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ID.4684
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2016/12/23(金) 00:15
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幾千のアポカリプス 覚醒矛盾“12/少女と終局”
         
 何度見ても同じだった。丘岬アンナの腕は、確かに自分の胸に深々と突き刺さっている。
 覚えている限り、こういう状況に遭遇したのはこれが三度目だ。
 一度目は、キメラモンとの戦いの直後、冥府の管理者の腕がアリシア・アルトレインを貫いた時。二度目はつい昨夜のことで、丘岬アンナがパラサイモンに寄生された空雲朱鳥を貫いた時だ。どちらも、自ら進んで思い出したくなるような光景ではない。
 今回がそれらと違うのは、自分自身が腕に貫かれていることだ。過去の二回は、片や加害者、肩や傍観者だったのだから、いよいよ自分が刺される番になった、ということなのかもしれない。
「……?」
 一瞬、拓人はアンナがパラサイモンに洗脳されてこのような行動に及んだのではないかと思った。だが、アンナの身体に緑色の触手が繋がっている様子はない。それに拓人の顔を見つめる彼女の目は、洗脳された人間の目ではなかった。
 不思議な点はまだあった。
 穴が空いたはずの胸からは全く出血がない。彼女自身の腕が栓になっているのだとしても、痛みすら感じないのはおかしい。
「……嘘でしょ?」
 この声はアンナのものではない。パラサイモンの声は、微かに震えていた。
「今すぐそれを離しなさい!」
 その声からは冷静さが失われていた。「それ」とは何か? 彼女は何のことを言っているのか?
 胸元から身体中に暖かい感覚が広がる。驚いて自分の身体を見ると、既に新しい変化が始まっていた。アンナが変身する時のように、身体が輝く緑色の文字列に少しずつ覆われていく。
 とても懐かしい感覚だ。だが、この変化はもう自分自身には起きないと思っていた。
 そこで、パラサイモンの動揺の理由にようやく気づいた。輝きの発生源は自分の胸元……正確には、そこを貫く丘岬アンナの腕だ。彼女の持ち物で、この変化が起きる可能性のあるものは一つしかない。
 破損したデータを再生するプログラム……『デジメンタル・プログラム』。
 空雲朱鳥がパラサイモンから盗み出し、丘岬アンナに託したもの。
 それを、アンナは拓人に対して使用したのだ。
「あなたたちに賭けるわ」
「アンナ……」
 身体が引っ張られたような気がした。アンナではなく、内側……右肩から、身体全体を引っ張られているような。0と1の構成情報が全身を覆っていく。身体が分解し、緑色の粒子へと変わる。ただし、右腕だけは変わらない。
 胸の中で、アンナの腕が何かを握り潰す音が聞こえた。

「――やっとかよ、遅いぞ」
 彼の存在を近くに感じて、拓人は呟いた。懐かしい声が聞こえてくる。
「ッハ」
 拓人は目を瞑り、肉体の主導権を相棒に引き渡した。



●●12/少女と終局●●



 拓人の身体が書き換えられていく。
 金色の翼、金色の腕輪、胸当て。赤い髪留めに、長い鼻筋が真っ直ぐに伸びる獣の顔。アヌビス神をモチーフとした二足歩行の蒼きジャッカル。
 冥府の管理者・アヌビモンが、一年ぶりにリアルモーメントへ降臨した。
 彼の姿を確認すると同時に、パラサイモンは触手で繋がったタイラントカブテリモンを通じ、滞空するブレイドクワガーモンたちに指示を出した。
 アヌビモンと丘岬アンナを襲い、彼らを殺せ。
 まだアヌビモンを纏う緑色の帯が空中で消えないうちに、彼らはその指示に忠実に従った。
「!」
 アヌビモンと丘岬アンナの居た場所は、一瞬でブレイドクワガーモンの群れに呑み込まれた。いくつもの銀色の甲が飛び交い、その奥からデジタル・モンスターが消滅する時の、あのガラスが砕けたような音が聞こえる。いくつも……いくつも?
 パラサイモンは異常を察知して群れを退かせたものの、この判断は些か遅かった。先程まで群れがいた場所には今、高さ数メートルの、オレンジ色の四角錐がそびえ立っている。それは半透明で、内側には掌を開いたままこちらを見つめる無傷のアヌビモンとアンナがいた。
 四角錐・ピラミッドパワーの表面には、ついさっきまでブレイドクワガーモンだったと思われるデータの屑がこびりついていたが、それもやがて蒸発した。
「失策だったな」
 蟲の群れは意思を持たず、王の指示に機械的に従う。それはつまり、パラサイモンの判断ミスが、集団全体の損害に繋がるということだ。これは彼女が作り出した巨大な軍隊にとっては些細なデメリットだったはずだ。しかし、目の前に現れたこのデジタル・モンスターは、この計算を狂わせつつあった。



 アンナは地面に膝をつけたまま、アヌビモンの一連の動きを呆然と眺めていた。
 冥府の管理者の姿を見たのは初めてだが、信じられない力だ。これが拓人に憑依して顕現した、ダークエリアの管理者か。
「アンナ」
 その冥府の管理者が自分に向かって口を開き、アンナは思わず飛び上がりそうになった。そもそも彼からしてみれば、自分もまたイレギュラーであり、排除の対象にカウントされていても不思議ではない。
 だが、アヌビモンから告げられたのは逆のことだった。
「拓人を護ってくれたこと、礼を言う」
 アヌビモンはアンナを囲む四角錐を構成する八本の熱線を解除した。そしてアンナの顔をちらりと見てから瓦礫だらけの地面を蹴り、デジタル・モンスターの並ぶ敵陣へと突っ込んでいった。



 アヌビモンは、彼の動きに反応し武器を向けるマシーン型デジタル・モンスターたちを見ても走るスピードを緩めなかった。かなり損害を受けたとはいえ、まだパラサイモンに寄生されたデジタル・モンスターは数十体存在し、それ以上の数のブレイドクワガーモンも刃を彼に向けて滞空している。
 アヌビモンの対抗策はシンプルだった。
「身体が鈍っているからな」
 右手の指を動かす。すると、アヌビモンの足元から巨大なシルエットが現れた。鰐の如き巨大な顎と、ウィルスを纏った鋭い牙を持つ地獄の魔獣・アメミットだ。魔獣はすぐさま巨大化し、アヌビモンを遥かに超える大きさになると、彼を追い抜いて機械型デジタル・モンスターたちに襲い掛かった。
「準備運動させてもらうぞ」
 アメミットはマシンガンを発射しようと両腕を構えたタンクモンに頭から噛みつき、彼を瞬時にデータの屑に変えると、その脇に並んだデジタル・モンスターたちにも襲い掛かり、消滅させた。この魔獣の攻撃を回避する者もいたが、彼らにはアヌビモンの拳と蹴りが待っていた。
 この鰐の魔獣の操作方法は、自律サーキットによって周囲の敵を手当たり次第襲わせるやり方と、アヌビモンの神経系に接続することで手動でコントロールするやり方の二種類があるが、彼は最初から神経系に接続し、手動で操作する方法を選んでいた。このやり方ではアメミットの力を完全に解放できないが、それでも成熟期クラスの個体に対しては十分過ぎる力がある。加えて、一年以上休眠していた状態からいきなり力を完全開放するのはリスクが高いという判断もあった。
「喰らえ」
 地上にいたメタルエンパイアのデジタル・モンスターは僅か数十秒で総崩れとなった。アヌビモンは更に、刃を並べて空中から急降下するブレイドクワガーモンの群れにもアメミットを向ける。アメミットの牙のウィルスは硬質の刃さえ無力化し、蟲の大軍を呑み込んだ。
 アヌビモンは背後の音でのみこの結果を判断し、後ろを見なかった。彼は再び跳躍し、頭部の大砲を慌てて向けようとしていたタンクモンの頭部を踏みつけて砲身を破壊すると、そのまま正面にそびえ立つ巨大な甲虫へと飛びかかった。
 狙いは、兜のすぐ下に隠れている頭。アヌビモンは左手を引き、拳を握りしめた。
 タイラントカブテリモンは地面が揺れるほどの唸り声を上げてこれに反応した。腕を振るい、アヌビモンを弾き飛ばす。アヌビモンは空中でくるっと一回転し、片膝をついて地上に着地した。
 そして上を向いて微かに笑った。
 蟲の王は異常を察知し、その巨体を反転させた。ブレイドクワガーモンの群れを始末したアメミットがそこにいた。鰐の魔獣は更に巨大化し、タイラントカブテリモンの兜を一口で呑み込もうと顎を開く。
「!」
 紫色の兜が輝いたのを見て、アヌビモンは咄嗟の判断で魔獣との神経接続を解除する。次の瞬間、兜に生えた巨大な二本の角の間に光が収束し、そこから極太のエネルギー波が放たれた。それはアメミットの喉を突き破り、その背後に建っている施設の波のような形をした屋根を爆破した。
 タイラントカブテリモンの奥で建物が崩落する音を聞きながら、アヌビモンは思った。あれは昆虫型の究極体・ヘラクルカブテリモンの必殺技であるギガブラスターだ。同じ種族・成長段階であるタイラントカブテリモンがそれを使えるのは不思議ではない。だが、この威力は……。
 アヌビモンは頭部を破壊されたアメミットが消えていくのを感じた。もう一度この魔獣を召喚することもできるが、それには危険が伴う。彼は一年前のキメラモンとの戦闘で、アメミットの使役が自らの敗因に繋がったことを忘れてはいなかった。
 次の手だ。タイラントカブテリモンがこちらに向き直る直前に、アヌビモンは技を発動した。
 タイラントカブテリモンの頭上を起点に、彼を囲むように四本の熱線が地上へと伸びていく。アンナや自分を守るために使ったピラミッドパワーは対象を四角錐で包囲し、あらゆる物質の通過を許さない。これはバリアとしての効果もあるが、敵を閉じ込め、圧縮して押し潰すこともできる。メガシードラモンに対しては申し分なく上手くいった使い方だ。
 だが、パラサイモンもまた、タイラントカブテリモンに次の行動を指示していた。
「破壊しなさい!」
 タイラントカブテリモンの腹部にあるオレンジ色のエネルギー・コアが輝き、紫色の甲殻が赤く変色する。やがて凄まじい爆発音とともに、タイラントカブテリモンの全身から熱が放たれた。それはあとコンマ数秒で完全に四角錐を成立させるはずだった熱線を無力化し、更に強烈な熱風を発生させてアヌビモンを吹き飛ばした。
「うぉッ……!」
 タイラントカブテリモンを中心に、周囲の瓦礫が放射状に飛び散る。更に付近の芝生や樹木も燃え上がり、建造物のガラス窓が一気に割れた。
 確かにピラミッドパワーは完成さえすれば突破できない。だがタイラントカブテリモンはこれまでアヌビモンが戦ったどのデジタル・モンスターよりも巨大であり、その分四角錐の完成にも時間を要する。僅か一秒程度の差だが、その間にパラサイモンは次の手を打ったのだ。
蟲の邪光シャインオブビーを浴びて、まだ生きていることは褒めてあげましょう」
 アヌビモンは腕を地面に突き、身体を起こす。そして吐血した。地面に激突した衝撃と、身体に激突したいくつもの瓦礫のせいで、身体の外側も内側も激しく傷んだ。彼は頭を降り、激痛のする足を動かして立ち上がった。
「デジメンタル・プログラムを取り込んだ時は、なんてことしてくれたのと思ったけど」
 タイラントカブテリモンがやや前傾姿勢になっている。アヌビモンが彼を見ると、その背中の上に立っている少女のシルエットが変化を始めていた。
 今や樹有香の身体に頭はついていなかった。やがて首の根元が膨れ上がると、そこから巨大な一つ目が現れた。更に既に彼女の背中から生えていた八本の脚が蠢き、樹有香の身体が裂けていく。樹有香の身体は消滅し、そこから脱皮するかのように、紫色の寄生型デジタル・モンスターが姿を現した。顔に当たる部分にあるのは単眼と、その下から無数に生えた緑色の触手。これがパラサイモンの本体か。
「かえって幸運だったわ。あなたを捌いてデジメンタル・プログラムを回収すれば、クライアントの邪魔者も消すことができるもの」
「貴様の顧客は、メタリフェクワガーモンではなかったのか?」
「よしてよ、あんな小物」
 パラサイモンの声には不快感が入り混じっていた。
「クライアントは私に、リアルモーメントにおけるデジタル・モンスターの個体数の増加を依頼していたわ。あなたの存在には心底迷惑してたみたいよ」
「こちらも迷惑しているぞ。貴様のおかげでダークエリアからこの世界に不正に顕現するデジタル・モンスターは増え続け、挙げ句にこの戦乱だ」
「しょうがないわ。お馬鹿さんたちが戦争したがってただけなんだから」
 アヌビモンは彼女を睨んだ。
「貴様の顧客とは何者だ?」
「守秘義務があるのに言うわけないでしょ?」
 タイラントカブテリモンがゆっくりと動く。アヌビモンは再びピラミッドパワーを発動しようとしたが、眼下で何が起きているのか感知するのが遅れた。タイラントカブテリモンの腰から二本の触手が伸び、足元からアヌビモンを薙ぎ払う。パラサイモンよりも遥かに硬質な触手の先にはスパイクのようなものがついた甲殻があり、アヌビモンの脳天を揺さぶった。
 地面に再び激突し、頭を打つ。口の中に鉄の味が充満する。
 全身の激痛で声も出ない。
「大体、なんであなたは人間のことを守ろうとするの? デジタルワールドの危機なのに、こんなにグロテスクで数ばっかり多い生き物にリアルモーメントを独占させるなんて愚か過ぎるわ。冥府の管理者を気取るなら、しっかりこいつらの命も管理しなさいよ」
 アヌビモンは頭上で、タイラントカブテリモンのコアが再び輝き始めたのを感じた。
 もう一度あの技を受けたら終わりだ。だが、対抗手段はない。
 ただ、彼女の質問に対する答えはあった。
「冥府の管理者は」
 彼はほとんど無意識に、よろめきながら立ち上がった。
「生きている者の管理はしない」
 霞む視界の中で、目の前にそびえる紫色の甲殻が激しく発光した。
「それなら、私が引導を渡してあげる。消えなさい」
 蟲の邪光が炸裂する。周囲のあらゆるものを破壊し、燃え上がらせ、超高温の突風がアヌビモンに向かう。アヌビモンは目を閉じた。
 そして、瞼がその役目を為さないほどの激しい金色の光が、目の前で輝いたことを感じた。
「スターライトエクスプロージョン!」
 大きな羽が動く音。金色の粒子が、アヌビモンとタイラントカブテリモンの間に降り注ぐ。粒子は熱風と激突すると同時に一斉に弾け、ステンドグラスのような七色の光を放つ半透明の壁となった。
 ホウオウモンがアヌビモンのすぐ真上にいた。タイラントカブテリモンの放った光はステンドグラスを通過して二体を照らすが、彼らに熱や爆風が伝わることはない。
 パラサイモンが驚いてホウオウモンを見たが、ホウオウモンはパラサイモンを見ていなかった。
 ホウオウモンはアヌビモンを見つめている。
「さぁ」
 アヌビモンは意識を掴み、激痛を堪えて身体を立て、地面を蹴った。
 金色の粒子とステンドグラスの壁はまだそこにあったが、蟲の邪光は既に消えていた。アヌビモンの身体はそこに飛び込み、何の苦もなく通過する。
 スターライトエクスプロージョンはアヌビモンの身体を傷つけなかった。
 アヌビモンは金色の粒子を抜けると、そのままタイラントカブテリモンの兜まで飛び上がった。ピラミッドパワーもアメミットも通用しないならば、最後はこれしかない。
 拳を握り締め、タイラントカブテリモンの上側の角を全力で殴りつける。巨大な甲殻がぐらりと揺れた。
 兜に生えた二本の角の間に光が収束する。タイラントカブテリモンは咆哮しながらギガブラスターの発射体制に入っていたが、アヌビモンはそれに構わず、空中で一回転する。そして真上から、兜と胴体の甲殻の間にある僅かな隙間に踵落しを浴びせた。
「おぉぉぉぉォ!」
 柔い。
 感触が正しければ当たりだった。バランスの悪い体躯のためか、それともパラサイモンの制御が行き届かなったのか、タイラントカブテリモンの上半身は自由落下を遥かに超える勢いで地面に激突した。
 同時にギガブラスターが暴発し、上側の角が大きな音を立てて根元から吹き飛び、空中を舞った。
 巨大な爆発音に加えて、粉塵が舞う。これで終わりか?
 黒煙の中に輝く二つの赤い光が、そうではないことを示している。
 煙の中から伸びてきた腕の先に付いた刃を、地上に降りたアヌビモンは間一髪で回避した。
「動きなさい!」
 パラサイモンの怒声とともに、タイラントカブテリモンは腹部にある眼を発光させ、再び起き上がる。アヌビモンが次の攻撃に備え構えようとすると、彼とタイラントカブテリモンの周囲に再び金色の粒子が舞い始めた。
「パラサイモン、私たちを覚えてる?」
「っ!」
 金色の巨鳥が飛来する。今度は至近距離で。
 彼女は二本の足についた鍵爪で頭部と腕を固定し、破壊された兜を何度も嘴で突いた。外殻が頑丈な分、破損した部分からの衝撃には弱いらしい。兜の罅が広がり、紫色の破片が散らばっていく。
 タイラントカブテリモンは暴風雨のような唸りを上げて激しく頭部を動かし、まだ折られていない短い角と両腕でホウオウモンの身体を切りつけた。金色の粒子が次々に弾けて七色の光が放たれる。同時に、ホウオウモンの身体から羽根と血が飛び散る。
 それでも、彼女は両足を甲虫から離さなかった。
 この怪物は、今ここで葬る。
 腹部に角を突きたてられた直後、鍵爪でタイラントカブテリモンを掴んだまま、ホウオウモンは翼を広げて一気に飛翔した。紫色の巨体が、ゆっくりと宙に舞う。
「ぁぁあああああっ!」
 地上数百メートルの高さに到達した瞬間、彼女は脚をスイングさせ、タイラントカブテリモンを全力で放り投げた。腹部に突き刺さった角が抜け、傷口が開く。
「……!」
 口内に血の味が充満する。痛みが身体を支配し、翼が重くなる。風が捉えられない。
 ホウオウモンは全身から力が抜けていくのを感じた。

「動け! 動きなさい! この虫けら!」
 コントロールが効かない。
 空中で、パラサイモンはタイラントカブテリモンに翅を開き、空中でバランスをとるように指示する。こんな苦し紛れの戦法に何の意味がある。もう一度その身体を刺し抜いて、今度こそホウオウモンを葬ってやる。
 間もなく、タイラントカブテリモンの背中から生えた翅が振動を開始した。
 だが、コントロールを取り戻すには、甲虫の身体はあまりにも巨大で、場所も悪過ぎた。
 パラサイモンは、正面に突然現れた、巨大なコンクリート壁に目を見開いた。
 回避できない。蟲の王は旋回に失敗し、その巨躯を超高層ビルに激突させる。
 パラサイモンが感じたのは、タイラントカブテリモンの背中と超高層ビルの鉄骨に自らの身体が挟まれ、押し潰される感触と、明かりの点滅する高層階が折れ、自分たちに激突する衝撃だった。
「ひぎっ」
 建物が崩壊する地響きと、二つの肉体のデータが消滅する音の後には、何も残らなかった。



 ビルの付近は瓦礫の山と化していた。周囲に人の気配はなく、ところどころ黒煙が上がっているのみだ。アヌビモンはその中に立ち、闇の中でひたすら瓦礫を除けていた。最後に見た光景が間違っていなければ、彼女はここにいる。
 コンクリート壁を動かすと、埃に塗れ、気を失っている少女の顔が見えた。
「アンナ」
 声を何度も掛けながら、彼女の身体を覆う瓦礫をひとつずつ退かしていく。最後の瓦礫を動かすと、もう一度声を掛けた。
「丘岬アンナ」
 やがて、彼女の瞼がゆっくりと開いた。
「終わったの?」
 アヌビモンは小さく頷いてから、彼女に右手を伸ばした。
「どうやら、俺たちはまだ生きているらしい」
 丘岬アンナは口元を緩め、アヌビモンの手を掴んだ。

ID.4685
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2016/12/23(金) 00:16


幾千のアポカリプス 覚醒矛盾“一年後/アンナと拓人”
「それじゃあ、パラサイモンは失敗したってことかい?」
「大量の、デジタル・モンスターを失い、勝手に、死亡し、たのだから、失敗と表、現するしかない、だろう」
「はぁ、やれやれ。やはり大事な仕事はああいう胡散臭い下請けにやらせることじゃないね。おかげでこっちは大損だよ。で、彼女を殺したのは誰なんだい?」
「ホウオウ、モンだがそ、れもまた、行方不明、だ」
「……へぇ」
 葡萄酒色のローブと白いマントで体を覆う人型のデジタル・モンスターは、鍛え上げられた肉体と白い翼、白い鷹を模したバイザーで身を包む戦士型デジタル・モンスターと、中学校の図書室で情報を交換していた。
 まだあの戦いから数時間しか経っていない。間もなく夜は空けるが、そろそろ戦闘自体が虚界修正法則によって「なかったこと」にされるだろう。凄まじい破壊の跡も、戦いで命を落としたデジタル・モンスターも、そしておそらくはビルの崩落に巻き込まれたあのホウオウモンも。
 だが、タイラントカブテリモンと戦ったもう一体のデジタル・モンスターはおそらく死んでいないし、消えてもいない。ローブとマントで身を包む人型のデジタル・モンスター――ワイズモンは、彼にそのことを報告しなかった。
「他には何もないのかな? 例えばほら、僕に報告してないこととか」
「無い」
 即座に否定する。白い戦士型のデジタル・モンスターはバイザーの奥から試すような目で彼を見つめたが、すぐに口元を緩めた。
「そうか、まぁ分かったよ。しかし困ったな、計画に大きな遅れが出てしまう……仕方ない、別の方法を考えるとしよう。君が見た裏次元の大穴は何かしら利用価値がありそうだしね」
「そうす、ると、良い」
「じゃあ、また何かあったらすぐ伝えてね。君たちのことは信用してるから」
 そう言って、白い戦士は消えていく。暗闇に残るようなあの笑みを残して。
「彼、気づいてたんじゃない?」
 それとほぼ同時に、ワイズモンの隣に三森あかねが現れた。彼女は白い戦士がついさっきまでいた虚空を見つめている。
「だが、彼に、は何もで、きない。彼に、は情報が、必要だ」
「えぇ、彼の知らない情報がね」
 青い縁眼鏡の位置を人差し指で調整しながら、彼女は同意する。
 今回の騒動ではっきりした。最後の破綻者は砂原拓人だ。
 この情報は、逆転の一手になり得る。



「久しぶりね」
「……そうだな」
 虚界修正法則が適用され、夏休みが終わり、秋と冬と春が過ぎて、また夏になった。
 拓人は廃校になった中学の近くにあるファミリーレストランのボックス席で、丘岬アンナ――今でも彼女のことをそう呼んでいる――と向かい合っていた。確か一年前に彼女とここに来た時には、まともに会話もしなかった。
「高校はどう?」
「まぁ、ぼちぼち」
「友達は?」
「い……いるさ」
 母親みたいなことを聞いてくるな、こいつは。
 砂原拓人は受験勉強の末、無事に都内の高校に入学し、中学校も卒業した。同時に、キメラモンとの戦いで虚界修正法則の影響を受けた中学校は廃校となった。
 あの戦いの後、拓人とアヌビモンはデジタル・モンスターと戦闘することはなかった。メタルエンパイアとアンノウンが崩壊し、《媒体売り》パラサイモンが消え去ったことで、リアルモーメントに顕現するデジタル・モンスターが激減したことが主な理由だ。
 だが、もうひとつ大きな理由がある。

「怪我、また増えたな」
「……この前、少しヘマしてね」
 丘岬アンナ――シルフィーモンは、「自分は学校に通っていないし、メタルエンパイアでの経験もある」と拓人に話し、彼を受験勉強に専念させた。そして空雲朱鳥もガイオウモンも、シールズドラモンもリボルモンもいないまま、たったひとりで破綻者との戦いを続けていた。
 拓人がアンナの顔を見るのは、高校入学後初めてのことだった。
「拓人」
 アンナはメロンソーダのストローから口を離すと、話を切り出した。
「アヌビモンはもう大丈夫?」
「あれから一年だぞ。とっくに全快してるし、むしろ腕が鈍らないか心配だよ」
「そう。それなら、もう安心ね」
 アンナは飲み物を脇に置き、両手を前に組んだ。
「私、デジタルワールドに戻ろうと思うの」
 そして、どこか寂しそうに微笑む。
「アンナ……?」
「丘岬アンナの役目は終わった」
 言葉の意味はすぐに分かった。丘岬アンナの役目。それは「選ばれし子供」だ。
 シルフィーモンはデジタルワールドのデバッグという彼女の役目が終わった後、死亡した肉体を借りて活動していたに過ぎない。
「この一年で、丘岬アンナがこの世界にもういないことを実感したわ」
 彼女は僅かに目を伏せ、組んだ指を眺めながら、この数か月で見てきたものを語り始めた。
 丘岬アンナの通っていた学校はもう存在しない。市役所に行っても、丘岬アンナの住民票は残っていない。当然、出生届も死亡届もない。決め手になったのは、微かな記憶を頼りに「丘岬」という表札のある家へ向かった時だった。そこには四十代くらいの幸せそうな夫婦と、丘岬アンナと同じくらいの年齢の少女が住んでいた。声はかけられなかった。
「肉体は残っていても、もう丘岬アンナは存在しない」
 薄々感づいてたけどね、と彼女は笑った。
「一年前までは特に考えてもいなかったけど、やっと実感したわ。私は矛盾した存在。あなたや、朱鳥さんたちが私のことを『アンナ』と呼んでくれてたことが、唯一の延命策だった」
「お前……」
「だから、これから先はあなたの番」
「?」
 拓人は目を瞬いたが、アンナは笑みを浮かべたままだった。
「勘違いしないで、元居た場所に戻るだけ。あなたの居場所はここでしょ?」
「……あぁ」
 そういうことか。
「だから、この役目はあなたに任せるわ」
 アンナの表情につられて、拓人の口元も緩んだ。



「《三匹の怪物》の噂話は知ってる?」
「それ、俺の中学にあった噂だろ?」
 それから拓人は、アンナと仕事の「引き継ぎ作業」を行った。
 彼女がこの一年間で手に入れた情報の中でも、未だに出どころが分からない、最後のピース。
 それは、かつて拓人が通っていた中学校で広まっていた噂だった。
「えぇ。あなたの学校にいたデジタル・モンスターについての噂」
「……よく調べたな」
「時間がかかったわ」
 当時の記憶を再生しながら、噂と事実を重ね合わせていく。
「けど、その噂はもう過去のものだろ。あいこのメガシードラモンに、アリスのキメラモン、それにアヌビモン。最初の二体はもうこの世界にはいないし、俺は中学を卒業し……」
 言葉が途切れた。「もういない」だって?
「気づいた?」
 アンナの口調はいつもの調子に戻っていた。
「この噂はおかしいわ」
「……」
「あなたの言う通り、メガシードラモンもキメラモンももうこの世界にはいない。虚界修正法則で彼らは存在ごと抹消されたから。にも拘らず、噂はこの世界から消えず、《二匹の怪物》でも《一匹の怪物》でもなく、《三匹の怪物》のまま残ってる」
 これがデジタル・モンスターと一切関係のない生徒が、たまたま彼らと干渉したことで生まれた噂なら、今の状態にはなり得ない。無論、本当にデジタル・モンスターと無関係な場所でこの噂が生まれた可能性はあるが……「死んだ生徒が取り憑かれて生き返る」だの「生き返った人間が夜な夜な人間を殺してまわる」だのという噂が、デジタル・モンスターと関係がないなど、希望的観測にも程がある。
 アンナは言葉を続ける。
「この噂を流せたのは、当時あの中学に在学していた破綻者だけよ。沖あいことアリシア・アルトレイン以外だとしたら、それは誰? まぁ、あなたもその枠には入るけど……あなたがそんな噂を流す理由もないし」
 該当する人物はいない。
 もちろん、それには「拓人の知る限り」という注釈が付く。
「これが《三匹の怪物》の噂だってことは、実際にはあの中学に、少なくとも四匹の怪物が居たってことよ」
「なるほどな」
「大丈夫?」
「あぁ」
 拓人は頷くと、アンナと同時に席を立った。アンナの差し出した右手に、拓人も手を重ね合わせる。
 今度は、人間の形をした右手だ。
「この先の謎解きは、あなたの力で」
「あぁ」
「今まで、ありがとう」
 アンナは拓人の首に手を回して抱きつくと、肩を軽く二、三回叩いて離れた。それから左手に握った伝票を拓人に見せる。
「ところで、支払いは拓人がしてくれるのよね?」
「いや、別々だろ」



 既に日が暮れかけている。
 拓人はアンナと別れた帰り道、話を聞きながら書き取ったメモを眺めながら、隣に現れた半透明の影に話しかけていた。
「もう卒業しちまったのに、あと一体か。どうやって探すかな」
「デジタル・モンスターに取り憑かれた人間は殺人を犯す。それを今まで感知できなかった以上、その人間は何らかの方法で殺人を隠すか、別の方法で衝動を処理しているのだろう」
「アンナめ、厄介な宿題を残しやがって」
「俺たちが今まで気づかなかっただけだろう」
 拓人が立ち止まり、アヌビモンもそれに合わせて動きを止める。
「戦えるのか、拓人?」
「どうかな」
「汚れ仕事は俺の役目か」
 アヌビモンの皮肉に対して、拓人は苦笑した。
「さて、いつ始める?」



 穏やかな風の流れる草原の中心で、シルフィーモンは目を覚ました。
 ここは何処なのか。少なくともリアルモーメントではない。デジタルワールドにも見えるが、今まで来たことのない場所だ。そもそも、自分はいつから眠っていたのか?
 たしか、拓人と別れた後、私は丘岬アンナの身体に残っている選ばれし子供プログラムを再起動しようとして……。
「すまないね、急に呼び出して」
 聞き慣れない、若い男性の声がして、シルフィーモンは慌てて立ち上がり振り返る。
 そこにいたのは、ところどころに金色の装飾がされている黒い鎧と青いマントを纏った、大柄な騎士だった。
「安心して、ボクはキミの敵じゃない」
「あなたは何者?」
 シルフィーモンは警戒を解かない。
「何者なのかを説明するのは難しいな。キミたちからすれば、『神』って表現が一番適切なんだろうけど……何だか偉そうだしな」
「神を名乗ってるデジタル・モンスターには、昔何度か会ったことがあるけど」
 少なくとも、その中に彼はいなかった。
「まぁ、佐山(さやま)勇(ゆう)治(じ)って呼んでくれると嬉しいな。それがボクの名前だから」
「私に何の用?」
「礼が言いたくてね。砂原拓人の命を救ってくれてありがとう」
 まさかここでその名前を聞くとは思わなかった。騎士は言葉を続ける。
「彼が死ぬと、ボクも存在できなくなる。キミのお陰でボクも助かった」
 騎士は穏やかな口調のままそう言った。シルフィーモンは戦闘態勢のまま話を聞き続けていたが、彼に敵対心を感じることはなく、やがて構えを解いた。
「その上で、キミをスカウトしたい」
「私を?」
「君に助けられたとはいえ、ボクの仕事はまだ終わってなくてね。この先もまだ忙しくなる。そこで、ボクを補助して、この世界を見守る役目をキミに頼みたい」
「世界を見守る……」
「大変だけど、一度デジタルワールドを救ったキミになら務まる仕事だと思う」
 黒い騎士――佐山は、シルフィーモンを見つめたまま、片手を上げて一歩下がった。
 その先を見ることを促すように。
「まぁ、ボクから説明するだけじゃ良くないだろうから」
 そこには。
「実はキミのパートナーには、もう承諾を得ているんだ」
 学校の制服らしき半袖シャツに紺色のニットベスト、それに緑のプリーツスカートを着た、ポニーテールの少女が立っている。
 私……いや、もう私じゃない。私にとって一番大事な相手だ。
 視界が、目に溜まった水滴で曇った。
「シルフィーモン!」
 丘岬アンナは、微笑みながらシルフィーモンに抱きついた。



 また、夜空に花火が上がる。
 一年前、ここでは大きな戦いが起きた。跡が消えようが、歴史が改変されようが、その事実は生存者たちの記憶に刻まれている。
 だが、あの戦いは始まりではなく、また終わりでもない。
 これは単なる小休止だ。息を潜め、来るべき時を待つ。
 いずれ、物語は再び動き出す。

 短く黒髪を切りそろえた少年は、海浜公園で冥府の管理者とともに花火を見つめていた。
 帆の形をしたホテルの一室では、半透明の白い戦士が彼の取り憑く赤い髪の少女と会話し、笑いを浮かべていた。
 廃校となった中学校の図書室では、白いワンピースを着た眼鏡の少女が、彼女とよく似た姿の死体を前に、荒い息をついていた。
 そして、膨大なデータが行き交う白い電子の空間では、金色の鳳凰が、その背に乗った少女と視線を合わせた。
 それから鳳凰は翼を広げ、少女とともに白い空間の彼方へと去っていった。











































[了]

ID.4686
 
■投稿者:Ryuto  HOME MAIL
■投稿日:2016/12/23(金) 00:24


あとがき/アンナについて
 本作のあとがきらしいあとがきは、既にDIGIコレ3で頒布した同人誌文庫版で書かせていただきましたので、今回はもう少し小説の内容に突っ込んだ話を。
 本作を書くにあたり、アポカリプス本編のヒロイン(あいこ、アリス、あかね、キリコ……)とどう差別化するか、は個人的に重大な問題だったりしました。本筋の間のお話である以上、本編のヒロインズとは違うキャラにしなければならない! しかもこのお話の後にも拓人の物語は続くわけで、そこには一切出て来ない理由付けもしなくてはならない! ……ということで考えたのが、彼女を立て続けに二人失ってメンタルの弱りまくった拓人を荒療治する、拓人とは簡単には打ち解けない本作のヒロインズです。
 さて、その中のひとりであり、本作で拓人と最も関わりを持つことになる少女・丘岬アンナですが。実は当初、今回の最終話で丘岬アンナは戦死する予定でした。
 当然、その方が本編に彼女が居ない辻褄も合いやすいからなのですが……角煮さんと打ち合わせているうちに、この物語の一年後にも何らかのイベントを発生させないと、本編のタイムラインと整合性が取れなくなることが発覚(この辺の説明はめんどくさいので省きます)。そして考えた末に生まれたのが本作のエピローグというわけです。
 今更ながら振り返ると、同人誌文庫版あとがきで角煮さんが書かれていた通り、この小説自体が「一度は止まってしまった作品」の生まれ変わりなので、物語内でも(書き手の意図すら超えて)生存したことで、なんと二度に渡り彼女は死を免れていることになります。悪運が強いというか、いかにもこの小説の主人公っぽいというか。「現界到達」本編の頃も、あるいはその後も、彼女たちはどこかで冒険しているのかなぁ。そうだといいな。

 さて、この壮大な「幾千のアポカリプス」サーガですが、いよいよ大団円が近づいています。
 既に宣伝されています通り、原作者である中村角煮さんの(ひとまずの)最終作として、コミックマーケット91にて「デジモンアポカリプス」が頒布されます。全84ページ、これまでのアポカリプス7年間を総まとめし、新企画も盛り込んだ総決算となる作品です。12月31日(土)東H08a「East*Cycle」にて頒布されますので、皆様ぜひご覧になってみてください。

 さて、僕の方もまた次の作品を頑張りたいと思います。
 ここまでお読みくださった皆さま、本当にありがとうございました!
 いつになるかは分かりませんが、また次作でお会いしましょう。






■STAFF■
原作:本郷あきよし「デジタルモンスター」より
著:Ryuto
原案・監修:中村角煮

■同人誌版STAFF■
同人誌文庫版カバーイラスト:オデン
同人誌文庫版挿絵・扉絵:ENNE

BOOTH







■buck number■
“0/少女と神様” >>4574
“1/少女と少年” >>4575
“2/少女と握手” >>4621
“3/少女と取引” >>4626
“4/少女と機神帝国” >>4637
“5/少女とと鎧皇” >>4645
“6/少女と媒体売り” >>4656
“7/少女と皮袋” >>4661
“8/少女の真実” >>4668
“9/少女と死” >>4674
“10/少女と再起” >>4681
“11/少女詩篇” >>4683
“12/少女と終局” >>4684
“一年後/アンナと拓人” >>4685

ID.4719
 
■投稿者:夏P(ナッピー)  MAIL
■投稿日:2017/05/11(木) 00:56


時の流れは不思議だね
 遅くなりましたが、最後に感想を書かせて頂きました4話以降を一気に読ませて頂きました夏P(ナッピー)です。最近忘れられがちというか俺自身も忘れてる気がするですが、(ナッピー)も含めて一つの名前です。

 後書きに書かれてる通り、俺もアンナ(仮)は死ぬもんだと思ってましたので、生き残るとは少々意外な……しかしそのおかげで、アポカリプスの中では幕間というか外伝ながら読後感が爽やかなものになったんじゃないかなという安心感もありました。余談ながら、こーいうキャラクター作成秘話、製作経緯みたいなのを僕は死ぬほど好きなのでもっとガンガン読みたいまである。最終話にあの野郎が出てきて不思議な安心感と同時に「野郎ォ!」とも思ったような。シルフィーモン自体はあの野郎とは特に関係なかったか……俺はてっきり(略)
 ぎゃっふん! 美少女がほとんど首なしニックに!!
 ムゲンドラモン様は最初の内こそ大物感あったのに、喋る毎に小物感増していってええぞと思ったら最後はあんな目に! ガイオウモンがかっちょ良すぎた反動だというのか……キメラモンが前提としていたのでミレニアモン絡んでくるかなと思ったら本当に千年魔獣という単語が出てきて興奮してたらフェイクで終わってハァーーーーーー!!
 ちょうどそこでキャラクター相関図があったので非常にわかりやすく助かりました。いくらパラサイモンだからってどっかのふうせんばりに女の子の体をズッタズタにしていくなぁと戦慄にして驚愕、でも最初から「メタリフェクワガーモンがボスなのか、これは珍しい」と思ってたら、ハガレンのキンブリーばりにあっさり退場。操られてラブテリオンとして事実上のラスボスになれたとはいえあんまりだァ!!
 アポカリプス本編を読み返したくなるアヌビモンのカッコ良さに痺れましたが、ホウオウモンが最後まで頑張ってくれたのも個人的には好きです。それだけにアンナが死なずに終わったのは良かったかなーと思います。

 それでは。