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ID.4688
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/01/01(日) 20:10
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デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】1/3
         
《はじめに…》
この小説はデジモンアドベンチャーtri.第6章の後日談となっています。多少ネタバレを含みますので、問題ない方はこのままお読みください。
またこの作品は作者の自己満足系タケル×芽心小説となっております。このCPが問題ない方はこのままお読みいただいて問題ありません。

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「タケリュ、もうすぐだよ!」

その声にタケルは喉に詰まりそうな血の塊を飲み込む。全速力で駆け上がってきたのだ。息は絶え、肩で呼吸をし、筋肉が悲鳴を挙げている。

『立ち止まって、られるか!』

キッと上を睨むと、道の先に光が見えた。タケルは再び走り出す。
そたどり着いた光の先にはのどかな丘陵地が広がっていた。あたりは背の低い草が茂り、花が咲き、その花に蝶が舞い降りる。

「オーッホッホッホ! やっと来たわね、タケル!」

声のする方向に顔を向けると、そこには四天王が1人、ミミが高らかに声を挙げて笑っている。何時もの様に薔薇の蕾を模した冠を被り、紅いショートジャケットと太股まである長いブーツを履き、深緑のマントが風になびいている。手には荊の様な鞭をにしている。

「現れたな、ミミ! 芽心を返せ!」
「オーッホッホッホ! ジョーダンはヨシナンテ! メイメイはこのアタシとネバーでエンドなフォーリンラブを過ごすのぉ〜。アンタみたいなムッツリベースケなスマーティストに渡してなるものですか!」
「なら力尽くで返して貰う!パタモン!」
「オッケー、タケリュ! パタモン、ワープ進化! セラフィモン!」

パタモンが光に包まれると、聖鎧を待とう10枚の翼を持つ大天使へと進化する。

「我が望む未来を掴み取れ! 天元超克 セラフィモン!」
「セブンヘブンズ!」

タケルの声と共にセラフィモンから7つの熱球がミミに向かって放たれる。ミミは胸のティファレトに両手をかざし、

「フォービドゥン・テンプテイション!」

粒子砲を放ち、熱球を相殺する。その衝撃で辺り一面を爆風と爆煙が包み込む。

「くっ!」

ミミが爆煙で目を細めると、その爆煙の中からセラフィモンが飛び出し、右腕から伸びたエクスキャリバーがミミの細首を狙う。
ミミはソーンウイップで間一髪聖剣を受け止める。

「フフン、なかなかやるじゃない!」

ミミは余裕綽々に答えるが、タケルはそれが強がりだと見抜いていた。

「トドメだ、セラフィモン!」

それを合図に空いていた左手に力を込めるセラフィモン。だが、その瞬間、一気にミミから距離を取り、タケルを庇った。
タケルが状況の飲み込めないでいると、ミミがいるところを中心に冷気を伴った爆風が起こる。

「そん…な…、あんた…アタシヲ…」

全身が凍傷になり、声が絶え絶えになったミミをガトリング銃が弾き飛ばす。

「お前はエックス!」

そこに居たのは、両肩レーザー砲とガトリング銃を載せた二足歩行の蒼き狼。四天王「デジモンKaiser」の食客のひとり、通称エックス。

「会いたかったぞ、タケル…」
「どうして、お前が俺に…?」

タケルの疑問に答える様にエックスはその狼のフルメイルを外す。そしてそこに現れたのは、タケルと同じ金髪と碧眼の少年。

「兄さん…!」

そこに居たのは、この旅の切欠となった死んだはずの兄、ヤマト。

「どうして…兄『メイィ〜』さんが…。兄さんはあ『メイィ〜』の時、死んだ…!」
「いろい『メイィ〜』ろ事情があった『メイィ〜』んだ、タケルよ。だが『なぁ〜、起きないやぁ〜』、お前の旅も『なぁ、メイィ〜』これで終わりだ…」
「どう『メイィイー!』言うことだよ、兄さん!」

問い掛けるタケルにヤマトはフッと笑いを浮かべ、

「全て『メイ! そろそろ起きないや!』



「ふわっ……」

メイちゃんの声で私は目を覚ます。頭を左に向けると、メイちゃんが耳をひょこひょこさせている。メガネを外しているので、はっきりとした表情はわからないが、動きからして嬉しそうだ。

「メイ、明けましておめでとう!」

今日は2007年1月1日。新年の朝だ。
私は体を起こし、メイちゃんを抱きかかえる。

「明けましておめでとう、メイちゃん! 今年もよろしくねっ!」
「だがん!」

私は眼鏡を探すため、手を伸ばすと、

「これでしょ? ハイ!」

突然、視界がはっきりした。

「あっ…、すみませ…」

私は言葉に詰まった。何故視界がはっきりしたのか。
それは眼鏡を掛けたから。では何故眼鏡が勝手に掛けられたのか。
それは誰かが掛けてくれたから。では誰が?
私はその人物と目を合わせた。その瞳は蒼く、くりっとした優しい目。

「明けましておめでとう、芽心さん。今年もよろしく!」

そこには高石タケルくん。私が今お付き合いしている人。そうだけど、でもどうして⁉

「うっきゃー‼」

私は新年早々、大声を挙げてしまったのだった。



「すみません、折角泊めていただいているのに…」
「んもう、そんなに恐縮しないで! 自分のお家だと思ってくつろいでいいからね」

タケルくんのお母様、奈津子さんは笑顔で返してくれた。

「大体タケル。芽心ちゃんをびっくりさせる様な事するんじゃないわよ! お母さん、びっくりするじゃない!」
「びっくりさせる様なって、ただ眼鏡を掛けてあげただけだよ…」
「やり方があるでしょ! てっきりタケルが芽心ちゃんに手を出したかと思ったわよ」

少し怒った顔をしながら、奈津子さんはパタモンからパックに包装された食材を受け取る。

「大丈夫、母さん大体あんな顔だから」

タケルくんが私の耳元で囁いた。どうやら私が萎縮してしまったと勘違いしているらしい。でも、そんな事言うと…、ああ! 奈津子さんが睨んでる!

「あの…すみません!」
「だから、芽心ちゃんが謝る必要ないわよ。そもそも2人とも受験控えているから、帰省せずに勉強するでしょ? 芽心ちゃんのご両親は鳥取に帰るから、なら年末はうちに泊まらない? って声掛けたのは私達だし、何よりタケルの勉強も見てもらうから迷惑なんて思ってないわよ。逆に昨日は大掃除も手伝って貰って大感謝!」

奈津子さんはそう言いながら、テキパキとおせち料理をお皿に盛り付けている。

「私もお手伝いしますッ!」
「ならそのお皿、テーブルに運んで!」
「ハイ!」
「メイもテゴするだがん」

私のその姿を見て、メイtちゃんも名乗りをあげる。でも、料理メイちゃんだとじゃまテゴになっちゃうで。

「メイクーモンはボクとテーブルのお皿とお箸を並べよぉー」
「わかりまちた、チェンぱい!」

そう言うと、2人は食器棚に移動する。
そのタイミングで呼び鈴が鳴った。

「タケル、暇でしょ? 出て?」

完全に手持ち無沙汰だったタケルくんを奈津子さんが顎で使う。タケルくんは気にした素ぶりは見せず、ハイハイ、とその指示に従った。

「ホントだ、望月がいる」

部屋に入るなり、開口一番ヤマトさんは声に出した。
左手には保温ジャー、その後ろのガブモンは大きな風呂敷を持っている。

「藪から棒だなー。一昨日言ったじゃん! てか、兄貴邪魔! 入口で止まらないで!」

ヤマトさんの後ろからタケルくんの声がする。

「ヤマト、明けましておめでとう」
「ああ、あけおめ」

奈津子さんの怒気を含んだ声にたじろぎながらも、ヤマトさんは新年の挨拶を交わす。

「あの人、今年も来なかったわね…」
「こんな日じゃないと、部下と飲みに行けないんだと…」

本音は多分違うだろうけどな、とヤマトさんは小さく呟いた。その答えに奈津子さんはなんでもない風を装っているが、やはり何処と無く寂しそうだ。

「さてと、じゃあ後は俺の雑煮だけか?」
「待ってました、お兄ちゃん!」
「うるせェ〜、タケルお前が餅焼け! 母さんと望月たちは座って待っててくれ」
「えっ、でも…」
「芽心ちゃん、言われた通りに座って待ってましょ! うちの料理長はうるさいから〜」

そう言って私の背中を押してくれる奈津子さん。そう進められてテーブルに座ると、メイちゃんたちも座って待っている。

「ヤマトのお雑煮は絶品だからねこ、楽しみにしておいてね」
「やった〜」
「俺ヤマトの下準備手伝ったけど、いい匂いがしてホント辛かったよぉ〜」

嬉しそうに言う奈津子さんにパタモンとガブモンはそれぞれの反応を見せる。そう言えば、他のお家のお雑煮なんて食べた事ないかも。

「メイちゃん、楽しみだなぁ〜」
「だがん!」

私達はただ待っている訳にもいかないので、テレビを見ながらおせち料理に箸を付ける。テレビではお笑い芸人さんが新年の笑い初めと称して、漫才をやっている。

「この伊達巻き、美味しいですね!」
「どうもありがとう! まあ、お店で買ってきたものだけどね。そもそも江戸時代の江戸の人たちもそんなに料理してなかったみたいよ。お惣菜屋さんが売りに来てくれたり、男の人は居酒屋で食べてたみたいだし…」
「そうなんですか⁉」
「おせちも黒豆、数の子、田作りが最低限あればよかったらしいし、そもそも三が日は竃を使わなかったみたい」
「ええっ! じゃあ、温かいご飯食べられないじゃないか!」
「なんで、そんなことするの?」

ガブモンとパタモンは箸を止めて、自分たちの疑問を奈津子さんにぶつける。奈津子さんは、待ってました、と言わんばかりのドヤ顔で、

「お正月の三が日は竃の神様に休んでもらう日だったそうなの。毎日使うから、新年だけでも休んで下さい、って感じだったんでしょうね。だから、おせち料理は日持ちする料理を揃えていたのよ」

なるほど、とガブモンは感慨深げに頷き、パタモンはよくわからなかったみたい。

「なら、早速コンロを使った俺は神様を扱き使うドエス野郎ってか?」

少しムスッとした表情でヤマトさんがお雑煮を載せたお盆を持ってきた。
「たくっ…」と小さく悪態をつきながらも、みんなの前に置いていく。

「うわっ! 美味しそう!ヤマト、彩りも綺麗じゃない!」
「もう、この香りを昨日の夜から嗅がされてたんだからな!」
「ホント、いい匂い!」
「…………?」
「…………メイィ…」

メイちゃんが何か言いたげだったのを私は小さく首を振り、お椀に手を伸ばす。
芳醇なカツオの香りが鼻をくすぐり、食欲を刺激する。私は2、3回息を吹きかけ、お椀の縁を下唇に当ててお汁をすする。複雑に絡み合う出汁のハーモニー。香りからしてカツオ節を使っている事はわかった。しかし、それ以外にもいくつかの食材から出汁の取っているのだろうが、その食材まではわからなかった。とりあえず、一言言えるのは、

「とーっても美味しいです、ヤマトさん!」

私の表情を見たヤマトさんはホッと息を撫で下ろした。メイちゃんも私の様子を確認してから、ズズッとお汁をすする。

「ぅまい! ぅまいがな!」
「当然だろ、ヤマトはバンドと料理にはうるさいからな! 不味い訳ないぜ!」
「なんか嫌味に聞こえるぞ、ガブモン…」
「ええなぁ〜、チェンぱいは毎日こんなぅまい料理食べられてぇ〜」
「でも、毎日こんなのだと、下ごしらえが大変だよ…」
「食費も馬鹿にならないしね…」
「正月くらい、張り切って贅沢してもバチは当たらないだろ?」

ヤマトさんはそう言うと、自分でもお雑煮をすする。そして満足気な表情を浮かべた。

「よーし、じゃあ僕らも食べようか、パタモン?」
「うん! 僕ね、この栗きんとん大好き!」

タケルくんの一声を切欠に新年最初の朝ごはんは本格的にスタートした。

ID.4689
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/01/02(月) 22:24


RE:デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】2/3
「ごめん、芽心さん。お雑煮口の合わなかった?」
「えっ⁉」

俺は初詣を終えても最寄駅に移動中に芽心さんに尋ねた。
朝ごはんの後、丁度昼前にミミさんがやってきてほぼ強制的に初詣に向かう流れとなった。メンバーはミミさん、光子郎さん、京さんに賢くんと兄貴に空さん、芽心さんと俺、そしてそれぞれのパートナーだ。太一さんとヒカリちゃん、そして大輔くんはサッカーの試合観戦に、伊織くんと丈先輩はそれぞれは家族と彼女と初詣に出掛けてしまったそうだ。
やはり元日は初詣客が多く、みんなばらばらになってしまったが、とりあえず参拝を終えて、事前に確認しておいた時間に最寄駅で集合する形となった。
俺は芽心さんと一緒に行動し、丁度2人っきり(正確にはパタモンたちはいるんだけどね…)になったところで先程の疑問を口にしたのだ。

芽心さんはバツが悪そうな表情を浮かべ、

「美味しかったのは本当です。ですけど……」

言うか悩んでいる風だったが、意を決した様に頷くと、

「違ったんです……」
「? 何が違ったの?」
「お雑煮が違うんです」

いまいちどう答えていいかわからない俺を察したのか、芽心さんは順を追って説明に入った。

「やっぱり、子供の時から親しんできたものなので、ほぼルーティーンと言っていいのでしょうか? いつもと違うお雑煮を食べると、なんかしっくりこないんですよね……」

なるほど。自分がイメージしたものとは別物が出てきたんでびっくりした、と言ったところか。

「じゃあ、芽心さんのお雑煮ってどんなの?」
「あずきです!」

えっ?

「あずきを甘く煮て、そこに茹でた丸餅を入れたものです」

熱く語る芽心さん。でも、それって……、

「ぜんざいだよね?」
「違います! お雑煮です!」
「でも、作り方同じじゃあ……」
「同じですけど、お正月に食べるのでお雑煮です!」

自分で同じって言ってるじゃん……。しかし、芽心さんの熱弁は止まらない。

「大体、ヤマトさんの出したのだってお吸い物にお餅入れただけじゃないですか! 確かに美味しかったですけど…。正直、全国の人って味噌汁とかお餅を入れるだけでお雑煮って言っているんですよね? はっきり言って理解出来んっていうか、あれを食べてもお正月がきた気分にはならんですよ。やっぱりお雑煮はあずきで作った奴でないと___」
「メッ…メイ………」

メイクーモンに声をかけられ、ハッとする芽心さん。俺の顔を見るなり、耳まで真っ赤にして、

「すみません! 鬱陶しかったですよね! 本当にすみません!」

余程俺の顔が引いていたのだろう。芽心さんはペコペコ頭を下げている。

「でも確かに、兄貴が作ったのとは別物だもんねー」
「ええ、でもスイッチが入らないは本当ですよ…」

少し悲しい表情を浮かべる芽心さん。メイクーモンもそんな芽心さんを見て寂しそうだ。
俺はしばらく考えると、

「芽心さん、家空いてるんだよね?」
「えっ⁉ はい。3日には両親帰ってきますが…」

なら、と思い俺は兄貴に電話を掛ける。

「兄貴? うん。お願いがあるんだけど、集合場所と時間を変えたいんだ。………うん、ごめんね………。そう、ありがとう! それで場所だけど………」

「ただいまぁ〜」

帰宅の挨拶をしてもそれに返す言葉はない。私はメイちゃんと買い物袋を掲げ、家へと入る。

「おじゃましま〜す」

私に続いてタケルくんも家に入る。頭にパタモンを載せ、両手に私と同様に買い物袋を下げている。
私はメイちゃんをテレビのソファに座らせ、「準備するけん、大人しくしとってな」と告げる。メイちゃんは「だがん!」と元気よく返事をして、後から飛んできたパタモンと一緒にテレビを見始めた。

私はキッチンに移動すると、買ってきたジュースを冷蔵庫に入れる。エプロンを着て、手を洗い、買い物袋からチキンロールを取り出すとまな板に載せて包丁を入れた。

「芽心さん、俺も手伝うよ…」

恐る恐る私の機嫌を気遣う様にタケルくんは尋ねてきた。私は手を止め、フーッとひと息吐いて、

「お惣菜をお皿に盛り付けといて下さい。あとお菓子もそこの棚にある器があるけん、それに!」

私は事務的に答えた。タケルくんは、はい…、と答えて作業を進める。
無言。私は黙々とチキンロールを切り分ける。タケルくんは買って来たお菓子をお皿に盛り付ける。
この状況に耐え切れなかったのはタケルくん。

「怒ってる?」
「怒っとらんです!」

正直ムカついてはいる。急に私の家を集合場所に変更し、そのまま新年会と言い出したのだ
なんの準備もしていないのに、私の家で勝手に!
だから私は急いで準備をしているのだ。みんな各自料理を持ってくると言う事だが、私も何も用意しない訳には行かない。そこで開いていたスーパーで簡単な食材、お菓子とジュースを購入してきた訳なのだ。

「ごめん……」

タケルくんは申し訳なさそうに小さく呟いた。私はチキンロールを盛り付け終えると、まな板を洗い、

「タケル!」
「ハイ!」

私はコンロの下のラックからお鍋を取り出すと、

「鳥取のお雑煮に作りますね!」

ニッと微笑んで見せた。

先ずお鍋に水を張り、火をつけます。小豆の缶詰を入れますが、量はお好みですね。私は小豆が残っている方が好きなので、大体1リットルに500gくらいでしょうか? お砂糖は200gくらいですが、少しずつ調整してもらったらいいです。隠し味で塩を少々。これで甘さが引き立ち、更にクドくならずに済みます。

「これで完成です!」
「…………簡単だね」
「あとはお餅を茹でて一煮立ちさせる必要がありますけど…」
「芽心さんのところは茹でるんだね。俺ン家は焼きだけど」
「ここでも家庭の違いでますね」

自然と笑い合う私たち。

「よかったぁ〜。芽心さん、怒ってもう口聞いてくれないと思ってた」

ほっと安心した表情を浮かべるタケルくん。
ホントはそんなに怒っている訳ではないが、勝手に決めた事についてはきっちりして行かなければ! 今後の為にも!
そう自分で言って、自分で照れてしまう。

そのタイミングで呼び鈴が鳴った。

「今出まーす」

私が玄関を開けると、

「メイメイにするぅ〜」

ミミさんが抱きついて来た。さっき会ったばかりなのに、何故このテンション? あと私にする、とは?

「もうメイメイ、ノリ悪い! ここは『ご飯にする? お風呂にする? それともアア・タ・シ?』でしょ?」

私の耳元で囁くミミさん。光子郎さんはその様子を静観しながら、

「芽心さん、家からいろいろ持って来ましたよ」
「でも、正月やさかい、皆はんと被ってたら堪忍でっせ!」
「えっ? みんな何か持って来てるの? ミミ、何か聞いてた?」
「えーっと、私聞いてない!」

ムスッと膨れるミミさん。敢えてミミさんには伝えなかったみたい。

「ちょっとご近所迷惑よ、みんな!」

ちょうど空さんと京さん、賢くんがやって来た。

「うちの店からお菓子とかもってきました〜♪」
「すみません、お呼ばれする形になってしまって…」
「ヤマトは遅れるって」

何か作ってくるみたい、と付け足した。
私は皆さんを案内すると、水をはったお鍋に火をいれる。

「タケルくん、お雑煮に食べるか聞いてくれません?」
「了解です」

そう言うとタケルくんはみんなに確認しに行った。取り敢えずお餅を10個を茹でておこうか。
お餅を鍋に入れた頃、タケルくんが戻って来る。

「みんな食べるから、俺と芽心さんも含めて14個かな?」
「なら、今10個茹でてるから、私たちの分はこれが茹で上がってから作りますね」
「わかった! なら、お椀用意しとくね」
「はーい、お願いしまーす」

茹で上がったお餅は浮いてくる。それをお雑煮に入れ、一煮立ちさせる。この時、お餅同士がくっつかない様に注意しないといけない。一度茹でたお餅は茹で過ぎるとトロトロになってしまうのだ。ここでも浮いてきたお餅をお椀に入れ、そこに汁を注ぐ。そのお椀をお盆に載せると、タケルくんに渡し、

「ハイ、お願いします」
「了解! みんな、雑煮出来たよぉ〜」
「わぁー、お雑煮だがん!」
「えっ! これがメイメイん家のお雑煮⁉」
「これ、ぜんざいじゃあ…」
「空ぁ〜、これとっても美味しいよぉ〜」
「この甘みが堪らんわぁー」
「甘さが控えてあるので、甘いのが苦手な人でも食べやすいですね」
「あぁん、お餅と甘いものだから、ダイエットの大敵なのに乙女の大好物じゃない!」
「京しゃん、あんまり気にしてないじゃないですか…」
「賢ちゃん、美味しいね」
「そうだね、それにしても…」

みんなの感想が聞こえる中、タケルくんと自分たちの分を作る私たちに賢くんが、

「今のお二人、まるで夫婦みたいだね」

ID.4690
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/01/03(火) 21:57


RE:デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】3/3
「今のお二人、まるで夫婦みたいだね」

笑顔のまま、そう言って来た。

「えー、 なになに賢くん? なんの話ぃ〜?」
「タケルくんと芽心さんが夫婦みたいって話」
「賢くん!」

笑顔のまま、からかうなんて賢くんも人が悪い。恐らくだけど、私は耳まで真っ赤にしているに違いない! でも、タケルくんは何食わぬ顔で返すんだろうな…。
そう思って目の前の賢くんと京さんを見ると、2人とも驚いた表情をしている。横のタケルくんに目を向けると、口をわなわなと動かし、完全に耳まで真っ赤にしている。こんなタケルくん、初めて見たかも。

「なあ〜、メイコ〜。お雑煮、まだぁ〜?」
「あれ?タケリュ、顔真っ赤だよ?」

メイちゃんたちがお雑煮の催促にやって来た。どうもパタモンはタケルくんの表情に気がついた様だ。

「うっ、うるさい! 芽心さん、早く俺たちもお雑煮食べたいな!」
「はいはーい! 私もお代わり!」
「私も私もぉ〜」
「恐縮ですぅ〜」
「みんなが食べたら、ボクらの分が無くなっちゃうよ〜」
「メイも食べたいだがん!」
「あっ、ヤマトもうすぐ来るみたい」
「太一さんとヒカリさん、大輔くんもこちらに向かっているそうです。丈さんと伊織くんが何か足りないものはないですか、って連絡がありました」
「それなら紙皿とコップをお願い。京ちゃん、家から持って来たものを並べましょ」
「ハーイ、空さん了解です!」

やっぱりこれだけ人数が集まると、家の中が狭く感じる。

「なんかうるさくなっちゃったね…」

横のタケルくんが少し引いた表情をしている。でもこうなったのはタケルくんの所為ですよ!

「ごめんね。でも、芽心さんがお雑煮に食べたそうだったし…、それそれに…」
「それに何ですか?」

澄まし顔で少し頬を赤らめたタケルくんに尋ねると、

「俺も…芽心さんのお雑煮、食べたかったから…」

そうして私を横目でチラッと見た。もうそんな表情をするなんて、反則です!
タケルくんの中学生の男の子らしい照れた表情に私は引き込まれる様に見つめてしまった。

カラン。

その為、音がするまでお玉を手放した事に気付かなかった。

「あわっ!」
「大丈夫⁉」

慌てて床にしゃがみ込む私とタケルくん。私たちの手が同じタイミングでお玉に触れる。それは私たちの手が重なった事を意味する。
顔を少し上げる。ほんの数センチの距離にタケルくんの顔が。
フランスのクォーターなのでとても端正な顔立ち。とても金髪と碧眼によく似合っている。肌は白いが決して青白い訳ではなく、少し朱色が入った快活さを連想させる。タケルくんと瞳が合った。それはほんの一瞬のはずなのに、その深い蒼に引き込まれそうになる。心臓は早鐘を打ち、体温が上がるのを感じた。

そして…

私の唇を熱い唇が触れた。

私は立ち上がると、お玉を洗いに流し移動する。タケルくんは鍋の火を細めている。

「メイ? 顔赤いでぇ?」

ニコニコした笑顔で寄ってきたメイちゃんが私を見るなり、不思議そうに聞いてきた。

「大丈夫だけ。すぐお餅お椀によそうね!」

私はお鍋を見ているタケルくんの横に移動する。お餅をよそいながら、横目でタケルを見つめる。タケルくんも先ほどより顔が赤い事が見ていてすぐわかった。私は唇に触れる。まだその熱と柔らかさが残っている。

「芽心さん…」

タケルくんは私の方に顔を向けると、小さく息を吐いて、いつもの優しい笑顔で、

「今年もよろし___」

ピポピポピポピポピポピポーンピーンポーン!!

やかましく鳴る呼び鈴。

「あっ! 太一たちかも。私が出るね!」

パタパタと玄関に向かう空さん。

「タイチぃ〜、ボクもうお腹ぺこぺこぉ〜」
「ホントお前ブレないな!」
「あぁ! 甘いいい香りぃ〜!」
「ヒカリ、あまり食べ過ぎるなよ!」
「チビモン! 餅何個食えるか勝負だ!」
「おう! オレ負けないゼ、だいしゅけ!」

更に賑やかになって来た。うーん、落ち着けるタイミングはいつ来るのかな? そもそも私たちはお雑煮を食べれるのだろうか?

「タケルくん!」

私は殺意を込めた目で大輔くんをにらむタケルくんの服の裾を引っ張り、その耳元で、

「取り敢えず、私とタケルくんの分は確保しておくので、後で2人でゆっくり食べましょ?」

そして、その勢いのまま、彼の頬にキスをする。さっきの事があった所為か、いつもより大胆になっている様だ。驚くタケルくんに私は微笑み返すと、お雑煮を載せたお盆をダイニングへと持って運ぶ。タケルくんはパタモンと何か言い合っているが、気にしない。

「お待たせしましたぁ〜
「わーい、お餅ぃ〜」
「あー、外寒かったから、あったかいぜんざいが沁みる〜」
「ヒカリちゃん、これぜんざいじゃなくて、メイメイの実家のお雑煮なのよぉ〜」
「熱っ!」
「やっぱ、テイルモン、猫舌なのか…」

今しがた来たばかりの太一さん達、お代わりを要求したミミさん達、そしてメイちゃんに。

「はい、メイちゃん。ようがんじがんじして食べるだで?」
「だがん! なぁ、メイコ?」
「なに、メイちゃん?」

メイちゃんはソファに立ち、私の耳元に口を寄せると、

「さっき、チューしとったな!」
「メイちゃん、見とった?」
「だがん!」

満面の笑みで答えるメイちゃん。私が気恥ずかしく感じていると、

「2人とも仲がえー感じだけん、メイも嬉しいだがん!」

嬉しい事を言ってくれる。私はメイちゃんの頭を撫でると、嬉しそうに耳を動かしている。

「ヤマト達、到着したよぉ〜」

ピヨモンがヤマトさん達の到着を告げる。
その後ろにヤマトさんとガブモン、伊織くんとウパモン、丈さんとゴマモンが入ってきた。

「なんだよ、結構食いモンあるじゃないか!」
「だから言ったろ? そんなに持っていかなくていいって」
「お邪魔します」
「うまそーな、匂いだぎゃ!イオリ、オレも食っていいキャア?」
「いやー、やっぱり受験を考えないお正月はいいね! 彼女とゆっくり大晦日から過ごせたよ」
「ジョー、鼻の下伸びてたぞ…」
「ゴマモン…、余計な事は……」
「あとさ、初詣の後で彼女の部屋で2人でなにモゾモゾして___」
「ゴマモーーーン! 伊織くんの前でーーー!」
「丈さん、大丈夫です。大体わかりますから…」
「なんの話キャ?」
「丈さんと彼女さんがジョグレスしてたって___」
「伊織くん!そんな風に育てたつもりは___!」
「まあ、落ち着けよ丈…。タケル、作ってた角煮や煮物持ってきたから、盛り付けてくれ」
「僕も黒豆を持ってきました。タケルさんお願いします」
「ちょっと2人ともいきなり…。芽心さーん、お皿どれ使ったらいい?」
「ああ、私がやりますけん!」
「いいけん、芽心さんは座ってて!」
「いえ、そういう訳には…」

私がキッチンへ移動しようとするのを空さんが止めた。

「まあま、芽心ちゃん! ちょっとは休みましょ。タケルもこっちきて! 」

空さんは私をソファーに座るメイちゃんの横へ座るように促す。

「ハイ、タケルくんも座って!」

そして、タケルくんは私の横に。

「ボクもタケリュの横ぉ〜」

パタモンがタケルくんの横に移動する。

「料理は私とヤマトで盛り付けるから、安心して! ハイ、ヤマト手伝って!」
「決定事項かよ……」
「あっ、僕も手伝いましょうか、空さん、ヤマトさん」
「いい心がけだ、伊織! いいか、料理の盛り付けはセンスだ! 見た目が綺麗だと、その味も___」
「どうせ、大輔さんたちが食い散らかすので意味ないです。そんな事を言っているから、ウザがられるんです」
「だぎゃ!」
「確かに言えてる」
「…………母さん、伊織が反抗期…」
「誰が母さんよ! 失礼しちゃう!」
「空は気配りが出来る”イイオンナ”っよ!」

楽しそうな会話がキッチンから聞こえる。

「よーし、エンモタケナカ! 太刀川ミミ、歌いまーす! ほら、京ちゃん、ヒカリちゃん! それにこーしろーくんも!」
「えっ⁉ 僕もですかっ⁉ 」
「今や、行きなはれ、光子郎はーん!」
「ミミィ〜! アタシも踊るぅ〜!」
「お姉様ぁ! “My style”でいいですよね?」
「京しゃん、音源はここでしゅよ」
「うーん、踊れるかな……?」
「大丈夫だ、ヒカリ! あれ程、動画サイト見て練習したじゃないか!」
「ほら、ジョーも行けよぉ〜」
「いや、踊れないし! てか、ここで踊ったら近所迷惑だし! それと、”宴もたけなわ”だし!」
「賢ちゃん、ボク小刀パラパラ踊れるよ! ほら、見て!」
「ワームモン、たくさん足を動かさないで。キモチワルい…」
「ワームモン、いいなー。ダイシュケ、オレもパラパラ踊る!」
「よーし、一緒にやるか、チビモン、ワームモンモン! ほらっ、一乗寺も!」
「いやー、この鳥取の雑煮うまいな! ヤマト、お代わり!」
「僕もお餅たーっぷりで、オカワリー!」

本当にやかましい___楽しい新年会になってきた。タケルくんは苦笑いを浮かべながら、テーブルの料理に手を付ける。パタモンもメイちゃんも料理に夢中だ。
本当にこの楽しい時間が続けばいいなぁ。

「ねぇ、タケルくん?」
「えっ、な芽心さん?」
「今年も、そしてこれからもよろしくお願いします」

そう言うと、タケルくんはニコッと笑い、

「さっきちゃんと言えなかったけど、俺の方こそ、よろしく!」

こうして、私たちの2007年は始まったのでした。



「…………ヤマトさん」
「…………どうした伊織?」
「さっき、タケルさん。”いいけん”って、方言出てましたよね?」
「…………気づいたか?」
「感染ってましたね、方言」
「ああ、感染ってたな……」

ID.4718
 
■投稿者:夏P(ナッピー)  MAIL
■投稿日:2017/05/10(水) 23:42


めざせ方言マスター
 こちらで感想を書かせて頂くのは初めてになりますでしょうか、夏P(ナッピー)と申します。年末年始に投稿されていたものを今になって感想を書かせて頂くのは少々心苦しくもありますが、読ませて頂きましたので感想をば。
 ……⁉Σ(゜Д゜)  tri6章終了後!?
 バカな、俺は知らない間に未来の世界に移ってしまっていたのか!? とまあ驚かされたのですが、ぎゃあああああああああああああ大輔達も普通にいるうううううううううううううううんんんんん 冒頭のミミちゃん貴様何者だと思いましたが、これは嬉しいサプライズ。そうだよtriではどんな形でもいいから02キャラを普通に絡ませてくれたら凄く良かったんだよ、そもそも(略)
 そーいやタケル(とヤマト)って島根県にバアちゃんいたし、ウォーゲームでヤマトが「なんでも……ないけん」とか言ってたなぁと思い出しました。しかし鳥取の方言は全くわからん、勉強せねば。メイメイも一回自分で書いてみたいなと思いつつ方言がわからんので全く書けん! なぬ、お雑煮にぜんざい……鳥取だとそうなのかしら。
 てっきりいきなり家に場面が移ったもんで若い男女だしまさか元旦からギャアアアアとか考えましたが考えすぎでした、反省。