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ID.4924
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2018/03/11(日) 00:00
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グッド・オールド・フューチャー 7/生存者
         
 分厚く黒い雲から大量の雨粒が降ってきて、頭を叩き続ける。ぬかるんだ雪道に足を取られて転ぶ。通勤していくサラリーマンやデジモンが傘を差したまま不審な目で見つめてくるものの、濡れ鼠になった春子にそれを気にする余裕はなかった。
 身体は芯から冷え切って、寒気で震えが止まらない。にも関わらず、頭の中はジェームズから聞いた話が未だに支配していて、振り払おうとしても振り払えない。
 ジェームズさんは何も言ってなかったけど、きっと私を送るためにあの場に残っていたんだろう。
 私、なんて駄目なんだろう。ドーベルモンに続いて今度はジェームズさんにまで迷惑を掛けちゃった。
 立ち止まり、腰に付けていた選ばれし子どもの証を取り出す。掌の中のデジヴァイスは最初に手に入れた時のまま、未だに自分自身を選ばれし子どもであると示しているだけの道具でしかない。おまけにその選ばれし子どもとは、自分の考えていたヒーローとは違った。
 そもそも、選ばれし子どもって何だろう?
 これは何かの手違いで私が持ってしまっただけなんじゃないの?
 私はこれが本当に欲しかったの?
 春子は腕を振り上げ、それを道端に捨ててしまおうと思ったが、できなかった。これを失ったら、本当に自分は何者でもなくなる。
 春子は膝を折って、デジヴァイスを胸に押し当てたまま目を瞑った。雨とは別に、もう枯れたと思っていたものが、また頬を滑り落ちた。



 数日間降り続いた雨が止んだ日、ジェームズは自宅から少し離れた小さな公営霊園にいた。戦争で失われた者たちの多くが眠る場所で、気温が下がったこの時期には人気はほとんどない。
 ジェームズが眺めている洋式の墓は周囲と比べて背も低く、ほとんど装飾もされていない。雪を被った墓石の下には、ガブモンと草薙タツキが眠っているとされる。もちろん、この世界において死んだ者の肉体は残らないので、彼らの魂を弔うためのものという意味合いが強い。しかもジェームズは、タツキの葬儀の後にここを訪れることはほとんどなかった。先日のガブモンの葬儀にも参列せず、彼が亡くなった後はここを訪れていない。
 彼らのことを思い出すことを、ほんの数日前まで拒否していた。
 タツキとガブモンは、今の自分の姿を見てどう思うだろう。タツキは自分ではなく、ウォーグレイモンのことを支持しているかもしれない。あるいはあの戦争の後、自ら離れていったガブモンも、もう自分のことをパートナーとは思っていないのかもしれない。
 春子や他の選ばれし子どものことは別だとしても、ウォーグレイモンの自分への殺意には正当性があるとジェームズは考え始めていた。
 ただ、疑問もいくつか残っている。襲撃の翌日、ジェームズはリリスモンを通じて、彼女の名が通じる情報屋の数名に確認したものの、その中にはウォーグレイモンと会った者も、選ばれし子どもに関する情報を売買した者もいなかった。無論、彼らの話が全て真実とは限らないが、「選ばれし子どもに関する情報」の取り扱い自体が彼らにとっては非常に危険だ。それに情報の入手も(ジェームズ自身のものはともかく)それなりに難しい。
 ウォーグレイモンは、どこから彼らの「リスト」を得たのか?
 そして春子が見たというデジヴァイスは、どこで手に入れたのか?

「……?」
 雪を除け、荒れてしまった墓を掃除していると、霊園の入り口で何かが動いたのが見えた。一瞬ウォーグレイモンかと思ったが、そうではない。小柄な影はしばらくの間立ち止まっていた。
 ジェームズは小さな影の正体に気づき、立ち上がった。
「フローラモン」
 赤い花のような頭部を持つ小さな植物型デジモン・フローラモンは身体を少し震わせて、ジェームズを見つめ返してきた。



「まさか君が生きていたとは」
「……えぇ」
 木製の椅子の端に座り、アンドロモンが持ってきた紅茶を飲んだことで、フローラモンはようやく落ち着きを取り戻した。アンドロモンの孤児院は決して新しいものではなく、それほど広くもないが、彼や子どもたちが普段から丁寧に掃除しているようで、台所も廊下も新築同様の見た目を保っていた。
 数日前にあんなことが起きたにも関わらず、アンドロモンはフローラモンを連れ込んだジェームズを快く招き入れてくれた。ただ、春子はあれ以来ふさぎ込み、病院へ通う以外は部屋から出ることもないらしい。ジェームズが訪れても、彼女が顔を見せることはなかった。
「どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
 湯気の立つティーカップを持ってきた少女にジェームズは礼を言った。紺色のワンピースを着た少女は軽く会釈したものの、その表情は固く、笑みは浮かべていない。年齢的には春子と同じくらいだろうから、彼女から自分が何者なのかも聞いているのかもしれないとジェームズは思った。
「君のパートナー……キムは、やはり殺されたのか」
 フローラモンは目を伏せながら、無言で頷いた。
「ウォーグレイモンが……彼が私たちの自宅にやってきて……私、キムのこと、救えなかった……」
「あなたが助かっただけでも幸運です」
 ジェームズとフローラモンの間に立ったアンドロモンはそう言うと、フローラモンに空になったティーカップを渡すように促す。紫色の花のような腕を伸ばしてカップが手渡されると、アンドロモンはそこに紅茶を注いだ。
「なぜ君だけなんだ。一緒にいたジャンも、コカブテリモンも殺されたんだろう」
「ジェームズ、それは……」
「いえ、大丈夫」
 追及の言葉を咎めようとしたアンドロモンをフローラモンは制し、また話し始める。
「ウォーグレイモンが言ってたわ……ガブモンのよしみで命だけは助ける、って」
 ジェームズの眉がぴくりと上がった。
「どういうことだ?」
「ジェームズ。私とキムが戦争の後、何をしていたかは知ってる?」
 ジェームズは首を振った。
「いや」
「私たち、ターミナル病院で看護師をしていたの」
「ランプライトが運営する病院か」
 この街で最も大きな病院であり、ゲート・タワーと同様に、運営がランプライト社へ委託されている場所だ。そこではスクルドターミナルの怪我人や病人はもちろん、リアルワールドにおける労働で傷を負ったデジモンの多くも治療のために運ばれてくる。
「私とキムは別の名前と身分証が与えられて、それで……」
「あなたが、病床のガブモンの担当になったと」
 アンドロモンの言葉にフローラモンが頷くのを見て、ジェームズは安堵と後悔の念が入り混じる複雑な心境になった。
 そうか、ガブモンはかつての仲間に看取られながら逝くことができたのか。
 本来は自分がすべき役割だったのに。
「ガブモンが入院した頃には、もう病気がかなり悪化していて、有効な治療法は無かったわ。痛みを和らげて、安らかに逝かせてあげることしかできなかった。ガブモンは最期まで、あなたのことを心配していたわ」
「……ありがとう」
「いえ……仕事だから」
 礼を言えるような立場ではないかもしれない。それでもジェームズは、彼女に感謝することしかできなかった。眼鏡を外して、しばらくの間彼は片手で顔を覆った。
 長い間沈黙が流れたが、それを破ったのもフローラモンだった。
「それで、ウォーグレイモンにこのことを言われた後……ガブモンのことを思い出して、あの場所に行ったの」
「公営墓地ですか?」
「えぇ」
 ジェームズの代わりに聞いたアンドロモンに、フローラモンが頷く。
「どうして……」
「ジェームズに会うためよ」
 フローラモンはジェームズを見た。
「今どこにいるのかは知らなかったけど、そこなら会える気がして……実際、こうしてあなたに会えたから」
「それは……」
「亡くなる直前に、ガブモンが話していたことを思い出したの」
「何を言っていた?」
「ホメオスタシスを信じるな、って」
 ジェームズはゆっくりと掌を顔から離し、眼鏡を掛け直した。



 ジェームズは、教会の最前列にある会衆席に座ったまま、腕を組んで頭の中を整理していた。教会は孤児院同様に綺麗に掃除され、目の前にある祭壇や説教台は質素ながらも艶がある。壁に飾られたダルクモンの彫刻と、絵画に描かれた三大天使が、ジェームズのことを見つめていた。
 アンドロモンとの個人的な付き合いで教会に来たことは何度かあるものの、ジェームズ自身はここで行われるミサを訪れたことは一度もなかった。元々あまり信心深い性格ではないこともあるが、イグドラシル戦争以降、デジタルワールドから「神」と呼ばれるような存在がいなくなってしまったことが何よりの理由だ。イグドラシルは死に、三大天使や四聖獣、オリンポス十二神さえ、もはや人類に関与することはない。
 そんな時代にも関わらず、ホメオスタシスはウォーグレイモンに、選ばれし子どもを滅ぼせと神託を与えたという。なぜ戦争から十一年も経過した今になって、こんなことが起きたのか。しかも、春子のような若い選ばれし子どもまで。
「……」
 別の方向から考えてみよう。
 あの襲われた日に見た、ウォーグレイモンの表情を思い出す。
 彼は最初から自分を狙っていたのではない。ウォーグレイモンは明らかにこちらを見て驚いていた。あの時の再会は、彼にとっても予想外の出来事だったと考えられる。
 彼が狙っていたのは橘春子とドーベルモンだ。
 ならば、なぜ彼は春子が選ばれし子どもだと知っていたのか?
 なぜあの晩、あの通りで彼女たちを襲うことができたのか?
 春子が見たデジヴァイスとは何なのか?
 ウォーグレイモンが受けた神託とは?
 そして、何より。
 春子が選ばれし子どもならば。
「ホメオスタシスを信じるな……」
 掠れた声で、フローラモンから聞いたガブモンの言葉を繰り返す。
 陽の光がステンドグラスを通過して、自分の足下を照らしている。ジェームズは春子とドーベルモンが、自分の自宅にやってきてからの行動を思い返してから、その考えに行き着いた。



 アンドロモンが教会の分厚いドアが開くと、そこにジェームズが立っていた。
「フローラモンをホテルへ送ってきました。あんな場所で本当に大丈夫でしょうか……」
 そこまで話してから、ジェームズのただならぬ雰囲気に違和感を覚え、言葉を止める。
 ジェームズはいつもと変わらぬ表情、いつもと変わらない穏やかな言葉遣いで彼に言った。
「アンドロモン、頼みがある」
「何ですか?」
「懺悔がしたい」
 アンドロモンは目を瞬いた。
 それからすぐに頷くと、腕を伸ばして脇にあるドアへ掌を向けた。
「では、告解室へ」



 アンドロモンはこれまで、多くのデジモンの罪の告白を聴いてきたが、人間の告白を聴くことはそう多くはなかった。例え彼と懇意にしている人間であっても、デジモンの神に祈る人間はほとんどいない。まして、ジェームズがこの部屋を訪れるとは想像もしていなかった。
 狭い部屋の椅子に座ると、薄い衝立の奥で同じような音が聞こえた。衝立には小さな小窓が付いているだけで相手の顔は見えないし、普段ならば見ることもない。だが、今のアンドロモンには彼の表情が少しだけわかるような気がした。
「……父と子と精霊の御名によって」
 奥から声が聞こえてきたのと同時に、アンドロモンは胸元で十字を切った。
「最後に罪を告白したのは?」
「少なくとも十一年以上前になる」
「神の慈しみを信頼し、罪を告白してください」
 今度は、やや躊躇っているように息を吐く音が聞こえた。アンドロモンが黙って待つと、また声が聞こえてきた。
「まず、パートナーの――ガブモンの今際の時に立ち会うことができなかった。私は彼から逃げた」
 少しの間、沈黙が流れた。
「……続けてください」
「タツキを救うことができなかった。彼女に別れも言わず、彼女の命を奪った」
「……続けて」
「それから……」
 また、小さく息を吸う音が聞こえた。
「彼に、タツキのパートナーに嫉妬していた。タツキが、私よりもパートナーのことを想っているのではないかと、ずっとそう思っていた。アグモンのことを……」
「……悔い改めの祈りを唱えてください」
 ジェームズが小さな声で祈りの言葉を唱えるのを聴き終えると、アンドロモンは再び胸元で十字の印をつくった。
「デジタルワールドの神はあなたを愛し、罪を赦すでしょう。父と子と精霊の御名によって」
 ゆっくりと席を立つ音が聞こえた。



「君はまだ私のことを信用しているか?」
 告解室の外に出ると、ジェームズは部屋に入る前と全く同じ表情で、アンドロモンにそう聞いた。
「えぇ、もちろん」
「私について来て欲しい」
「どこに?」
「ゲート・タワーに」
 アンドロモンは怪訝な表情を浮かべた。
「あなたの仕事は終わったのでは?」
「私もそう思っていたが、終わってないのかもしれない」
 ジェームズは肩を竦める。アンドロモンは少しの間考えているようだったが、やがて頷いた。
「もう昔ほどの無茶はできませんよ」
 ジェームズもアンドロモンも、ドアの裏側に何者かが潜んでいることには気づいていたが、そのことを話題にすることはなかった。



 幼年期デジモンたちを寝かしつけ、夕食の片づけを終えると、シーラは居間の明かりを消して部屋に戻ろうとした。
 アンドロモンからは「今夜は帰りが遅くなるので、先に寝ていなさい」と既に言われている。昼間に訪れた探偵との会話の内容は少し気になったものの、シーラはそのことを特にアンドロモンに聞くことはなかった。それに、今は何より春子のことが心配だ。いつもならアンドロモンが不在の日は、たとえ当番でなくとも彼女は率先して家事を手伝ってくれるのだが(その結果、皿やグラスを壊したりするのも日常茶飯事だ)、今日の彼女は夕食の時すら部屋から出てこなかった。
 お腹を空かしてるかもしれないと思い、彼女の分の食事だけトレーに乗せて部屋に運ぶ。片手でトレーのバランスを取りながら、ゆっくりと部屋のドアを開けた。
「春子?」
 返事はなく、部屋の中には誰もいない。
 いつもなら散らかっている彼女のベッドや机の上に物は置かれておらず、部屋着もそのままだった。
 嫌な予感がした。



 かなり長いこと呼び出し音が続いた後、ようやくジェームズの耳元に寝ぼけた声が聞こえてきた。
“ん〜……おはようございます、あれ、こんばんはかな? テイラーソンさん。どうしました〜?”
「すまない、リリモン。今日は休日だったか」
“今日っていうか、夕方からっていうか……で、何です?”
「ひとつ頼みがある。君の仕事について」
“仕事、ですか?”
「選ばれし子どもの連続殺人に関することだ」
“はぁ……えぇ?”
 あからさまに困惑する声。それはそうだろう。
“あの、その……テイラーソンさんはもう捜査から外されましたよね? どういうことです? まさか、まだ何か捜査してるんですか?”
「返事が欲しい。イエスかノーか」
“えぇぇぇ……そういうの止めてくださいよ。もし私が勝手にテイラーソンさんに仕事させたと勘違いされたら……せめて、自分でテヅカ部長にそういう情報は持ち込んでくださいよぉ”
 こうして難色を示されるのもやはり想定内だったので、ジェームズは声の調子を変えずに話を続けることにした。
「仕方ない、そうしよう。一緒に君が私に『個人的に』持ち掛けてきたこれまでの仕事についても伝えようと思うが、それでいいか?」
“……それは困ります”
 即答だ。眠気も冷めたらしい。
「よろしい。では、これから言うことをよく聞くんだ、リリモン」
 そしてジェームズは、リリモンにいくつかの指示を与えて電話を切った。

 久しく着ていなかったシャツの襟に緑色のネクタイを通し、ダークブラウンのスーツを上から羽織る。すっかり古くなったワードローブの戸を開くと、内側に取り付けられた小さな鏡の下には、かつての「選ばれし子どもの証」が三つ置かれている。
 ジェームズはしばらくの間、それを眺めていた。やがてそのうちの二つを取り出すと、振り向かずにジェームズは言った。
「どうしてまた来たんだ」
 ジェームズの背中を見つめながら、春子が答える。
「私も行きます」
「どこに?」
「とぼけないでください。ゲート・タワーですよね?」
「盗み聞きしていたのは君か」
「……気づいてたくせに」
 ひとつは胸ポケット、もうひとつは腰のベルトに装着してから、ジェームズはようやく振り返って彼女の方を見る。自分のことを睨みつけている彼女の眼は充血し、まぶたは腫れていた。鼻まですっかり赤くなっている。
 彼女とよく似た眼を見たことがある。
「君が来たところで何もできない」
「何でもします」
「今度こそウォーグレイモンに殺されるぞ」
「だから何だって言うんですか!」
 春子の両手は強く握られ、指先は白くなっていた。
「ドーベルモンがああなっちゃったのは、私の責任です。私が悪いんです! 私、馬鹿だし役立たずですけど……死んだって構いません。ウォーグレイモンさんを捕まえます!」
 口角泡を飛ばしながら春子が放った言葉に、しばらくジェームズは返事をしなかった。上下していた彼女の肩が落ち着くのを見て、ようやく彼は言った。
「来なさい。寄る場所がある」



「タツキが死に、戦争が終わった後、姿を消したウォーグレイモンのことを何度も考えた。彼女の……夫でありながら、彼女を殺した私のことを、彼はどう思っているだろうかと」
 ジェームズに付き添って連れて来られた場所は、春子もよく知る場所だった。リリスモンの「会社」の地下だ。最初に来て以来、特訓のために何度も使った階段を、春子はジェームズとともにまた階段を下りていた。
 でも、今度はドーベルモンはいない。私が何とかしなきゃいけない。
 前を歩くジェームズさんの声がまた聞こえてくる。
「今は刑事部長をやっている手塚という男が私の上司だった。事が終わった後、手塚はウォーグレイモンはもう死んでいるだろうと言っていたが、私はそうは思わなかった。そして実際、彼は生きていた。私への殺意を抱いて」
 狭い鉄の階段を下りながら、春子は足元から聞こえる音がいつもと違うことに気づいた。ジェームズの履いている革靴が違う。いつもなら色が薄れた、使い古されたものを履いているのに、今日の靴は新品のように光沢がある。それによく見ると、スーツやシャツも普段とは違う気がする。
「リリスモンにも準備してもらった。彼女自身、こうなるとは思ってなかったようだが……」
 いつもと同じ、地下の広い倉庫だった。前に来た時よりも多少は片付いているものの、特に変わったようすはない。これからの行動のために、何も特別なもの――武器とか、リリスモンの配下のデジモンとか――がないので、春子は内心、拍子抜けした。
「これを君に」
 振り返ったジェームズが、握った拳を彼女の前に伸ばす。春子が手を出すと、掌に紐の付いた何かを乗せられる感触があった。
 金色のフレームに、青い半透明のプレートが嵌め込まれた道具。プレートには春子のよく知る模様が刻まれている。
 かつてこの人が、パートナーを進化させるために使ったタグ、そして友情の紋章。
 それがなぜか、自分の掌の上にある。
「え……」
 一瞬、春子はジェームズに聞かされたことも、今の自分の置かれた状況も忘れて、その紋章に見入った。
 全く重くないのに、腕が少し震えた。心臓が激しく高鳴っている。
本物だ。すごい。
 それから、重い鉄の扉が閉まる音が聞こえた。
「!」
 現実に引き戻される。
 既に目の前にジェームズはいない。大きな倉庫の中に、気づけば自分ひとりだけになっていた。鉄扉がロックされる音が聞こえた。
「待って!」
 すぐに鉄扉の前に駆け寄って、取っ手を力ずくで動かそうとする。びくともしない。
「エアコンを効かせてある。それに危険なものは全て移動させてもらった。そこの木箱の中は食料や飲料水だから、一晩くらいは問題ないだろう」
 鉄扉の奥から、ジェームズの声が聞こえる。
「ジェームズさん! どういうことですか?」
 思いきり鉄扉を叩き、額を付けながら春子は叫んだ。
「君を連れていくことはできない」
「何でですか? 私は選ばれし子どもですよ!」
「デジヴァイスを持っているだけだ」
「そんな――」
「今ならまだやり直せる。私やウォーグレイモンと同じようになってはいけない」
 聞こえてくるジェームズの声は、いつもと全く変わらずに落ち着いていた。
 背中を冷たい汗が流れ落ちて、口の中に酸っぱい味がした。
「どういうことです? 意味が分からないです!」
「今の君の眼は」
 先程よりもやや大きな声に、春子は思わず扉を叩くのを止めた。
「まるでウォーグレイモンのようだ」
 身体が震えて、力が抜ける。
 春子はその場で立っていることができなくなり、やがて膝をつく。
 そして額を扉に押し当てたまま、もう何も言うことができなかった。



「全く、迷惑この上ないね」
 自室にやってきたジェームズを見て、リリスモンは口に咥えていたパイプを離してから溜息をついた。
「これが偉大なる選ばれし子どもたちの結末かい? あたしらに負けず劣らず無様じゃないか」
「終わったら、彼女を解放してやってくれ」
「もし閉じ込めたままなら、あたしが最後の選ばれし子どもを殺すこともできるね」
「君はそこまで悪党ではない」
 部屋の隅に立っていたアンドロモンは、怒りを抑えているような表情のまま、黙ってこの会話を聞いている。春子をこの場所に閉じ込める、という案に彼は賛成していなかった。それでもジェームズに説得され、最後に了承したのは、彼自身も春子の行動力を知っているからだ。
 パートナーを失った選ばれし子どもは、何をするか分からない。
 それは逆も然りだ。
「それで? あたしの仕事はもう終わりでいいかい?」
?
「君の力を貸してはくれんか」
「ウォーグレイモンの相手なんて二度とご免だね。あたしをこうした奴だよ?」
 彼女は自分の膝を指差す。
「アスタモンを貸してあげる。死なせたらタダじゃおかないよ」
「私は死ぬかもしれん」
「だから言ってんだ。あんたと違って命までは賭けさせられない」
 リリスモンは白い煙を吐いて、ジェームズを見た。
「かつての英雄、最期の夜かね。今更嬉しくないよ」



 まず感じたのは怠さと息苦しさ。
 それに加えて、何かが身体中に取り付けられている不快感もする。
 見えたのは淡い色の壁と天井、点滴スタンドとそこから前脚にまで繋がっているチューブだった。
 ここはどこだ。少なくとも孤児院ではない。
 なぜ自分はこんな所にいる?
 呼吸器を付けている首を無理やり動かして、胴体に巻かれた白い包帯が見えた時、ドーベルモンはようやく自分に何が起こったのかを思い出した。
 確か自分はウォーグレイモンと戦い、強烈な一撃を受けて春子の足元に倒れたのだ。それからけたたましいサイレンがいくつも聞こえ、どこかに運ばれていったことまでは覚えている。
 春子はどこにいるのだろう。
 まだぼやけている眼で、自分の寝かされているベッドの周囲を見渡すと、何となく見覚えのある背丈の人影がこちらに近づいてくることに気づいた。
「ハルコ……」
 やがて視界に入ってきたのは、紺のドレスと束ねたブロンドの髪だった。
「ドーベルモン? 大丈夫? 気分は?」
「……大丈夫だ」
 春子のルームメイト、シーラ・ワトソンが、心配そうな表情で自分を見つめている。
 優しく自分の額を撫でてくれる感触は心地良いが、それでも頭の中の不安は払拭されなかった。
「ハルコはどこに? 彼女は無事か?」
「それが……」
 彼女の視線が彷徨う。それだけで、何か悪いことが起きたことは十分に伝わってきた。
「あなたが入院してから、部屋にずっと籠ってたんだけど……今日、探偵を名乗る人がアンドロモンさんを訪ねてきて、二人とも出掛けちゃって……何時の間にか、春子もいなくなってしまったの」
 目を伏せながらそう語るシーラ。
「もしかしたら病院に戻ってるんじゃないかと思ったの。でも、やっぱり居なくて……春子がどこに行ったのか、私には分からなくて……」
 彼女の話に出てきた「探偵を名乗る人」が誰なのかは容易に想像できる。ただ、それだけでは春子が何処に行ったのかは分からない。
 分からないが、後を追うことはできる。
「シーラ。頼みがある」
「え……」
「俺をここから連れ出してくれ」
 鼻を小さく動かしながら、ドーベルモンはシーラに言った。

ID.4925
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2018/03/11(日) 00:01


グッド・オールド・フューチャー 8/継承
「う……」
「大丈夫? やっぱり無理しない方が……」
「い、いや、大丈夫だ」
 シーラに付き添われながら、ドーベルモンは雪の降り積もる夜の街中を歩いていた。
 彼女と会話している時は気丈な態度を見せるものの、度々ドーベルモンはふらついたり、痛みを堪えるような表情を浮かべたりする。そんなようすを見る度に、シーラは気が気ではなかった。
 それでもドーベルモンは迷いなく夜道を歩き続ける。今まで見たこともない景色にシーラは不安を覚えたが、ドーベルモンに聞けばこの道のりはここ最近、春子とともに何度も往復したのだという。
「ハルコの匂いがする」
「そうなの?」
「まだ新しい。きっとあそこにいる」
 ドーベルモンの嗅覚は人間のそれを遥かに超える鋭さを持つ。普段の彼はこの能力をひけらかしたりはしないものの、孤児院の中では自分や春子が失くした持ち物をいとも簡単に発見したりしているので、シーラは彼の鼻の力を疑ってはいなかった。
「あそこだ」
「……」
 ドーベルモンが示す先を見て、シーラは露骨に顔を曇らせた。
 スクルドターミナルの中心街にはおよそ似つかわしくない、薄汚れた雑居ビル。その出入り口には、大柄なミノタルモンが腕を組んだまま大きないびきをかいている。どう見ても、自分たちのような子どもが出入りする建物ではない。
「え、あの……あそこ、なの? あんな所に出入りしてたの、あなたたち?」
「あぁ。心配する必要はない」
「入り口前に門番みたいなデジモンがいるけど……」
「あのようすだとしばらくは起きないだろう……いや、待て」
 ドーベルモンはミノタルモンに近づくと、何やら腰のあたりを弄り始めた。シーラの背筋が冷える。
 何してるの、ドーベルモン? そんなことしてミノタルモンが起きたら大変だし、それに見た目的にも……いや、いやいやいや。想像しちゃだめだ。
 すぐにドーベルモンはその場を離れて戻ってきた。幸いにもドーベルモンの言う通り、ミノタルモンの脇を通ってもいびきの音は途切れていない。彼はカラビナに取り付けられた何本かの電子キーを咥え、それをシーラに差し出した。
「持っていこう。恐らく必要になる」
「え……だ、大丈夫かな……」
「大丈夫だ。俺がいる」

 熟睡するミノタルモンを通り過ぎた後も、誰の眼にもつくことなく建物の中に入ることはできた。
 荒れた建物の中でさらに暗い階段を下りる度、シーラの中の警戒心と、春子を心配する感情の戦いは激しさを増していく。そして彼女がついにドーベルモンへ戻ることを提案しようとしたその時、味気ない地下通路の先に大きな鉄扉が見えた。
 鉄扉の前でドーベルモンの脚がぴたりと止まる。
「ここだ。この先にいる」
 今まで来たこともない怪しげな建物の地下の、見るからに厳重な鉄扉の先に春子がいるという。
 嘘でしょ、本当に?
 なんだかものすごいことに巻き込まれてしまってる気がする。
「えっと、でも、これ……鍵が掛かってるよ?」
 ドーベルモンがシーラの握っている電子キーを顎で指し示す。
「私、だんだん怖くなってきたんだけど……」
「分かってる。そこの扉を開けたら、もう帰ってくれて構わない。後は俺とハルコの問題だ」
「……それは嫌」
 シーラにしては珍しく、少しムッとした表情を浮かべた。自分だって、ただドーベルモンに言われるがままこの場所にやってきたわけではない。無二の親友のことが心配だからここに来たのだ。
 鉄扉の隣に設置された古ぼけた機械に電子キーを近づける。それまで点いていた赤いランプが緑色に替わり、ガシャンという低い音とともに扉が開錠した。シーラが手を近づけなくとも、扉がゆっくりと開いていく。



 ジョーダン・グードは苛立っていた。
 先に向けた打ち合わせが終わり、ゲート・タワーを出ようとしたにも関わらず、社員用出入り口の前に車が到着していない。普段通り回しておけとミスティモンに言っておいたにも関わらず、彼が時間通りに準備していないのは珍しかった。数分後に黒塗りのクラウンが目の前に停車すると、ジョーダンは自らドアを荒々しく開けて乗り込んだ。
「さっさと帰るぞ。ヤツの近くにいるのはご免だ」
「すまないが、まだ君を帰すわけにはいかない」
 聞こえてきた返事は、ミスティモンの声ではない。
 普段なら鞄の置き場所となるはずの隣の席には、ジェームズ・テイラーソンがいた。まるで徹夜明けで帰宅しようとタクシーに乗り込んだサラリーマンのような姿だったが、視線だけは鋭かった。
 ジョーダンは驚いて前の席を見た。そこには普段通りにハンドルを握る、苦悶の表情を浮かべたミスティモン。そして、その隣の席に座っているアンドロモンの腕から伸びる青白い光刃が、彼の首元で空気を焼く音を響かせていた。
「ジェームズ、お前……!」
「ミスティモン、正面入り口に向かってくれ。彼とは中で話したい」
「何のつもりだ。自分のやってることが分かってるのか?」
「それは理解しているとも」
 左手で眼鏡を上げ、ジェームズはジョーダンを見つめた。
「私が逮捕される前に、君に聞くべきことがある。さぁ、ミスティモン」
 再度促され、ミスティモンがアクセルを踏む。クラウンが動き出した。



 裏側の通用口を使う夜間勤務の従業員ならともかく、こんな真夜中にゲート・タワーのエントランスに現れる訪問者などまずいない。セキリュティゲートのすぐ隣の警備員室で、警備員の成田は何度も欠伸をしながらパイプ椅子に背中を預けていた。
 昨夜の酒がまだ残っているのか、途轍もなく気だるい。どうせ少し仮眠を取ったところでバレないだろう、そう思ったところで監視モニターに数人の影が現れたのに気づき、彼は慌てて口を閉じた。
 現れたのはジョーダン・グードだ。普段は決してエントランス側の入り口を使わない彼が、なぜこんな時間に?
 やがて、ジョーダンの後ろに以前見た覚えがある初老の老人とミスティモン、そして彼に腕から伸びるレーザーの刃を向けたアンドロモンが現れ、成田は青ざめた。

「イグドラシル戦争の後、私たちは別々の道を歩んだ」
 ジェームズはジョーダンと並んで、誰もいないエントランスホールを歩きながら話し始めた。
「多くの者が引退し、世間の目につかないよう隠れた。君はその数少ない例外で、今では世の中にとって欠かせない大企業の社長だ。選ばれし子どもとしての矜持と今の立場を秤に掛け、後者を取ったのは仕方ないことなのかもしれないな」
「何を言ってるんだ? ジェームズ……」
「報道されている、ウォーグレイモンに攻撃された少女とデジモン。あれは以前私と一緒にここへ来ていた」
 ジョーダンは眉をひくつかせた。
「そうか、それは……」
「名前は橘春子。驚くべきことに、新たな選ばれし子どもだ」
 ジェームズが立ち止まり、ジョーダンも思わずそれに倣う。静寂なフロアに、背後でアンドロモンの光刃の音だけが響いている。
「彼女らが狙われたのは気の毒だったな。だがそれは僕の知ったことではない」
「なるほど。やはり狙われたのは私ではなく、春子たちだったのだな」
 ジョーダンの表情から余裕が消えた。
「問題はなぜウォーグレイモンが春子を襲ったか、だ。彼女が選ばれし子どもであるということを知っていたのは私を含むごく少数だけだった」
「だからと言って……」
「君も知っていたんだろう、ジョーダン」
「何だと?」
 ジェームズがまた歩き始め、二列並んだセキリュティゲートの前に立つ。手で左側のレーンを指し示してジョーダンを移動させると、数日前と同じように自分は右側のレーンを進んでいく。
 すると、ジェームズの真上で赤いランプが輝き、ビーッという警報音が鳴った。
 以前、春子がここを通ろうとした時と同じように。
 表情を凍らせたジョーダンを尻目に、ジェームズはコートを捲り、腰のベルトに取り付けていたデジヴァイスを取り出した。
「私とは違い、春子は選ばれし子どもであることを誇りにしていた。これを肌身離さず、いつも持ち歩いていた」
 そう、春子は私と違う。
 タツキと同じだった。
 ジェームズはそのまま、握っていたデジヴァイスをジョーダンに渡す。ジェームズの側のランプが消えてゲートのバーが開き、代わりにジョーダンの真上にあるランプが警報音を鳴らし始める。
「これはどういうことだ?」
「いや、それは……」
「君はキムとジャンの住居も知っていたな? ハンスもだ」
「あ、あぁ……いや、だが、待ってくれジェームズ。僕は……」
「当時の仲間たちを狙うのであれば、最初に選ばれるのは名前が最も有名な君だ。そして君は、自らの命と仲間たちの命のいずれかを選ぶことを迫られた」
「違う、違う。君はとんでもない誤解をしているぞ……!」
「君が単に自分の命惜しさにその選択をしたとは思っていない。君なりに自分の大義を信じたのだろう。だがその結果、君は道を踏み外した」
 ジョーダンは思わず乗り出してジェームズに掴みかかろうとした。だが、いつの間にか身体の上を這っている赤いレーザー光にその動きを制される。レーザー光はゆっくりとジョーダンの身体を上っていき、やがて額の上で止まった。
 どこにいるのかは分からないが、ジェームズとアンドロモン以外にも自分を狙っている者がいる。
「誤解だ、ジェームズ……僕は何も……」
 ミスティモンがジョーダンに近づこうとするも、アンドロモンが再び彼に光刃を突きつけて動きを止める。

 警備員室から彼らのようすを眺め、明らかな異常を感じ取った成田は、時刻を確認しながら机の脇に設置された通報ボタンを押した。
 警察の到着まで、早くとも十分はかかる。その間に余計な行動はできない。社長と、そのパートナーデジモンの命に関わりかねない。

 ガラス窓の奥で見える警備員の動きを眺めながら、ジェームズはまた眼鏡を上げた。
「この件について、会社と君個人の通話記録を調べさせる。何が出てくるかな?」
「聞いてくれ、ジェームズ。僕は……僕は、何も知らなかったんだ……! まさか、ウォーグレイモンがそんなことを……それに僕は、決して……!」
「ウォーグレイモンにデジヴァイスを与えたのも君か? 彼は今、どこにいる?」
「ジェームズ、なぁ、ジェームズ! 聞いてくれ、頼む……」
 ジョーダンの懇願は、最早涙声に近かった。
「僕に、僕にこれ以上、そのことを言わせないでくれ……!」
 その時、ゲート・タワーの天井を何かが突き破り、エントランスの床を激しく揺らして着地した。光沢のある大理石の床が粉々になって飛び散り、ジェームズとジョーダンの頭の上に降り注ぐ。
 立ち上がった黒いデジモンの姿を、ジェームズはセキリュティゲート越しに見た。
「やぁ、ジム」
 ウォーグレイモンはドラモンキラーをジェームズに向けた。



 春子は長い間、倉庫の隅で木箱を背に座り込んでいた。閉じた膝に額を当てたまま目を瞑りながら、ジェームズの言葉を何度も反芻した。
 選ばれし子どもになりたかった。
 デジヴァイスを持っていても、ドーベルモンというパートナーを得ても、自分はまだ本当の意味では選ばれし子どもになれてはいないと思っていた。小さな頃に憧れていたような、あの戦争で自分の命を救ってくれたようなヒーローに。
 そして師と呼べるような人に会うことができて、その人の教えも受けることができて、自分は本当の意味で「選ばれし子ども」になれると思った。
 それはとんだ思い上がりで、私はドーベルモンを傷つけた。
 そのことを何とか挽回しようとして、今度はジェームズさんに見放された。
 笑える。笑おうとしても喉がカラカラで、変な音しか出ないけど。

 視界の隅に、自分以外の影が入ってきたのはその時だった。
「ハルコ!」
 春子は一瞬、倉庫の鉄扉が開くと同時に駆け寄ってきたそのデジモンが、本当にそこにいるのか分からなかった。
 おまけに、彼の後ろについて来ているのは、自分が今ここにいることさえ知らないはずのルームメイトだ。
「ドーベルモン⁉ それに、シーラ⁉」
 ドーベルモンは、まるで飛びかかるかのように春子に飛びつく。普段は感情を表に出さない彼がここまで尻尾を激しく振っているのを初めて見た。
「大丈夫? 大丈夫なの、ドーベルモン?」
 ドーベルモンの頭を優しく撫でながら、彼の胴に何重にも巻かれた包帯を見て顔をしかめる。やはり、まだあの傷は治っていない。だが、当のドーベルモンは自分の傷など、まったく気にしていないようすだった。
「ハルコ、ジェームズはどうした?」
 一瞬だけ頭の中から離れていた人物の名前が挙がり、春子はまた表情を曇らせる。
「ウォーグレイモンさんのところに……その、私、戦力外通告されちゃった」
「なら、今すぐ彼の後を追おう。俺たちの力が必要なはずだ」
「……無理だよ、ドーベルモン」
「俺の傷は気にするな」
「違うの、それだけじゃなくて……」
 ドーベルモンが傷つけられた瞬間。ジェームズに事実を突きつけられたあの夜。この倉庫の扉を閉じられた時に言われたこと。それらが繰り返しフラッシュバックする。
 ドーベルモンの問題ではない。私の問題だ。
 私は選ばれし子どもとして失格で、私がなりたい選ばれし子どもの姿なんて元々いなかった。
そんな私がパートナーでいることで、次こそドーベルモンを殺してしまうかもしれない。
「ハルコ?」
「私が……私が、もう駄目なんだよ。ドーベルモン……」
 またしても、頭を抱える。
 彼と顔を合わせられない。
「私、全部間違ってた。選ばれし子どもなんて――」
「選ばれし子どもになれたんだね、春子」
 春子が顔を上げると、そこには両手を後ろに組んで自分のことを見下ろすシーラの姿。
 微笑んでいる。
「すごい! やったね、春子。私の知らない間に、夢を叶えてたんだね」
 シーラの視線の先には、春子が握るデジヴァイスと、ジェームズから手渡された、友情の紋章のタグ。そう言えば、彼女にはこのことを秘密にしたままだった。
「昔からなりたかったものになれたなんて、本当に凄いよ」
「違うの。それも間違ってたの。私のなりたかった選ばれし子どもなんて、本当はいなくて……」
 シーラが不思議そうな表情を浮かべているのを見て、春子は言葉に詰まった。
 彼女に今の自分の苦しみをどう伝えればいい? ジェームズさんに言われたことを、そのまま言えばいいの?
 先に口を開いたのはシーラだった。
「それは違うよ、春子」
「え……」
「今までいたかどうかじゃなくて、春子がそうなればいいんだよ」
 シーラは膝を折って、視線を春子に合わせながら手を伸ばす。彼女の細くて長い指が、デジヴァイスを握る春子の掌に重なった。
「春子、覚えてる? 私がアンドロモンさんの孤児院に入ってすぐの頃、学校でいじめられてたこと」
「うん……」
「あの時の春子、『悪いやつは私がやっつけてやる』とか、『選ばれし子どもは弱い者いじめは許さない』とかさ、そんなこと言いながら私のことを助けてくれたでしょ?」
「そ、そうだっけ……」
 正直、忘れかけている。
 なんだか顔から火が出そうな思い出だ。
「嬉しかったんだよ? 春子が本物のヒーローに見えた」
「……」
「私にとっては、春子が本当の選ばれし子どもなんだよ」
 穏やかな笑みを浮かべるシーラを見て、春子はどう返せば良いのか分からなくなり、思わず目を伏せた。すると今度は視界にドーベルモンが入ってきた。
「ハルコ。お前が何を言われたのか、俺には分からない。正直、そんなことはどうでもいい」
「ドーベルモン……」
「ハルコがなりたい選ばれし子どもになればいい。俺はそのパートナーになりたい」
 そう言って、シーラの手と重なる春子の掌に、今度は彼が自らの額を当ててきた。
 散々振り回してきたパートナーと、自分の妄想ばかりを振りまいてきた親友が、私のことを信じてくれている。
 私が砕いてしまったものを、わざわざもう一度組み立ててくれている。
 春子は、重ねられた手の中にあるデジヴァイスを握った。
 急に頭の中が晴れた気がした。
 思いっきり鼻をすすり、空いている左手で目を擦る。ちょっと痛かった。
「春子……?」
「決めた」
 瞼を開いて、ドーベルモンとシーラを見る。二人の不思議そうな表情が、徐々に明るくなった。
「私、もう一回頑張る!」
 床を思いっきり踏んで立ち上がる。
「だって私は、選ばれし子どもだからね!」
 大声で宣言する。シーラも膝を上げて微笑み、ドーベルモンはまた足元に擦り寄ってきた。

「全く、ミノタルモンは何やってるのかね?」
 冷たい声が倉庫内に響き渡る。
 春子が出入り口を見ると、そこには車椅子の車輪をゆっくりと動かして倉庫に入ってくる、色欲の七大魔王の姿があった。



「ウォーグレイモン」
 目の前に降り立った黒い竜人の姿を見ても、ジェームズは冷静だった。
 この世界を救った英雄が、かつての仲間たちの命を奪った爪を輝かせながら、一歩ずつゆっくりと迫ってくる。そんな状況にあって、心中は凪のように穏やかだ。
 おそらく、自分はこの場で殺されるだろう。それは構わない。自分は彼にとって――自分にとっても、だが――最愛のパートナーを殺したのだ。彼にはその復讐をする権利がある。
 しかし、それはまだ未来のある若者を彼が殺していい理由にはならない。
 警備員室からの通報によって、おそらく数分後には警官隊がこの場に到着する。その頃には自分は死んでいるかもしれないが、ウォーグレイモンの行いがそれで止められるのであれば構わない。
 隣のレーンに立っている男はそうは思っていないが。
「ジョーダン。貴様は今、何を言おうとしてた?」
「ウォーグレイモン、待て……貴様、自分の立場を解っているのか……?」
 それまでジェームズに向けられていた視線がジョーダンの方へ移動する。それだけで彼は痙攣したように身体を動かし、二、三歩後退した。
「偶然だな。全く同じことを、俺もお前に言おうとしてた」
「ぼ、僕は……僕は君らのやっていることには最初から反対だった! 君にどんな個人的な理由があろうと、僕の立場を利用したことは――」
「黙れ」
 彼らの関係性や認識の違いがどういうものなのか、ジェームズにはある程度予想がついたものの、今はそれを追求する暇はないようだ。
「ジム!」
 アンドロモンが背後から叫び、彼に向かって何かを投げる。ジェームズは正面を向いたままそれを受け取り、掌の感触を頼りに安全装置を解除する。
 ジェームズが握った拳銃に反応して、セキリュティゲートが再び閉じ、警報が鳴る。
 ウォーグレイモンがゆっくりと歩き始め、ジョーダンは更に下がろうとする。が、彼の着ているコートがゲートに引っ掛かり、バランスを崩して転びかけたところで、ウォーグレイモンは床を蹴ってジョーダンの方へと跳んだ。
「!」
 ウォーグレイモンの振るったドラモンキラーはセキリュティゲートのバーを破壊したが、ジョーダンの身体を切断することはなかった。爪の一撃を受けたのは、ウォーグレイモンと同じタイミングでアンドロモンを振り切り、ジョーダンの前に飛び出したミスティモンの剣だった。
「ぐ……ッ!」
 攻撃を受け止められても、ウォーグレイモンは特に驚くようすもなく、振り下ろそうとした右腕に力を籠めた。
 一方のミスティモンは両手で柄を握って受けているにも関わらず、その表情は明らかに曇り、力に圧されていた。

「この男を守るのか、ミスティモン? 自らの命惜しさに仲間を売った男だぞ」
「当たり前だ……ジェームズは私のパートナーだぞ……!」
「デジモンがパートナーを選べないのは不幸なことだな」
 ウォーグレイモンが更に力を強め、ミスティモンは食いしばる歯の間から小さな呻きを上げた。
「俺のパートナーはそこの惨めな男とは違った。パートナーを失う気分を、お前こそ味わうべきだな」
 ウォーグレイモンの眼は既にミスティモンではなく、彼の足元で腰を突きながら必死に後退しようとするジェームズを見ていた。
 ミスティモンのことは嫌いではなかったが、彼は既に救いようがないほど選ばれし子どものパートナーという立場に毒されている。だからこそ、ジョーダンが何をしようとも文句ひとつ言わずに彼の隣に立ち、彼を守り続けていたのだ。
 ジョーダンは元々、自らの立場が悪くなればすぐに鞍替えをするような男だ。ジェームズがどうなろうと、彼のことは近々に処分するつもりだった。その過程でミスティモンまでも殺さねばならないのは、少々残念だ。
 ウォーグレイモンがかつての仲間を前に感慨に浸っていたのは一瞬だったが、その隙に新たな乱入者が彼の背後に近づいていた。いつの間にか死角へと移動していたアンドロモンが、腕の光刃を輝かせながら彼に切りかかったのだ。
 ウォーグレイモンは身体を捻り、スパイラルソードの一撃を左腕のドラモンキラーで受けた。二体の完全体を相手にしてさえ、なおも彼の表情には余裕があった。
「お前も久々だな。元気だったか? アンドロモン」
「ジム! 彼を逃がすのです!」
 アンドロモンがそう声を上げる前に、ジェームズはジョーダンを立たせて下がらせていた。
 二体の完全体の刃に鬱陶しさを感じたウォーグレイモンは、両腕を円を描くように動かして刃を弾き、更に爪を振るった。腕から放たれた炎がドラモンキラーの軌道に乗って爆風が発生し、ミスティモンとアンドロモンに激突する。二体とも声を上げることすらできずに、吹き飛ばされて床に倒れた。
 ウォーグレイモンは彼らを確認することもなく、再びジェームズとジョーダンを見た。
「次はお前たちだ」



 人差し指をゆっくりと伸ばして、短く呪文を詠唱する。
 それだけで、リリスモンの目の前に緑色の魔法陣が現れ、それがやがて広がって半透明の壁を作り上げた。
 リリスモンとの最初の特訓で、春子が激突したものと同じ魔法壁だ。
「リリスモンさん……?」
 ドーベルモンの隣で、春子は魔法壁の奥で車椅子に座るリリスモンを見ていた。
「悪いね、ハルコ。ジェームズとの約束があるんだよ」
 リリスモンが溜め息をついて、春子を見つめ返す。
「ジェームズはあんたが来ることを望んでない」
「知ってます」
「だから、あんたを行かせることはできない。分かるね」
「分かりません」
 真顔でそう返事する春子に、リリスモンは片眉を吊り上げた。
「師匠の望みが聞けないのかい?」
「すみません。こればっかりは、ちょっと無理です」
「今起きてることは、ジェームズやウォーグレイモンがずっと抱えてきたことの後始末だ。あんたみたいな子どもが首を突っ込むことじゃないんだよ。ここで大人しくしてりゃ、どうなるにせよ明日には終わる。だから……」
「ここで黙って待ってろ、ってことですか?」
 シーラは春子を見た。今までの彼女なら考えもしなかったようなことをやろうとしているのが分かったからだ。
 春子はジェームズに、憧れていた選ばれし子どもに、反抗しようとしている。
「ごめんなさい、リリスモンさん。私、今やらなきゃいけないことがあると思うんです。選ばれし子どもとして」
「選ばれし子どもの大先輩が止めてるんだよ?」
「それは分かってます。だから後で怒られて、後で反省しようと思います」
 今度は、リリスモンの眉間に皺が寄った。
 対照的にドーベルモンは両耳を上げ、表情を少し柔らかくした。隣に立つ春子が、微笑んでいるのが見えたからだ。
「また痛い目を見るつもりかい」
「いや〜、痛い目も見たくないし、怒られたくもないんですけど……」
 春子は困ったような笑みを浮かべながら、左手で頭を掻いた。
「でも、今度は大丈夫な気がするんです。根拠はないですけど」
 その時シーラは、春子の掌の中で異変が起きていることに気づいた。
 そこで何かが輝いている。
「春子、それ……!」
「え?」
 シーラもまた、映像だけならこの現象を見たことがある。
 デジヴァイスと、ジェームズから手渡されたタグが光っているのだ。
 春子は掌を広げる。ジェームズのタグは、青いプレートの中に友情の紋章が刻まれていたはずだった。だが今は違う。
 そこで輝いているのは、オレンジ色の勇気の紋章。
 草薙タツキの紋章だ。
「ハルコ」
 しばらく呆気に取られて掌を見つめていた春子は、ドーベルモンの言葉で我に返った。
 今まで一度も、ウォーグレイモンに襲われた時でも見ることのなかった光が、目の前にある。
 心臓が高鳴ってきた。
「――ドーベルモン。私のこと、信じてくれる?」
「当たり前だ」
「私もドーベルモンのこと、信じてるよ」
 四つの脚でピンと立ち、身体を少し前に傾けながら、ドーベルモンは笑った。
「そうしてもらえると嬉しい」
 そして地面を蹴り、リリスモンの魔法壁目がけて走り出す。
 春子はジェームズのタグを首にかけると、正面を見つめ、ドーベルモンにデジヴァイスを向けた。タグの輝きが激しくなり、デジヴァイスから溢れ出す光はドーベルモンへ一直線に伸びていく。
 やがてその光がドーベルモンの身体を包み、春子のパートナーは姿を変え始めた。

 ドーベルモンの身体を覆うテクスチャが剥がれ、緑色のワイヤーフレームが姿を露わにする。ワイヤーフレームはより複雑に、より大きくなり、二本の前脚は地面を離れ、後ろ脚は更に筋肉質になる。
 張り替えられたテクスチャは一瞬、蒼い肌を見せる。全身が黄金の鎧で覆われ、背中には蒼いマントが纏わりついた。
 右腕には巨大な長刀が握られる。

 獣騎士・クーレスガルルモン。
 最後の選ばれし子どものパートナーが、究極体へと進化した。

「は……⁉」
 リリスモンは目の前で起きた出来事を信じられなかった。
 英雄の時代はとうに終わったのだ。奇跡が起きることなどなく、選ばれし子どもは時代遅れになった。にも関わらず、まるで才能も経験も、活躍の場すら与えられていないはずの、スクルドターミナル最下層の子どもが、パートナーデジモンを究極体へと進化させた。
「なんでそんなことができるんだい……!」
 この事態にすぐに対応しなければならない、とリリスモンは思った。
 今、目前で起きたことは歴史的な出来事だ。
 信じられないものを見たと言っていい。
 そして、これで余計に彼らを行かせることができなくなった。
 彼らが挑もうとしているのは、かつて何度も世界を救った、最強のデジタルモンスターだ。
 奇跡を起こした彼女たちを、そんな危険な相手のもとへ向かわせるわけにはいかない。
 怪我をさせてでもこの場に留まらせる必要がある。
「通させてもらうぞ」
 クーレスガルルモンが長刀黄獣偃月刀を振り上げたのを見て、リリスモンは手を突き出し、魔法壁の強化を図る。
 刀が触れた瞬間、魔法陣はまるでガラスのように粉々に砕け散った。
「……!」
 クーレスガルルモンは突進する速度を緩めずに、再び長刀を構える。リリスモンは左手を動かしていくつもの魔法陣を創り出す。あるものは魔法壁を、あるものは異次元からの怪物を、あるものは敵を束縛する魔力の枷を生み出した。
 どれも全く効果がなかった。
 この時、リリスモンの頭を支配していたのは焦りではなかった。ほんの一瞬だけだが、彼女は高揚感を覚えていた。
 七大魔王の一角として恐れられ、全デジタルワールドの征服を目論み、世界の命運を決する戦いに挑んだ若き日の自分に戻ったようだった。
 目の前で長刀を振り上げた金色の獣が、あの時のタツキのウォーグレイモンのように、あるいはジェームズのメタルガルルモンのように見えた。
 この選ばれしデジモンを倒したい。
 リリスモンはほとんど無意識に、春子たちを止めるという目的も忘れ、触れるもの全てを腐食させる右腕の爪をクーレスガルルモンに向けていた。
 それは長刀にも、クーレスガルルモンの身体にも触れることなく、空を切った。
 クーレスガルルモンの刀は正確に振り下ろされた。

ID.4926
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2018/03/11(日) 00:02


7・8話あとがき
 小説の話をするたびに何度も出しているので「いい加減その話もういいよ」と思われている人は多いかもしれませんが、人間とパートナーデジモンの話。

 デジモン小説を書こうとする際に毎回思い出すのが、かつて角銅博之さんが仰っていた「デジモンは人間の不安定な“魂”が安定するために形を得たような存在」という言葉です。
 今更ながら思い出すと、僕の小説(特に『バウンダリー』以降)は全て、主人公とパートナーデジモンの関係性が何かしら不健全な形になっていて、そんなことだから精神的にもみんな安定していません。
 お話が進むにつれ、それぞれ関係性を修復したり、そうじゃなかったりするのですが、本作のジェームズの場合はパートナーが既に他界していますし、奥さんも亡くなっています。おそらく過去作品の中でもパートナーが一番遠いところに行ってしまっている人です(『幾千のアポカリプス 覚醒矛盾』のあの子もかなり遠かったですが……)。
 こういう不健全さが僕は大好きで(あくまで物語において、ですよ)、これをグラつかせてお話にするのがデジモン小説のキモだとすら思ってる節があります。
 というか、逆に完全に健全なパートナー関係の物語は書くのが苦手かもしれません。多分。

 さて、今回の7話ではジェームズのパートナーとの繋がりをようやく見せまして、8話では落ちこぼれの選ばれし子どもがパートナーとの繋がりを取り戻しました。
 最後はどんな風に着地するのか、次回をお楽しみに。

 最終9話は旧オリジナルデジモンストーリー掲示板のサービス終了日、3月26日に投稿したいと思います。
 それではまた。

ID.4930
 
■投稿者:夏P(ナッピー)  MAIL
■投稿日:2018/03/17(土) 21:55


ジムジム言われると連邦軍のMSの気分になる
 うおおおおおおお! 盛り上がってきた! 8話終わった時点でテンション最高潮だったので、流れで次そのまま9話もあるもんかと思って画面スクロールさせてしまいましたが悲しいことに無かった。そんなわけで夏P(ナッピー)です。
 後半戦というか、もう一気にクライマックスになった感じだ!


 ジョーダンさん、立場から考えて居丈高だと思ってたが本質は弱い人だったということなのか。決してダメなことではないけれど、それでも許されないことをしたんだな……ミスティモンに対するウォーグレイモンの言葉は真理と言えよう。クライシスの卑劣な罠に憤った南光太郎の如く冗談じゃないぜ!!と叫びたくなったがそれはそれ。
 ミスティモンはともかくアンドロモンが死ぬかと思って冷や冷やしたのは内緒だ!
 完全体も複数なら究極体とも渡り合えるのかなと思ったら無理だった。ヤマブキシティのシルフカンパニー本社ビルで「しめしめ いねむりしてるぞ」な居眠り野郎ミノタルモンと違って、アスタモンは活躍してると信じてるぞ!
 く、クーレスガルルモン……! ええ、これ書いた時アイツまだ発表されたばかりとかじゃないか!? そこでもう出してくるとは完全に意表を突かれました。描写されたようにメタルガルルモンのようでありつつ、勇気の紋章だからこそ、ウォーグレイモンのようでもあるということなのかしら。超・燃ゑる。


 おっと、そして最後にこれだけは言わざるを得まい。


 成田ァ!!?

ID.4936
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2018/03/25(日) 21:47


7・8話感想返信
>>4930
夏Pさん
 読んでくださりありがとうございます。
 ジョーダンはお察しの通り、という感じでしょうか。
 ヒーロータイプではなかったけどヒーローになってしまった、あるいはヒーローだったけど半世紀の時間が経過するうちに変わってしまった……というタイプかもしれません。
 ジェームズは彼が保身だけでこの選択をしたわけではないと思っているようですが、実際どうだったかは彼のみぞ知るといった感じでしょうか。

 クーレスガルルモンはどうだったかな……登場してから数か月後だった気はします。
 厳密に言うとドーベルモン→クーレスガルルモンという進化ルートは存在するかどうか分からないのですが、デジモンカードでドーベルモン→ワーガルルモンXという進化ルートは存在するので、「じゃあこれでいくか」と決めた覚えがあります。
 順当にいけばアヌビモン辺りに進化すべきなのでしょうけど、アヌビモンは『幾千のアポカリプス』で既にイメージが定着しちゃっている(ましてや自分自身の前作もアポカリプスのスピンオフ……)ことと、アヌビモンだと誰でも予想がついてしまうということがあり、まだ小説界隈では誰も扱ったことがなさそうなクーレスガルルモンを選んでみました。
 20thアートブックでデザイン眺めてるうちに「なんだ、結構カッコいいな」と思ったり……その分、文庫版挿絵でENNEさんにはご苦労をおかけしてしまいましたが。

 それと、成田ですが4話でも登場していますので、よろしければそちらもご覧ください。
 連載のデジモン小説だと(ほぼ)皆勤賞ですね彼。

 それでは、次回最終話もどうかお付き合いください!