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ID.4688
 
■投稿者:すすやん  MAIL
■投稿日:2017/01/01(日) 20:10
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デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】1/3
         
《はじめに…》
この小説はデジモンアドベンチャーtri.第6章の後日談となっています。多少ネタバレを含みますので、問題ない方はこのままお読みください。
またこの作品は作者の自己満足系タケル×芽心小説となっております。このCPが問題ない方はこのままお読みいただいて問題ありません。

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「タケリュ、もうすぐだよ!」

その声にタケルは喉に詰まりそうな血の塊を飲み込む。全速力で駆け上がってきたのだ。息は絶え、肩で呼吸をし、筋肉が悲鳴を挙げている。

『立ち止まって、られるか!』

キッと上を睨むと、道の先に光が見えた。タケルは再び走り出す。
そたどり着いた光の先にはのどかな丘陵地が広がっていた。あたりは背の低い草が茂り、花が咲き、その花に蝶が舞い降りる。

「オーッホッホッホ! やっと来たわね、タケル!」

声のする方向に顔を向けると、そこには四天王が1人、ミミが高らかに声を挙げて笑っている。何時もの様に薔薇の蕾を模した冠を被り、紅いショートジャケットと太股まである長いブーツを履き、深緑のマントが風になびいている。手には荊の様な鞭をにしている。

「現れたな、ミミ! 芽心を返せ!」
「オーッホッホッホ! ジョーダンはヨシナンテ! メイメイはこのアタシとネバーでエンドなフォーリンラブを過ごすのぉ〜。アンタみたいなムッツリベースケなスマーティストに渡してなるものですか!」
「なら力尽くで返して貰う!パタモン!」
「オッケー、タケリュ! パタモン、ワープ進化! セラフィモン!」

パタモンが光に包まれると、聖鎧を待とう10枚の翼を持つ大天使へと進化する。

「我が望む未来を掴み取れ! 天元超克 セラフィモン!」
「セブンヘブンズ!」

タケルの声と共にセラフィモンから7つの熱球がミミに向かって放たれる。ミミは胸のティファレトに両手をかざし、

「フォービドゥン・テンプテイション!」

粒子砲を放ち、熱球を相殺する。その衝撃で辺り一面を爆風と爆煙が包み込む。

「くっ!」

ミミが爆煙で目を細めると、その爆煙の中からセラフィモンが飛び出し、右腕から伸びたエクスキャリバーがミミの細首を狙う。
ミミはソーンウイップで間一髪聖剣を受け止める。

「フフン、なかなかやるじゃない!」

ミミは余裕綽々に答えるが、タケルはそれが強がりだと見抜いていた。

「トドメだ、セラフィモン!」

それを合図に空いていた左手に力を込めるセラフィモン。だが、その瞬間、一気にミミから距離を取り、タケルを庇った。
タケルが状況の飲み込めないでいると、ミミがいるところを中心に冷気を伴った爆風が起こる。

「そん…な…、あんた…アタシヲ…」

全身が凍傷になり、声が絶え絶えになったミミをガトリング銃が弾き飛ばす。

「お前はエックス!」

そこに居たのは、両肩レーザー砲とガトリング銃を載せた二足歩行の蒼き狼。四天王「デジモンKaiser」の食客のひとり、通称エックス。

「会いたかったぞ、タケル…」
「どうして、お前が俺に…?」

タケルの疑問に答える様にエックスはその狼のフルメイルを外す。そしてそこに現れたのは、タケルと同じ金髪と碧眼の少年。

「兄さん…!」

そこに居たのは、この旅の切欠となった死んだはずの兄、ヤマト。

「どうして…兄『メイィ〜』さんが…。兄さんはあ『メイィ〜』の時、死んだ…!」
「いろい『メイィ〜』ろ事情があった『メイィ〜』んだ、タケルよ。だが『なぁ〜、起きないやぁ〜』、お前の旅も『なぁ、メイィ〜』これで終わりだ…」
「どう『メイィイー!』言うことだよ、兄さん!」

問い掛けるタケルにヤマトはフッと笑いを浮かべ、

「全て『メイ! そろそろ起きないや!』



「ふわっ……」

メイちゃんの声で私は目を覚ます。頭を左に向けると、メイちゃんが耳をひょこひょこさせている。メガネを外しているので、はっきりとした表情はわからないが、動きからして嬉しそうだ。

「メイ、明けましておめでとう!」

今日は2007年1月1日。新年の朝だ。
私は体を起こし、メイちゃんを抱きかかえる。

「明けましておめでとう、メイちゃん! 今年もよろしくねっ!」
「だがん!」

私は眼鏡を探すため、手を伸ばすと、

「これでしょ? ハイ!」

突然、視界がはっきりした。

「あっ…、すみませ…」

私は言葉に詰まった。何故視界がはっきりしたのか。
それは眼鏡を掛けたから。では何故眼鏡が勝手に掛けられたのか。
それは誰かが掛けてくれたから。では誰が?
私はその人物と目を合わせた。その瞳は蒼く、くりっとした優しい目。

「明けましておめでとう、芽心さん。今年もよろしく!」

そこには高石タケルくん。私が今お付き合いしている人。そうだけど、でもどうして⁉

「うっきゃー‼」

私は新年早々、大声を挙げてしまったのだった。



「すみません、折角泊めていただいているのに…」
「んもう、そんなに恐縮しないで! 自分のお家だと思ってくつろいでいいからね」

タケルくんのお母様、奈津子さんは笑顔で返してくれた。

「大体タケル。芽心ちゃんをびっくりさせる様な事するんじゃないわよ! お母さん、びっくりするじゃない!」
「びっくりさせる様なって、ただ眼鏡を掛けてあげただけだよ…」
「やり方があるでしょ! てっきりタケルが芽心ちゃんに手を出したかと思ったわよ」

少し怒った顔をしながら、奈津子さんはパタモンからパックに包装された食材を受け取る。

「大丈夫、母さん大体あんな顔だから」

タケルくんが私の耳元で囁いた。どうやら私が萎縮してしまったと勘違いしているらしい。でも、そんな事言うと…、ああ! 奈津子さんが睨んでる!

「あの…すみません!」
「だから、芽心ちゃんが謝る必要ないわよ。そもそも2人とも受験控えているから、帰省せずに勉強するでしょ? 芽心ちゃんのご両親は鳥取に帰るから、なら年末はうちに泊まらない? って声掛けたのは私達だし、何よりタケルの勉強も見てもらうから迷惑なんて思ってないわよ。逆に昨日は大掃除も手伝って貰って大感謝!」

奈津子さんはそう言いながら、テキパキとおせち料理をお皿に盛り付けている。

「私もお手伝いしますッ!」
「ならそのお皿、テーブルに運んで!」
「ハイ!」
「メイもテゴするだがん」

私のその姿を見て、メイtちゃんも名乗りをあげる。でも、料理メイちゃんだとじゃまテゴになっちゃうで。

「メイクーモンはボクとテーブルのお皿とお箸を並べよぉー」
「わかりまちた、チェンぱい!」

そう言うと、2人は食器棚に移動する。
そのタイミングで呼び鈴が鳴った。

「タケル、暇でしょ? 出て?」

完全に手持ち無沙汰だったタケルくんを奈津子さんが顎で使う。タケルくんは気にした素ぶりは見せず、ハイハイ、とその指示に従った。

「ホントだ、望月がいる」

部屋に入るなり、開口一番ヤマトさんは声に出した。
左手には保温ジャー、その後ろのガブモンは大きな風呂敷を持っている。

「藪から棒だなー。一昨日言ったじゃん! てか、兄貴邪魔! 入口で止まらないで!」

ヤマトさんの後ろからタケルくんの声がする。

「ヤマト、明けましておめでとう」
「ああ、あけおめ」

奈津子さんの怒気を含んだ声にたじろぎながらも、ヤマトさんは新年の挨拶を交わす。

「あの人、今年も来なかったわね…」
「こんな日じゃないと、部下と飲みに行けないんだと…」

本音は多分違うだろうけどな、とヤマトさんは小さく呟いた。その答えに奈津子さんはなんでもない風を装っているが、やはり何処と無く寂しそうだ。

「さてと、じゃあ後は俺の雑煮だけか?」
「待ってました、お兄ちゃん!」
「うるせェ〜、タケルお前が餅焼け! 母さんと望月たちは座って待っててくれ」
「えっ、でも…」
「芽心ちゃん、言われた通りに座って待ってましょ! うちの料理長はうるさいから〜」

そう言って私の背中を押してくれる奈津子さん。そう進められてテーブルに座ると、メイちゃんたちも座って待っている。

「ヤマトのお雑煮は絶品だからねこ、楽しみにしておいてね」
「やった〜」
「俺ヤマトの下準備手伝ったけど、いい匂いがしてホント辛かったよぉ〜」

嬉しそうに言う奈津子さんにパタモンとガブモンはそれぞれの反応を見せる。そう言えば、他のお家のお雑煮なんて食べた事ないかも。

「メイちゃん、楽しみだなぁ〜」
「だがん!」

私達はただ待っている訳にもいかないので、テレビを見ながらおせち料理に箸を付ける。テレビではお笑い芸人さんが新年の笑い初めと称して、漫才をやっている。

「この伊達巻き、美味しいですね!」
「どうもありがとう! まあ、お店で買ってきたものだけどね。そもそも江戸時代の江戸の人たちもそんなに料理してなかったみたいよ。お惣菜屋さんが売りに来てくれたり、男の人は居酒屋で食べてたみたいだし…」
「そうなんですか⁉」
「おせちも黒豆、数の子、田作りが最低限あればよかったらしいし、そもそも三が日は竃を使わなかったみたい」
「ええっ! じゃあ、温かいご飯食べられないじゃないか!」
「なんで、そんなことするの?」

ガブモンとパタモンは箸を止めて、自分たちの疑問を奈津子さんにぶつける。奈津子さんは、待ってました、と言わんばかりのドヤ顔で、

「お正月の三が日は竃の神様に休んでもらう日だったそうなの。毎日使うから、新年だけでも休んで下さい、って感じだったんでしょうね。だから、おせち料理は日持ちする料理を揃えていたのよ」

なるほど、とガブモンは感慨深げに頷き、パタモンはよくわからなかったみたい。

「なら、早速コンロを使った俺は神様を扱き使うドエス野郎ってか?」

少しムスッとした表情でヤマトさんがお雑煮を載せたお盆を持ってきた。
「たくっ…」と小さく悪態をつきながらも、みんなの前に置いていく。

「うわっ! 美味しそう!ヤマト、彩りも綺麗じゃない!」
「もう、この香りを昨日の夜から嗅がされてたんだからな!」
「ホント、いい匂い!」
「…………?」
「…………メイィ…」

メイちゃんが何か言いたげだったのを私は小さく首を振り、お椀に手を伸ばす。
芳醇なカツオの香りが鼻をくすぐり、食欲を刺激する。私は2、3回息を吹きかけ、お椀の縁を下唇に当ててお汁をすする。複雑に絡み合う出汁のハーモニー。香りからしてカツオ節を使っている事はわかった。しかし、それ以外にもいくつかの食材から出汁の取っているのだろうが、その食材まではわからなかった。とりあえず、一言言えるのは、

「とーっても美味しいです、ヤマトさん!」

私の表情を見たヤマトさんはホッと息を撫で下ろした。メイちゃんも私の様子を確認してから、ズズッとお汁をすする。

「ぅまい! ぅまいがな!」
「当然だろ、ヤマトはバンドと料理にはうるさいからな! 不味い訳ないぜ!」
「なんか嫌味に聞こえるぞ、ガブモン…」
「ええなぁ〜、チェンぱいは毎日こんなぅまい料理食べられてぇ〜」
「でも、毎日こんなのだと、下ごしらえが大変だよ…」
「食費も馬鹿にならないしね…」
「正月くらい、張り切って贅沢してもバチは当たらないだろ?」

ヤマトさんはそう言うと、自分でもお雑煮をすする。そして満足気な表情を浮かべた。

「よーし、じゃあ僕らも食べようか、パタモン?」
「うん! 僕ね、この栗きんとん大好き!」

タケルくんの一声を切欠に新年最初の朝ごはんは本格的にスタートした。


スレッド記事表示 No.4688 デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】1/3すすやん2017/01/01(日) 20:10
       No.4689 RE:デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】2/3すすやん2017/01/02(月) 22:24
       No.4690 RE:デジモンアドベンチャーtri.二次小説 【2007年元日】3/3すすやん2017/01/03(火) 21:57
       No.4718 めざせ方言マスター夏P(ナッピー)2017/05/10(水) 23:42