くすぐったいよぉ〜」
「ハイハイ! いちゃいちゃしてないで、本題に戻るわよ」

呆れた様に僕とパタモンを見る空さん。でも最初に脱線したのは、そっちなのに…。

「だから私が言いたいのは、芽心ちゃんと一緒に決めたらいいんじゃないかな? そんなに背伸びしなしなくてもいいんじゃないかしら?」

うーん、確かにそうかも。まだ出会ってそんなに日数もないし、少し背伸びをしていたかもしれない。そう言えば、大江戸温泉の時も望月さんの希望を聞かないといけないと思ったじゃないか!
まあ、あのときはアキニと太一さんの仲直りが主な目的だったわけだけど…。

「そうですね。望月さんと釣り合う様に少し背伸びしてました。デートの場所は2人で相談して決めます! やっぱ、空さんに相談して正解だった」

僕がにこやかに答えると、空さんも頷き、

「そうそう。多分芽心ちゃんもその方が喜ぶと思うよ」

嬉しそうにシェイクに口を付けた。
その様子を見ていたパタモンは僕の膝の上に移動すると、

「おんなじこと、ジョーも言ってたね?」

えっ?
僕は2時間前に記憶を戻す。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


「よし、わかった! じゃあ、先ずは初デートプランなんだけど、やっぱ受験生だしね、湯島天神、亀戸天神、谷保天神巡りの合格祈願ツアーでさぁ〜」
「…んっ?」

えっと…、これは…。

「その後も図書館で勉強デートとか、まあいろいろと…」
「ジョー…」
「んぁ? どうした、ゴマモン?」
「タケル、頭抱えてるぞ?」

かなり衝撃的なデートプランに心底驚いた…。

「…受験生って、みんなそんなデートしてるの?」

僕の素朴な疑問に丈さんは一瞬はてなマークを浮かべながら、

「まあ、人それぞれだと思うよ。2人とも受験生で勉強もしなきゃだけど、一緒の時間も欲しいからね! 僕らはそれも確保するために、2人で一緒にどこ行くか決めたんだ。自分たちで自分たちががいま取れる時間を大切にするためにね」
「おう、さっすがジョー! たまにはいいこと言うじゃんかぁ〜」
「たまにはが余計だぞ!」


あー、言ってる。言ってたなー。

口端を引攣らせる僕をなんとも言えない笑顔で見つめる空さんだったけど、

「まあ、何かあったら相談して! 私も応援するから」

両手を握り、ガッツポーズを見せた。
うん、やっぱ空さんに相談して正解だった。
もちろん、丈さんも。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


『行きたいところですか?』

早速空さん(と丈さん)のアドバイス通り、望月さんにデートの目的地を聞いてみる。

『えっ…、何処でもいいですけど…』

うん。予想通りの回答だ。
そもそも望月さんは東京に越してから日が浅い。どこに何があるのか、さっぱりなのだ。なので、今回はそこに的を絞る。

「今まで行った事のない場所とかないかな? 東京観光も兼ねて、俺が案内するよ!」

《芽心ちゃんが行った事のない場所なんてどうかしら? この前、ゆりかもめを見てた時も、『鳥取は電車もないんで、無人で動く乗り物なんて驚きです』何て言ってたし》

これも空さん情報。
ホント、いろいろ気付く人だ。

『そうですねぇ…、うーん…。あっ、メイちゃん、お菓子こぼしとるよ…』

電話の向こうでメイクーモンが何やら騒いでる。どうやらテレビを見ている様だ。

『もうメイちゃん、今電話しとるけ、テレビの音小さく……、あっ!』

突然、電話口で大きな声を上げる望月さん。何事かと耳をすますと、

『タケルくん、今テレビ見れます? ここ行きたいです!』

少し興奮しながら、喋る望月さん。僕は部屋を出て、リビングに向かう。リビングでは母さんとパタモンが一緒に刑事ドラマを見ていた。

「どうしたの、タケル?」
「母さん、一瞬チャンネル変えるね」

携帯を片手に、リビングのリモコンを取ると、望月さんのいうチャンネルにかえる。
紅茶を片手に不敵に笑う主人公のアップの顔から、その場所をレポートする女子アナへと画面が変わった。

なるほど、ここか!

「OK! じゃあ、待ち合わせ場所と時間を後で連絡するね。それじゃあ、おやすみ」

電話を終えた僕を母さんが呆然とした顔で見ている。パタモンは僕からリモコンを奪い取ると、チャンネルを元に戻した。

「やけに嬉しそうねぇ」
「えっ! そうかな?」

母さんは目線を僕からテレビに戻すと、

「やっぱり、親子ね…」
「? どういう意味?」

僕が尋ねると、横目で僕を見ながら、

「今のタケル、あの人と同じ顔してる」

その時の母さんの表情は憎らしさ、嬉しさ、懐かしさが入り混じった複雑なモノだった。

そっか、父さんとはそんなに長い間一緒に過ごしたことないけど、やっぱり血は繋がっているんだ。
そう思うと、胸の奥から何か湧き上がる熱い何かがあって、自然と口元が緩んでいた。


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