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ID.5019
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:08
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*The End of Prayers*  第17話 @
         
◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆





 この黒い毒は、どこからやってきたのだろうか。


 どんなに強く在っても。どんなに弱く在っても。
 どんなに愛を抱いても。どんなに憎悪していても。
 どんなに敬われていても。どんなに疎まれていても。

 皆、等しく飲まれてしまう。
 侵され溶けて、肉体の死を、あるいは魂の死を強制される。

 食物連鎖という世界のルールを逸脱した事態。実のところはこの平等さこそが、『真の平和』というものなのではないか……とすら思う。

 世界は変革の時を迎えているのだろう。──恐らく。
 だが、今まで食物連鎖の世界で生きてきた我々には、彼らには、理不尽な死が降り注ぐこの状況を甘んじて受け入れることができない。

 溶けて死んでいった彼ら。喰われて狂った彼ら。怯えて隠れる彼ら。立ち向かおうと奮い立つ彼ら。誰もが。
 皆、世界が救われることを願い、祈っている。





*The End of Prayers* 第十七話 「真赤な太陽」









◆  ◆  ◆



 閉じ込められていた子供達がいなくなり、元々静かだった地下室は余計に静まり返る。
 うめき声も、しゃくり上げる声も、咳き込む声も、もう聞こえない。

 残された四人は、今後どうすべきかを考えられずに俯いている。案を出してはみるものの、小学生が思い付くものではいまいち現実性に欠けた。

 フーガモンを殺してから、ウィッチモンからの連絡が一時的だが途絶えている。何があったのかわからず、子供達の不安が募る。
 
 チューモンとユキアグモンは多少なり罪悪感を抱いていた。自分達が残ると言わなければ、自身のパートナー達は大人しくリアルワールドへ帰ったかもしれない。
 この先の危険に巻き込みかねないという懸念。かと言って、助けに来てくれた二人を置いて行くこともできなかった。

 けれど実際に子供達を帰し、地下牢に残され、この先の事を考えてみると──自身の置かれている状況には頭を抱えるしかない。

「……ダメだ。ウチのちっぽけな頭で、この展開をどうにかできるような案は考えつかない。見張りのいない隙を狙って逃げる位しか浮かばないよ」

 チューモンは頭を掻きながら座り込む。

「さっきからアイツからの連絡も全然──」
『──皆様。大変お待たせして申し訳ございまセン』

 再生した使い魔の猫から通信が入った。子供達の顔に安堵の色が浮かんだ。

「遅かったじゃないのさ。倒れてた?」
『否定はできまセンが……』
『ちゃんと、ウィッチモンが皆をリアルワールドに送ってくれたよ! ワトソンさんも警察に連絡してくれたし……』
『そろそろ見つけてもらえてると思うよ。そういうわけで一段落だ。あの子達のことはね』
『……先程、デジモン除けの結界を地下室に張りまシタ。決しテ強力ではないデスが……これで不用意に誰かが近付いてくることは無いかと。今のうちに作戦を立て直しまショウ』

 ウィッチモンの声は落ち着いていた。彼女の冷静さが、地下室の子供達を安心させる。

『まずは城の内部構造について確認デス。
 使い魔による探索とこちらのブギーモンの証言とで、大まかにデスが城内マップを作成しまシタ』

 使い魔の目が光り、石壁を照らす。
 すると、プロジェクションマッピングのように城内の平面図が写し出された。
 
 地下二階が収容牢獄。
 地下一階は拷問室。
 地上一階には玄関ホール。直線の廊下が続き、その両側には門番の部屋と武器庫、倉庫、低位の従者の私室が並ぶ。つきあたりには中央ホール。その更に先に中庭。
 二階には厨房と図書室、再び低位の従者の私室、部下用の食堂。そしてバルコニーが三ヵ所。
 三階には大広間、それに隣接した礼拝堂、上位の従者の私室。外側には城壁を一周する長いテラス。
 四階にはギャラリーと宝物庫、執務室、フェレスモンの私室が設けられている。

『がっつりお城じゃん! いーなー見てみたかったなあ』
『ちょっと、みちるさん……』
『一階の中庭にご注目を。ここからの脱出経路は、この一ヶ所のみとなるようデス』

 一階の平面図が拡大される。
 中庭の隅から、地下室に向けて長い階段の存在が記されていた。

「……俺たちの所には、中庭からじゃないといけないの?」
『ああ。万が一に脱走した時、城内にすぐ入られたら困るからな。建物自体はひとつだが、直接は出入りできねぇよ』
「おで、そういえば、お外に出でがら階段おりだよ」
『そんで肝心の中庭だが、三階の大広間の奥にある階段から降りるか、一階の中央ホールの奥からか行くかって感じだな。
 あのブギーは上位の奴だから、チビどもは三階にいるはずだ』

 もしコロナモンとガルルモンが中庭へ出るなら、大広間の奥の階段を利用しなければならない。
 問題は──広間までの道のりは、他のブギーモン達の部屋の前を通過しなければならないということだ。ガルルモンの体格の大きさから、発見される可能性は少なくはない。 

『……二人に来て頂く以外に方法は無いでショウね。子供達にあまり内部を歩かせるわけにはいきまセン』
『……そうだね。ちょっとでいいから、皆が隠れられる場所があればいいんだけど……』
『二階のバルコニーの一つは城の裏側についてる。出入口は図書室からの一ヵ所だけだし、わざわざ出ようとする奴もいねえし、隠れるのには使えるかもな。最悪、下まで飛び降りりゃあいいんだ』
『ボクは飛び降りるのには反対だなぁ。あの子達そんなことしたら骨折しちゃうよ。ユキアグモンに氷の滑り台でも作ってもらうのが良いと思うけど』
『さすがワトソンくんだ! でも、それじゃどのみちバルコニーまでは行かなきゃいけないのよね』
『ユキアグモンが誰にも見つからずに移動できた事を考えれば……非常に慎重を要しマスが、時間とタイミング次第では内部の移動が可能でショウ。
 ……もう少々ここで待機をしマス。ユキアグモンがこちらに向かい始めた時間まで。その間にワタクシは、コロナモンとガルルモンに使い魔を送り事情を説明してきマス。
 とは言え、すぐ動けるようにはしていて下サイ。恐らく連絡を取り合えた時点で行動に移ると思われマスので』
「……えっと、わたしたちは、ここを出たら……バルコニーに行けばいいのかな……」
「そういうことだね。道案内はウチがするから大丈夫だ」

 チューモンが平面図を指でなぞる。

「ここがウチらのいる地下室。外に出るまでは楽勝だ。多分ね。
 出たら壁際を歩いて、ここの……中央ホールへの扉を目指すってことだ」
『中央ホールの階段を登ればすぐに図書室デス。皆様はそのままバルコニーに出て、コロナモンとガルルモンが合流するまで待機して下サイ。
 また、コロナモンとガルルモンは中庭へは向かわずに、三階のテラスからバルコニーへ飛び降りて頂きマス。広間へ出なければならないのに変わりはないデスが……』
『しょーがないよねぇ。ていうかそれ以前にブギー大魔人のお部屋出られるの? そっと寝首かいて殺しちゃった方が安全じゃない?』

 さらりと出たみちるの物騒な言葉に、柚子とブギーモンの表情がひきつった。

『……その件は後程、二人に使い魔を送った際に話し合いまショウ』

 その案を決して否定はしないまま、ウィッチモンが次の作戦について説明を始めた。

『コロナモンとガルルモンと合流した後のプランは三つ。
 ひとつ、アタリの子供達を見つける余裕があれば、二人が見つけたであろう腕輪で子供達をリアルワールドへ脱出。皆様は城の外へ脱出。
 ふたつ、子供達との合流が難しい場合は……彼らの救出を諦め、皆様だけ脱出。
 最後に、その上で城からの脱出が困難な場合は……合流した時点でリアライズゲートを開き、リアルワールドに移動』
「……私たちがリアルワールドに帰っちゃったら、アンドロモンたちとの約束、破っちゃうことになるんじゃ……」

 ひとつ目の作戦が上手く行くことが理想ではあるが──フーガモンとの戦闘でさえ困難を極めた事実を考えると、合流の前後で何かトラブルが起きた場合に、自分達以外の誰かを救出する余裕は無いだろう。

『皆様の命が最優先デスので』

 はっきりと言い切る。

『ではワタクシはコロナモン達の元へ向かいマスので、それまで待機を。何かあれば皆様から連絡をしてくだサイ』

 使い魔の目から光が消える。スルスルと、花那の側へと戻っていった。

「……だってさ。お前ら、ちゃんと話わかった?」

 子供達は自信なさげにうなずく。チューモンは「だろうね」と苦笑した。

「まぁ、何とかなるよ。多分。とにかく休憩だ。特にウチとユキアグモンにはね。悪いけど、連絡が来るまで寝させてもらうよ」

 チューモンは手鞠の膝の上に乗った。

「ねえ、ここ貸してくれよ」
「……うん!」

 手鞠は嬉しそうにスカートを伸ばす。

 ああ、こんな温かい寝床は始めてだ。チューモンは満足げに寝転がり、いびきをかき始めた。



◆  ◆  ◆



 束の間の休息。

 次の作戦も決定し、あとは行動に移すのみ。ウィッチモンからの合図を待つ。

 誠司はユキアグモンを抱きしめながら横になっていた。早くやわらかい場所で眠りたい。そう思いながら。
 チューモンは相変わらずいびきをかきながら眠っている。その小さな手に、手鞠は自身の指を添えていた。
 蒼太と花那は、コロナモンとガルルモンへの心配が、そしてこの先の不安が募り、あまり休む気にはなれなかった。壁にもたれて体育座りで、黙りこんでしまっていた。

 デジモンが死ぬのを見るのは何度目だろう。

「……」

 友達を閉じ込めていたフーガモン。名前を知ることのなかったサイクロモン、リアルワールドへ逃げ切れなかったテリアモン。他にもいる。
 どれも自分達が手をかけたわけではない。無抵抗の者を殺したわけでもない。強いて言うならば、殺さなければ殺されていた相手だった。

 コロナモンとガルルモンは、どんな気持ちでいたのだろう。そしてこれから、どんな気持ちでいるのだろう。

「……誰も、殺したくて、そうしてるわけじゃないのに」

 花那がぽつりとこぼす。

「……自分たちが……死なないために……殺すしかないのって、どうしてだろう。他にも、やり方はないのかな」
「……花那……」
「だってこのままじゃ……この後も、これからも、ガルルモンたちは誰かを殺さないといけなくなっちゃうよ。……そうなるんじゃないかって、思って」
『それはねー、難しいことかもしんないねえ』

 突然のみちるの声に驚く。花那の携帯電話から聞こえてきた。

「……ウィッチモンの使い魔は……」
『今はコロナモンくん達のとこ目指してるよ。柚子ちゃんはフォロー中です!
 いや、ごめんね。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけどねぇ』
『嘘だよ。柚子ちゃんのケータイ使って皆を応援するんだーって言ってたじゃないか』
『シャラップ!! でもエールを送りたいのは本当です!』 

 こほん、と、小さく咳き込む音が聞こえた。

『……花那ちゃんや蒼太くんのお悩みも最もだと思うけどね。アタシはね! 平和的に話し合いとかで終わればハッピーだし。
 でもそれ、サバンナでも同じこと言えんの? って聞かれたら、ビミョーじゃない?』
「え、サバンナ……?」
『ライオンはシマウマとお話ししないし、ハイエナは死骸を泣きながら食べたりしない。ゾウさんは子供達を肉食動物から守るために全力で戦う。そこに話し合いや譲歩は存在しないでしょ? 皆いっつも全力で生きてるんだ! ちなみにカバさんは雑食です』
『お願いだから最後の方で話をややこしくしないで。
 つまり、デジモンは人間よりも、どちらかといえば動物の生き方に近いんだと思う。
 生きる為に食べるしかない。襲われたら逃げるしかない。逃げられないなら戦うしかない。全部、生きる為だ。そこに正義や悪はないんだよ。死んだら元も子もないからね』
「でも、コロナモンたちは俺たちと、ちゃんと話し合えるし、誰かを一方的に殺そうなんてしてないし……」
『そこはね、言語による意志疎通能力はあるから、コミュニケーションの形はほとんど人間と変わらないんだろう。よく喋って、遊んで、泣いて笑って、良心もある』
『だから逆にこのブギー野郎みたいな奴が出てくるんだけどね! 悪いやつめ!』
『そうだね。そういう奴もいる。生きる為以外に誰かを殺そうとするのも人間と同じだ。
 ……きっとデジモンは、自分や仲間の命が天秤にかけられた瞬間は、ひどく動物的になるんだと思う。だからきっと、コロナモンもガルルモンも、そこの二体も……これからの事でそんなに心を痛めはしないんだろうね。生き残る為の、仕方のないことだから』
『だから蒼太くんも花那ちゃんも、自分が生き残る為に起きたことは、あんまり気にしなくていいと思うぜ! 元気だして!』
「「…………」」

 理屈ではそう言われても、理解できても、心はすぐに追い付かない。

『大丈夫。きっと、そのうち慣れるよ』

 ワトソンの言葉が胸に刺さった。この人たちは、どうしてそこまで割りきれるのだろう。



◆  ◆  ◆

ID.5020
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:10


*The End of Prayers*  第17話 A
◆  ◆  ◆



 しばらくして、使い魔の猫が戻ってきた。

 安堵からか熟睡していた誠司と、うたた寝をしていた手鞠を起こす。
 体育座りをしたまま、寝ているのかわからない蒼太と花那を起こす。

 じっと見つめてくる猫に、大丈夫だよ、と花那は頬を撫でた。

『起こしてしまッテ、ごめんなサイね。ユキアグモンとチューモンは回復できまシタか?』
「ウチは元々そんなに消耗してなかったからピンピンしてるよ」
「おでも、せーじのおかげで、大丈夫。すごし、痛いげど」
『無理はなさらないデ。しかし彼らの護衛をしっかり頼みマス。
 今から皆様に、この地下室に張っているものと同じ結界をお着けしマス。細やかなものデスが、不用意な遭遇は少しでも避けたいので』

 使い魔が蛇のように、それぞれの体を這い始めた。這った跡に、薄ピンク色のテクスチャーが浮かび上がった。

『少し不快かもしれまセンが、我慢してくだサイね』
「ウチこれ食われない? 大丈夫?」

 やがて全員の体を這い終えると、使い魔は花那の携帯へと戻っていく。

『道のりはチューモンのナビゲートで、デジモンの熱源反応に関してはワタクシから合図をしマス。すぐに行動できるようにしていテくだサイ』
『皆、気をつけてね……!』

 柚子の応援に背中を押されながら、四人は返事をする。

 蒼太と花那の潜伏から二日、そして、オーロラを見たあの日から二週間以上が経過していた。本来の目的であった、友人達の脱獄が開始された。



◆  ◆  ◆



 湾曲した鉄格子を抜け、石畳の通路を進む。地下の牢獄は薄暗いが、周囲の様子がわかる程度の明かりはあった。
 自分達が連れてこられた道を戻る。
 フーガモンの金棒の音を響かせていた階段が現れた。
 長い石の階段。その先に鉄製の扉が見える。

 登りきって、蒼太が恐る恐る扉を押す。
 ──重たい。開かない。誠司が加わったが、それでも開かない。結局四人全員で、力を合わせて何とかこじ開けた。

 扉の先は地下一階。
 地下牢よりもずっと暗い。足元もよく見えない。

「うええ、なんだここ。サビの臭いがする」

 誠司が鼻をつまんだ。

「牢屋も臭かったけど、ここもひでえや。早く出よう」
「急ぐんじゃないよ。暗いし、危ないからね。
 ねえ、誰か明かりを持ってる? 床だけ照らしたいんだけど」
「私、ケータイで付けるよ」
「助かる。足元を照らしてくれ。他はいいから」
「? うん」

 チューモンの言葉の意味を理解できないまま、花那が携帯電話のライトを付けた。正面を向いたまま。

「バカ、明かり下げて。照らすのは足元だけでいいんだよ!」
「ご、ごめ────」

 照らされたわずかな空間。視認した途端に、息をのんだ。

 石の床がやたらと赤黒い。
 石の壁もやたらと赤黒い。
 周囲には、何かがこびりついた刃物が羅列していた。

 地下一階は拷問部屋である。
 子供達が叫び声をあげる前に、チューモンが「叫ぶんじゃないよ」と制した。

「だから言ったのに」

 羅列した刃物や器具の金属部分は、暗闇の中を手探りで移動しようものなら、簡単に怪我をしかねない状態だ。
 ユキアグモンが周囲を凍らせた。床以外を氷で包み、子供達を守る。

「ここの奴等は、こういう奴だよ。ウチが逃げ回ってたのも理解できるだろ」
「早ぐ、行ごう」

 花那と手鞠は足がすくんで動けなかった。ユキアグモンが二人の手を引っ張って、進ませた。

 サビの臭い。鉄の臭い。それが何かを悟って、誠司はひどく気持ち悪そうにうつむいている。歩きながら、蒼太が背中をさすった。

 周囲の拷問器具で怪我をすることもなく、やがて外へと続く階段にたどり着く。

 誠司が我先にと階段を上がった。危ないと、蒼太が制止しながら追う。花那が手鞠の手を引いた。

「そーちゃん、これも重い! 手伝って!」
「……ここも、さっきの部屋も、何で鍵がかかってないんだろう」
「きっとフーガモンが閉め忘れたんだよ。早くこんなと出ようぜ!」

 扉を開く。
 薄暗い明かりとともに、風が吹き込んできた。

 久しぶりに外の空気を吸った。生ぬるくて、決して綺麗な空気ではなかったが、それでも地下牢で過ごした彼らにとっては新鮮すぎる空気だった。──特に、誠司と手鞠にとっては。

「……宮古さん……オレたち、外に出れた……!」
「……うん……出れた……!」
「残念だけどまたすぐ屋内だよ。ウィッチモン、近くに誰かいる?」
『……いいえ。観測できる範囲にはまだ。
 反対側に見える扉まで走ッテ下サイ。広がると目立つので、なるべく縦に二列ずつ並んで』

 案内役であるチューモンは先頭にいた方が良いだろうと、手鞠と蒼太が先を走った。その後ろを花那と誠司が、そして最後尾をユキアグモンが守るように走る。

 芝生が広がる中庭は決して狭くはない。古びた噴水や井戸があり、その影に隠れるように、ジグザグに進まなければいけなかった。

「……宮古、大丈夫?」
「はぁ……はぁ、はっ……──だ、だいじょ……」

 走り始めてから距離も時間もさほど進んでいないのに、手鞠の息がやけに荒い。誠司もひどく汗をかいている。──長い間の栄養不足と運動不足により、二人の筋力は著しく低下していたのだ。
 しかしのんびり進むわけにもいかない。二人をサポートするように、蒼太が手鞠を、花那が誠司の手を引っ張りながら走った。

 やがて、城内へと繋がる木製の扉までたどり着く。手をかけようとする蒼太をチューモンが止めた。

「中に誰かいたらまずい」

 使い魔が熱源を探す。──周囲に反応はない。そっと扉を開け、城の中へと忍び込んだ。

 中庭と直接繋がる中央ホール。
 西洋の古城を思わせる造りだ。立派ではあるが、ノイシュヴァンシュタイン城やベルサイユ宮殿のような絢爛さは見られなかった。

 二階へと続く螺旋階段を、背を屈ませながら慎重に登った。デジモンの熱源の反応は無い。

『……なんか、静かだね。夜だから眠ってるのかな』
『……ぐっすり眠れて、皆様、良いご身分デスこと』

 ウィッチモンが画面越しに呟く。
 今のデジタルワールドの状況下で、それも侵入者に気付くことなく眠れている。それほどフェレスモンが張った結界は強力で、安心できるのだろう。
 ──なんて羨ましくて幸せな事。そう、思った。

「まあ、ウチらとしては寝てくれてた方がありがたいけどね」

 階段を抜け、広い通路に出る。
 真っ直ぐな廊下。並ぶ扉。

「あぞごに、道がある」
「そっちが図書室だ。手鞠、もうひと走りできる?」
「……だい、じょうぶ……!」
『熱源反応は変わらずありまセン。急ぎまショウ』

 そして、目的地であった図書室への侵入が無事に成功した。

 室内は広く、古い紙と埃の臭いが漂う。中央に長いテーブルが一つ。周囲に本棚が立ち並んでいた。

『……大丈夫デス。反応、ありまセン。バルコニーへ向かッテ下サイ』

 本棚の間を一列になって通り抜ける。左右には様々な本が、人間にはわからない文字で書かれて陳列されていた。

 部屋の奥にバルコニーへの扉を見つける。
 木製の小さな扉。鍵はついていない。周囲を確認しながら、ユキアグモンが慎重に開けた。

 再び外の空気を浴びる。
 図書室のバルコニーは、ブギーモンの言っていた通り城の裏側についているようだ。夜の中庭よりも更に暗く感じる。下の地面は芝生のような植物で覆われており、ガルルモン達が下に降りて走っていくことは可能だった。
しかし、すぐ目の前に、高い外壁が立っている。外壁を飛び越えて逃げるのは、不可能ではなくても時間を要しそうであった。

 全員が無事にバルコニーに到着した様子を見て、柚子は安心して息をついた。

『結構広いみたいだし、これならガルルモンたちも降りられそうだね。
 ……それにしても、椅子も机もあるし、思ったより綺麗……。皆、ここで本でも読んでたの?』
『本好きの奴はそうしてたさ。けど大体は見張り用で使ってた。そこの椅子はサボり用だ』
『……じゃあ、ここに見張りで誰か来るんじゃない?』
『城の裏側は特に結界が暑くなってるならなぁ。それに城の周囲はミノタルモンがいた見張り台から十分に見える。ここはもう使われねぇよ。
 それに、皆なんだかんだで毒は怖い。見張りの仕事以外で、屋外に出ようなんざ考えねぇだろうさ』
『……なら、いいけど……』

 ブギーモンはそう言うが、柚子の表情から不安の色は抜けない。フーガモンが突然やって来たように、イレギュラーな自体はいつでも起こり得るからだ。

『では皆様、しばらくそこで静かに待機していて下サイ。図書室に誰かが来たら、なるべくバルコニーの端に移動して身を隠すように。
 ワタクシは再びコロナモンとガルルモンへ使い魔を送りマス。何かあればすぐに連絡を』
「わかった。なるべく早く合流してくれって言っといて。さすがに夜明けまではきついからね」

 通信が切れる。
 誠司は置いてあった椅子に座り、息を整えた。

「そーちゃんと村崎さんのパートナー、早く来れるといいなぁ。どんなデジモンなのかなぁ」
「……ふたりとも……すごく、優しいんだ」

 蒼太は城壁を見上げる。
 三階部分の窓に明かりは見えない。コロナモンとガルルモンが今どの場所で何をしてるのかもわからない。ただひたすら、無事に合流できることを祈るしかなかった。

 

◆  ◆  ◆

ID.5021
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:14


*The End of Prayers*  第17話 B
◆  ◆  ◆



 使い魔が、ダクトからブギーモンの部屋へと忍び込む。

 部屋は暗く、ひどく静かだ。
 熱源反応は三つ。暗さで視認はできないが、部屋の出口付近に集まっていることはわかる。
 いつも部屋の奥でじっとしていた二人が何故、出口付近にいるのだろう。使い魔は壁を伝いながら部屋を移動した。

 出口の側にはガルルモンと、傷が以前よりひどくなったコロナモンが。
 そして二人の足元に──手足を縛られ翼を砕かれ、頭部を寝具の布で巻かれたブギーモンが転がっていた。

『殺したのデスか』

 いや、とガルルモンが首を降る。

「データが飛散してないから、まだ生きてる」
『……そのままで良いのデスか?』
『……ウィッチモン……?』
「この様子ならしばらく動けない。口に布を詰めたから、多分、大声も出せない」
『よく行動に移せまシタね。眠っていた所を?』
「…………ああ」
『その場所に置いておくのは危険デス。部屋の奥へ運んで下サイ』

 ガルルモンは言われた通りに、ブギーモンを咥えて部屋の一番奥へと運ぶ。これで、もし誰かが部屋に入って来てもすぐには見つからないだろう。

『ソウタとカナ達は無事にバルコニーへ到着しまシタよ。ワタクシがナビゲートしマスので、早急に合流してくだサイ』
「コロナモン、背中に乗って。蒼太の所に行こう」
「……うん」

 傷だらけのコロナモンが、ガルルモンの背に乗り身を預けた。

「……残った、子供たちは、どうする……?」
『…………正直に言ッテ、救出は難しいかと』
「……場所は……」
『チューモンの話を聞いても、二階までに彼らを隠せるような場所はありまセンでシタ。広間と礼拝堂にも見当たらなかッタと。……今の状態でこれ以上、まして四階を探索し救出するのはリスクがありすぎマス。
 ワタクシは、バルコニーで待つ彼らと共に脱出すべきと提案いたしマス。……二人のご意見は』
「…………蒼太や、花那や……せっかく助かった、あの子たちの友達を……また危険に、晒したくない。……のが、俺の気持ち……だけど……」
「……アタリの子は、環境も栄養状態も良いと言ってたね」
『ええ。あくまでチューモンの証言デスが』
「……僕は、要塞都市のデジモンたちに応援を頼みたいと思う。僕らの戦力では、正直なところ無理がありすぎる。脱出してから改めて作戦を練って、また助けに来よう。……どうだろう」
『ワタクシは賛成デス』
「……俺もだよ」
『決まりデスね。では、すぐに脱出を』

 二人はうなずく。
 熱源と匂いがすぐ近くに無いことを確認しながら、そっと扉を開いた。

 静まり返った廊下。今いる部屋から、大広間までは距離があるようだ。
 子供達が待つバルコニーへは、城壁を一周するテラスから飛び降りなければならない。そして、そのテラスへ出るには大広間を経由する必要がある。

『──付近には熱源反応、ありまセンが……テラスそのものにいくつか反応がありマスね。おそらく見張りでショウ』
「……見張りは撒ける。テラスにさえ出られれば大丈夫だ」

 リアルワールドでの戦闘から、ブギーモン達の飛行能力はそれほどスピードに特化していないことを知っている。テラスにさえ出られれば、ブギーモンを回避しながらバルコニーまで走って飛び降りられる。ガルルモンには自信があった。

 音を立てないように、足早に大広間へと向かう。────その時だった。


「要塞都市の天使が向かって来てるらしいぞ!」


 ブギーモンの一人が部屋から飛び出し、叫んだ。



◆  ◆  ◆



「お前ら起きろ! おい!」

 ブギーモンは大声で、他のブギーモン達に呼びかける。

「なんだようるせぇな! 良い夢だったのに!」
「要塞都市のデジモンがこの城に攻めてくるんだよ! 俺らが人間捕まえてるのが許せねえって!」
「は!? なんでその情報が……───あ?」

 部屋から出た一体が、ガルルモンに気が付いた。

「……お前ら、確かメトロポリスの……」

 ブギーモン達が、次々と廊下に出てくる。

「まさかお前ら、メトロポリスじゃなくて要塞都市から来たんじゃ……」
「違う! 僕らは……!」
「おい! フーガモンの奴はどこだ! 誰か知らねえか!?」

 二階から、別のブギーモンが声を上げて登ってきた。

「どこにいやがんだ!」
「今度は何だよ!」
「地下牢が空っぽなんだよ! 鍵もかかってなかったし、フーガモンもいねえ!」
「……それは……どういうことだ……!?」

「ガルルモン!!」

 コロナモンは、もう、嘘も言い訳は効かないと悟る。

「走れ!!」

 ガルルモンは逃げるように廊下を駆け出した。その姿を見たブギーモン達は、血相を変えて追いかける。

「侵入者だ! こいつら要塞都市の侵入者だ!」
「全員集めろ! 捕まえて殺せ!」

 背後から怒声が響く。
 こんなにも早く脱獄に気付かれたことも、どうして要塞のデジモンが来るという情報が今になって入ってきたのかもわからない。考える余裕もない。

 そして城内に、警報音が響き渡った。



◆  ◆  ◆



「…………ねえ、今の、何の音……」

 花那が、目を見開いたまま、顔を伏せたまま、服の裾を握り締めたまま、声を震わせる。

「……何で、こんな音が鳴ってるの……」
「…………気付かれたんだ……俺たちのこと……」
「だって逃げてからそんなに時間たってないのに!?」
「でも、じゃなきゃこんなサイレン鳴らないよ……! これ、悪い奴とか、泥棒とか見つけた時の音じゃんか!」
「……わ、わたしたちが、フーガモンを……こ……消しちゃったから、フーガモンが、帰って、こないから……」
「……うん。フーガモンが、オレたちの所に来てから……だいぶ経ってる……。
 ……そうだよな。怪しいよな。……オレ、何とかなるんじゃないかって思ってたけど……やっぱり、そんなに上手くいかないよな……」

 誠司が椅子から崩れ落ちた。
 
「……オレたち……死ぬのかな。捕まったら、殺されるのかな……」
「…………チッ!」

 チューモンが舌打ちをしながらナイフを構える。

「ユキアグモン、氷で滑り台を作ってくれ。今すぐ下に降りれば逃げ切れるかもしれない。
 あと、ウチの足場も頼むよ。扉の所にだ。開けてきた奴を切り落としてやる」
「わがっだ!」
「なるべく隅に隠れてるんだよ。ここなら多分、すぐには見つからないと思うから。滑り台が出来たらすぐに下に下りて走って逃げるんだ」

 ユキアグモンは言われた通り、扉のすぐ隣に氷の足場を四つほど作る。チューモンはナイフを抱えながら飛び乗ろうとした。

 その時、城に大きな振動が走る。

「!?」

 足場を踏み外し、チューモンは危うく自身の体を切りそうになってしまった。

「危なっ……何さ今の揺れ!? 地震か!?」
「ぢがう……。今の……城の中がら聞ごえだ……」

 直後、城内から轟音が響く。上の階だ。工事現場で何かが壊される音に、よく似ていた。

「……花那ちゃんと、矢車くんのパートナーって……上にいるんだよね……?」
「…………私たちが逃げたから、ガルルモンとコロナモンが疑われたんだ……」

 絶対そうだ。──そうこぼす声は、ひどく震えて、上擦っていた。

「……私たちのせいだ……」
「…………」

 蒼太は俯き、拳を握り締めた。短い爪が手のひらに食い込む程に。

 ──結局、自分達は、何をしに此処へ来たのだろう。

 友達を助けたかった。
 けど、戦えもしないのに、彼らがいなければ何もできないのに、この世界について来てしまった。
 ただひたすらに守られて。今でさえ、助けに来てくれることを期待していて。そして結局、自分達が足を引っ張って、彼らを危険に晒している。

 サイレンに混ざって、蒼太の携帯電話が鳴り響く。柚子の声が聞こえてくる。

『──える、聞こ……る!? コロナ──ガルルモ、が、戦闘……』
「……柚子さん……音が途切れて……」
『ウィッチ──戦っ──こっちに来られない……! 皆、先に逃げ──』

 電波が悪いのか、そもそも電波があるのかもわからないが、とにかく柚子からの通信は途切れてしまった。

「……」

 ユキアグモンの滑り台は出来上がりつつある。
 城内から聞こえる轟音は、止まらない。

「……チューモン。……そのナイフ、俺に、貸して……」
「…………は?」
「……フーガモンも、倒せたんだから、他のデジモンだってきっと……」
「……お前がそれをやるの?」
「……」

 チューモンの問いに、蒼太は答えられない。

「……でも、せめて、武器だけでもあれば……。……だから……俺、行ってくるんだ」
「待ってよ蒼太! それだったら……私のが足、速いんだから、渡してくるだけなら私の方が……」
「花那は……お化け屋敷とか、こういう所、怖いだろ……」
「……蒼太だって怖いでしょ……?」
「…………」
「……蒼太が行くなら、私も行く」
「……だめだよ」
「なんで!」
「だってそうしたら……誠司と宮古が……」
「……それは……」
「花那ちゃん」

 手鞠が、花那の背を押した。

「わたしたちは、大丈夫だから……。花那ちゃんも、友達の……パートナーの所に行ってあげてよ」
「ここ、そんなに見つからないかもしれないし……ユキアグモンもチューモンもいるし……その……。……オレ、先に逃げてるからさ! 心配しなくていいから……」

 気まずそうに目を背ける誠司に、蒼太は少しだけ笑う。
 チューモンはひどく面倒くさそうに舌打ちをする。それから、蒼太に渋々ナイフを手渡した。

「それが無いとウチも戦えないんだよ」
「……うん。ごめん」
「城の奴がここに来る前に戻って来な。間違っても人質になんかなるんじゃないよ! そしたら見捨てるからね」
「……わかった」
「そーちゃん、村崎、気を付けてな……」
「……うん。誠司たちも、気を付けて」
「ユキアグモン、その滑り台ちゃんと残しておいてよ!」

 花那と蒼太は深呼吸をした。顔を見合せ、うなずく。
 そして、扉を開けて城内へと戻って行った。

 その背中を見守ると、誠司は悲しそうに目線を落とす。

「……捕まったのはオレたちなのに……あいつら最初から助かってたのに……なんで、二人を危険な目に合わせてるんだろうね」
「…………」
「……椅子、座って待ってよっか」
「……海棠くん、逃げないの?」
「さっきのは嘘だよ。さすがにそんなことできないって」
「あいつら死ぬかもしれないのに、よく止めなかったね」
「……チューモンだって、止めなかったじゃない」
「言っても聞かなかったろうし。そこまで仲良しってわけでもなかったからね。
 でも二人は違うだろ。死んだらお互い困るんじゃないの」
「…………わたしたちには、止められないよ……」
「……まあ、アンタたちもそうやって残ったんだもんね。
 待つのはいいけどさ、誰か来たらすぐ下りるよ。ナイフも無いんだから。その時は、ちゃんと言うこと聞いてよね」
「……」

 手鞠と誠司は不安そうに城壁を見上げる。
 どうか、二人とパートナー達が戻って来れますように。そう祈ることしかできなかった。



◆  ◆  ◆



「――じゃあ、持ち物確認。蒼太から」

 図書室の出口の前で、二人は自身のリュックサックの中身を確認する。

「……非常灯と、発煙弾と……閃光弾と催涙弾……だと思うけど、非常灯以外はどれがどれだか……」
「同じのが何個も入ってるみたい。使ってみないとわからないね……」
「……あとは、この、アンドロモンさんが俺たちに付けてくれたやつ……」
「……何だっけ。でも武器じゃないんだよね?」
「……確か……。とりあえず付けたままにしとこう」
「そうだね。…………そのナイフは、蒼太が持つの?」
「……これは、コロナモンが持った方がいいと思って……」
「……わかった」
「よし、行こう。リュックは前に!」
「背中をつかまれないように……!」

 リュックサックを前に抱え、二人で同時に扉を開いた。


 サイレンの音が鳴り響く。
 足音が響く。怒声が響く。振動が響く。

 幸い、図書室前の廊下には誰もいない。まっすぐに走る。

「曲がる前に止まるぞ! 」
「うん……!」

 目指すのは三階の大広間。
 廊下を抜け、階段を目指す。ブギーモンの私室が並ぶ通路に入る前に立ち止まり、周囲を見回す。

「……ねえ、なんかブギーモン、少なくない? 柚子さんの所のブギーモンは、六十人はいるって言ってたのに……」
「……わかんない。でも、少ない方がありがたいよ。
 あいつら……皆、上に行ってるんだ。きっとコロナモンたちの所だ」
「……私たち、あれに混ざって上に行くの?」
「……でも、どっちの階段にもきっといるよ。非常口とか無さそうだし……」
「……どれか武器、使ってみる?」
「……そうしよう」

 リュックサックの中から、どれが何だかわからない武器を手に取る。

「……よし、一気に走るぞ。さん、に、いち……!」

 蒼太の合図で駆け出した。

 廊下にはブギーモンが数体──おそらく十体もいない──僅かに宙に浮きながら三階を目指していた。二人はその光景に驚く。もっと、廊下は彼らで溢れかえっていると思っていたのに。
 上からの轟音が、自分達の足音を掻き消していく。走ってきていることに、気付かれていない。
 ブギーモン達は無心だ。誰も後ろを振り返らない。身長の低い子供達など視界にも入らない。ただ殺意を目に宿し進んでいく。

 二人はブギーモンの後をつけるように走った。その手に、アンドロモンからもらった武器をしっかり握りしめながら。

 階段の踊り場まで来たところで、下の階から上がってきたブギーモンが、二人の存在に気が付いた。

「!? おい、お前ら何してる!?」
「人間が何でここにいるんだ!?」
「まさか……アタリから逃げ出したんじゃ……!」

 まさか人間が地下牢から二階に来たとは考え辛かったようで、ブギーモン達は混乱する。

「ま、まずい! アタリだけは逃がしたら……!」
「絶対捕まえろ! 下に行かせるな!」

 ブギーモン達は二人を下の階へ行かせないよう壁を作る。上の階を目指しているなど、想像もせずに。

「……! 花那、先に行ってて!」
「何で!?」
「いいから!」

 蒼太はブギーモンの壁を見て、咄嗟にリュックサックの中に手を入れた。

「……アンドロモンさん……!!」

 どうか自分達を助けて。
 そう願い、取り出した球体の武器を──下り階段に向けて投げつけた。

 床にぶつかった拍子に、球体から白い煙が立ち上がる。

「ぎゃあっ!」
「痛え! 目が……!」

 ブギーモン達は咳き込み、開かない瞳から涙をこぼして悶えている。

「……やった……催涙弾だったんだ……!」
「蒼太! 早く!」
「畜生がぁあ!! ぶち殺してやる!」
「やめろ! アタリは殺すな! 捕まえろ!」
「誰か窓を割れ! 外に煙だせ!」
「……あいつら、何で上に行ってんだ……!?」

 逃げるどころか階段を上がっていく、その理由が理解できなかった。
 蒼太と花那は先を飛ぶブギーモン達の足元をかいくぐるように進んでいく。

「何だ!? 足元に何かいたぞ!?」
「おい! 人間だ! 人間が俺達に混ざってる!」
「何でオレらと一緒に走ってんだよ!」
「そっち出口じゃねえぞ!?」
「わかってんの! ほっといてよ! 邪魔しないで!」

 花那は思わず叫んだ。

「このガキ口答えしやがって殺してやる!」
「ひっ……」
「花那! 緑色のやつ! 早く投げろ!」
「……っ!」

 花那は急いで緑色の弾を取り出す。追ってくるブギーモン達に向かって、思い切り投げつけた。

 催涙弾が破裂し、煙が巻き上がる。

 花那は全力で走り、煙から遠ざかった。背後から叫び声と怒声が、さっきよりも多く聞こえる。──下の階で撒いたブギーモン達も追ってきている。

 早く着かなければ殺される。追い付かれたら殺される。

「……! そ、蒼太! 今、何か聞こえた!」
「え!?」
「ガルルモンの声だ……!」

 走り抜ける廊下の先から、ガルルモンの雄叫びが聞こえてきた。道は間違っていなかったのだと安堵したのは束の間、追って来るブギーモンから必死に逃げる。

 早く、速く、速く、早く、もっと。

「速く!!」

 花那は全速力だった。今なら陸上競技で先頭に立てると自負する程、今までで一番、死ぬ気で走る。ブギーモン達の足元をすり抜けていく。

「花那、待って……」

 花那の背中がブギーモンの足に隠れて見えなくなった。それまで強気だった蒼太に、一気に不安が押し寄せる。

「待ってよ……!!」

 轟音が、雄叫びが、大きくなる。
 やがて通路は開け、酷く壊された扉が見えた。

「花那!!」

 ブギーモン達が何かを叫んでいる。
 壊れた扉の破片に躓きながら、大広間へと駆け込んだ。

「コロナモン! ガルルモン!」

 名前を叫ぶ。

「……花那……!」

 ……誰からも、返事がない。
 土埃と轟音の中で、蒼太は必死に状況を視認する。

「…………え……?」

 現状を把握する。

 大広間はひどく破壊されていた。
 壁が壊れて天井の一部が崩れて、灰色の空が顔を見せている。
 
 ブギーモン達が、槍と殺意をガルルモンへ向けている。
 城に来た時に見張り台にいたミノタルモンが、ガルルモンに向けて砲撃をしている。
 ウィッチモンの使い魔が、ガルルモンを守るように戦っている。──コロナモンが見当たらない。
 
 コロナモンを探す。花那を探す。
広間の隅に不自然に盛り上がった瓦礫の山を見つける。その下には、ガルルモンの氷の壁で覆われた空間があった。

 その中で花那が叫んでいる。
 
「花那」

 瓦礫に躓きながら、駆け寄る。
 花那が泣いている。

「────コロナモン」

 コロナモンが横たわっている。

「……あ……」

 その手には、一生懸命探して持ち出した腕輪がはめられている。
 腕輪はひどく汚れている。
 床が赤く染まっている。
 腕輪の汚れと似た浅黒い液体。
 コロナモンは横たわっている。

 ブギーモンの槍が、その小さな体を貫いていた。


「……ああ……ああああ! ああああああっ!!」



◆  ◆  ◆

ID.5022
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:16


*The End of Prayers*  第17話 C
◆  ◆  ◆



 大広間にたどり着いたブギーモン達は、すぐに子供達の存在を確認する。
 ──が、その様子を見て、「今すぐ捕獲する必要はない」と判断した。矛先は未だ抗うデジモン達へと向けられた。

 最早ブギーモン達の相手にされることもなく、氷の壁の中で、子供達はひたすらに泣き叫んでいる。

「蒼太っ……蒼太……コロナモンが! 来たら、もう、こうなってて……!」
「コロナモン! コロナモン!! ああああっ……! なんで!! コロナモン!!!」
「刺さってるの取れないよ……! どうしよう! このままじゃ死んじゃうよぉ!」
「だ、誰か……そうだ、救急車……! 」
「繋がらないよ!! 何で!? 手鞠たちと電話できたのに何で出来ないの!?」

 ヒステリックに叫ぶ。電池がほとんど残ってない画面には、“圏外”の二文字が無情に表示されていた。

「何で! 何でよ! 誰かコロナモンを助けてよ! お願いだから……っ!
 ……ガルルモン!! ガルルモン助けて!」
「コロナモンが死んじゃうよ! ガルルモン!!」
「……ガルルモン、ねえ……!!」

 ガルルモンは戦っている。
 何体ものブギーモンを相手に戦っている。
 爪で裂き、牙で砕き、既にブギーモンを何体も殺して。
 ミノタルモンの砲撃を必死に避けながら、炎を吐き、氷の壁を作り、攻めて守って、傷だらけになって。

 ガルルモンは視線だけをこちらに寄越した。
 目が真っ赤に腫れていたのは、決して、顔に攻撃を受けたからなどではないのだろう。

 ──目の前でコロナモンが貫かれて。
 戦いの中で辛うじてガルルモンが出来たことは、瓦礫や攻撃から守るために、小さな体を氷の壁で覆うこと。
 止血も試みた。しかし、迫り来る数多の攻撃に間に合わない。

 ウィッチモンの使い魔はガルルモンを必死に守っていた。通信がきちんと繋がらなかったのは、ウィッチモンへのダメージの負荷に依るものだ。

「…………誰も……」

 蒼太は絶望した。

「いない、のか……」

 ここに、コロナモンを助けてくれる誰かは、いない。

 槍が刺さった身体が僅かに動く。口から乾いた空気が漏れる。

「…………た……」
「!? コロナモン! 私だよ! わかる!?」

 コロナモンの手を握り締める。握り返されることは、なかった。

「……ま、た……。……れ……か……」
「……え……?」
「お……れ…………──モン……を……」

 言葉と共に血がこぼれる。

「や、やだ……! やだ……!」
「喋っちゃだめだよ!」

 もう一方の手を、蒼太は強く握り締めた。──肌を伝う電気の感覚が、いつもよりも強く思えた。

「……そ……た……?」
「……! そうだよ! 俺だよ! 俺たちここにいるよ……!」
「迎えに来たんだよ! 一緒に帰ろうよ!」

 体温がひどく下がった手を、蒼太は必死に握る。コロナモンは虚ろな表情だったが、それでも二人に微笑もうとしていた。

「……あ……がと……。……お……、は……い……。……が……がる……と…………け、て……」

 “俺はいいからガルルモンと逃げて。”

「……何、言ってんだよ……」

 蒼太には、そう言ったのだとわかった。

「そんなことできるわけないよ!」
「こ、コロナモン、何て、言ったの……?」
「置いて行くなんて嫌だ! 絶対嫌だ……!」

 コロナモンから手を離し、立ち上がる。

「ちくしょう……!! ちくしょう!! よくもコロナモンにこんな事……!」

 叫びながら、リュックサックの中身をがむしゃらに投げ飛ばした。
 周囲にあらゆる煙が立ち込める。ガルルモンの周囲を、ウィッチモンの使い魔が風で覆う。

『コロナモンを連れて逃げなサイ!』

 風と煙に声が混ざる。

『早く行きなサイ!!』

 蒼太は聞かなかった。泣き叫びながら、ありったけの武器を投げつけていく。

「あのガキィ……!!」

 ブギーモンの一体が蒼太に矛先を変える。──その背後から、ガルルモンが首筋を噛み砕く。

 蒼太は自分のリュックサックの中身も、花那から剥ぎ取ったそれの中身も、全て辺りに投げ尽くした。

「……ああっ……ああ……もう……なくなっちゃった……」

 膝が崩れる。最後にナイフが手に残る。

「……もう、これしか……。……俺が……」
「…………そ、た」

 その後ろ姿を、今にも閉じそうな瞳で見守っていた、コロナモンが呼び掛けた。

「ど……して……。……そ……な、も……」
「だ、大丈夫。大丈夫だから。待っててよコロナモン。俺が……俺が、コロナモン守って、連れて帰るよ。だってこれは、凄いんだ、あの時だって、フーガモンだって、こ、殺せて」
「……き……み、が……?」
「……ち、ちがう、それはチューモンが……」
「…………よ、か……た……」

 よかった。
 殺したのが君じゃなくてよかった。

「……」

 ──コロナモンの途切れた言葉を汲み取って、蒼太は言葉を失った。コロナモンはこの状況でさえ、自分達に誰かを殺めさせたくなかったのだ。

「どうして……。……コロナモン……。…………どうして!!」

 手の力が抜け、ナイフを落とす。
 カラン、と、むなしい音が氷の壁に反響した。

「……わかったよ。もう、こんなこと、しないから……。だから帰ろうよ……。誠司も、宮古も、ふたりに、会いたいって……」
「……っ! ねえ! 謝るから! 逃げたの謝るから……! ガルルモンにもう酷いことしないで! 攻撃しないで! コロナモンを……助けてよ……」
「コロナモン……お願いだよ……」

 コロナモンへと歩み寄る。
 途中で、何かを落とす。カランと音が鳴った。蒼太は虚ろな目で床を見る。

「……」

 服に取り付けていたものだ。
 アンドロモンがくれた、最後の何か。手のひらに収まりそうな大きさの機械。

 これは何だった?
 アンドロモンは、何と言っていた?

「…………これは……」

 ───『これは、デジヴァイス。デジモンとパートナーとを結びつける……』────

「……」

 ────ああ、それなら。
 お願いだから、自分とパートナーを結んでくれ。
 お腹が空いても、パートナーが食べていれば死なないというのなら……今だって似たようなものじゃないか。

「コロナモン」

 横たわるコロナモンの手を取る。
 落としたデジヴァイスを握らせる。
 その上から、自身の手を覆い被せ──離れないように、しっかりと握り締めて。

「……お願いだから……」

 お願いだから、神様。

 自分と彼を結び付けてくれ。
 命を結びつけてくれ。
 どんなことでもするから。彼の言うことだって、これからもっとちゃんと聞くから。だから、どうか彼を死なせないで。
 小さな体で戦った、守り抜こうとしてくれた、この勇敢な友達を──

「コロナモンを……助けてよ!!」


 ────直後。

 蒼太の指の隙間から、七色の光が飛散した。



◆  ◆  ◆



 全身を衝撃が走る。

 それは、初めて出会ったあの時のような。
 けれどあの時よりもずっと強い。熱くて、痛くて、胸が苦しくなって。

 ────何が起きたのかわからない。

 眩しくてたまらない。
 目が開けられない。
 握っていた手の感覚が無い。

 涙でぼやけた視界。
 コロナモンがいない。
 刺さっていた槍が砕けている。
 けれど、何故だか胸に哀しみは湧かなくて。
 ──涙を拭いて、立ち上がる。

 そして一面の光の中、何かが空へ翔るのを見た。
 


◆  ◆  ◆



 小さな体の自分が嫌いだった。
 弱かったから嫌いだった。

 いつも庇われて。いつも守られて。
 守りたいものひとつ守れない。

 せめて力があったならば。
 せめて君と同じくらいに。

 そうすればきっと、いつの日か。
 いつかの日のように肩を並べて、戦うことができるのに。



◆  ◆  ◆



 灰色の空を獅子が翔る。

 朱色の毛並みに黄金のたてがみ。毛並みと同じ色をした翼。
 その姿は、夜明けの太陽を思わせた。

 獅子は咆哮を上げる。
 そして全身に炎を纏った。ガルルモンを狙う者達めがけ急降下する。槍を構えたブギーモン達が、炎と衝撃にのたうち回る。

 蒼太は目を離せなかった。
 初めて見る獅子の姿に。その眩しさに。

 放たれた炎は他のデジモン達を寄せ付けない。獅子は、広間を焼き付くさんばかりに暴れ回る。 

「……ねえ、蒼太……。……火事になってる……」
「……うん……」
「コロナモン……どこ行ったの……?」

 炎の壁につつまれる。
 氷の壁が、溶けていく。
 それは二人を守るように円を描いて燃え上がる。不思議と、熱さは感じなかった。

 ブギーモン達は攻撃の手を止めた。このままでは城が焼失しかねないと、消火活動にあたり始めたのだ。

 周囲に敵がいなくなったことを確認すると、獅子はガルルモンの側へと降り立った。

「……」

 獅子の目には不安の色が見えた。しかしガルルモンは躊躇う事なく、自身より少しだけ小さな獅子の頬に寄り添う。

「生きていてくれてありがとう」

 その言動に獅子は驚く。わずかに瞳を濡らして、瞼を伏せた。

「どうして……俺だって」
「お前しかいないだろう。それに……どんな姿になったって、わかるよ。お前のことは」
「…………ガルルモン、俺は……」
「すぐ離脱しよう。今ならきっと行ける。……今の、名前は?」
「……ファイラ……ファイラモンだ。今は……」
「ファイラモン。……頼む。僕に退路を作ってくれ。今、君にしか出来ないことだ」

 頼む、と。
 戦闘でここまで背中を預けてもらえたことは、初めてだったか、それとも覚えていない程に過去の事だったか。
 その言葉はあまりにも嬉しくて、胸が苦しくなる。

「…………ああ、わかった……!」

 ファイラモンとガルルモンは、蒼太と花那の元へ急いだ。
 炎の壁を抜けて、彼らの目の前に。

 先程までファイラモンがいた血溜まりは黒く錆びている。刺さっていた槍は砕けている。大事に持っていた腕輪も落ちている。

「……」

 蒼太は、見知らぬ獅子と目線を交わせた。怖くはなかったが、ひどく困惑した。コロナモンはどこに行ったのか。何故、この獅子は自分達の元へと来たのか。

「二人とも……!」
 
 傷だらけのガルルモンが、蒼太と花那を鼻で撫でた。

「すぐに助けに行けなくて、ごめん。怖かったよね。本当に……無事でよかった……」
「……ねえガルルモン。コロナモンが……さっきまでいたのに、いないの……」
「……花那、それは……」
「そのデジモンは……? コロナモン、どこに行ったの……?」

「もう、大丈夫だよ」

 獅子から、聞き覚えのある声が漏れた。

「助けてくれてありがとう。花那、……蒼太」

 ────名前を呼ばれた途端、二人は目の前の存在が、あの小さな友人であることを理解する。
 姿が変わっている事への理解は出来ていない。しかし、生きている。生きていてくれた。身体を貫かれていた彼は、生きて名前を呼んでくれた。
 
 二人は堰を切ったように涙をこぼした。花那は足の力が抜け、膝をついた。そのまま声を上げて泣いた。

 蒼太は、泣きながら獅子へと駆け寄った。

「……コロナモン……!!」

 手のひらにデジヴァイスを握りしめたまま、姿を変えたパートナーの元へと。



◆  ◆  ◆

ID.5023
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:21


*The End of Prayers*  第17話 D


◆  ◆  ◆



 光の中から突如として現れた獅子に、驚愕したのは城のデジモン達だけではなかった。

『なんて……なんて事……! 嗚呼! そんな! まさか!』

 ウィッチモンは思わず応戦する手を止め、モニターに顔を寄せる。──その表情には、いくらか恍惚の色さえ見えた。

『信じられない!! こんな……これが……パートナーによる正当な進化……!!』

 使い魔を獅子の元へ走らせる。ブギーモン達もその後を追う。

「蒼太。腕輪を持って、俺の背中に乗って!」
「花那はこっちへ。しっかり掴まって、絶対に手を離さないでね」
「ま、待ってガルルモン! 二階に手鞠たちがいるの!」
「大丈夫、彼らも迎えに行くよ」
「ウィッチモン! 使い魔を引っ込めて! 先にチューモンとユキアグモンのフォローに行って!」
『……かしこまりまシタ! どうか健闘を!』

 使い魔は軌道を変え、ブギーモン達の視界を遮りながら消えていく。

 ファイラモンは蒼太を背に乗せ飛び上がる。ブギーモンの飛行よりも高く、高く。蒼太は振り落とされないように、たてがみを握り締めていた。
 ブギーモンはその高さに届かない。獅子は高みから火炎弾を落としていく。花那を乗せたガルルモンは、瓦礫を足場に後を続く。

「逃がさねえ! 絶対に殺す! 殺してやる! よくも燃やしやがったな!!」

 ブギーモンの一体が槍を構え、獅子を目がけて飛び上がる。
 獅子は敢えて高度を下げて、口から炎を吐いた。正面から浴びたブギーモンは叫びながら落ちていく。蒼太は、思わず目を背けた。

「……コロナモン」
「蒼太、しっかり掴まってて。これから下に降りるよ」

 ガルルモンが瓦礫を飛び越えた。テラスへ飛び出し壁を駆ける。その姿を見届け、獅子も降下する。
 突然の浮遊感に蒼太は叫んだ。獅子の急降下は、さながら安全装置の無いフリーフォールであった。

 二階のバルコニーを目指す。
 逃げ出すことさえできればこちらのもの。ブギーモン達は、そう簡単に城の結界を出られない。
 城の裏側のバルコニーに子供達の姿を見つける。まだ逃げていなかったことに、蒼太は驚いた。先に逃げると言っていたのに。
 ファイラモンが先にバルコニーへ降り立つ。その姿が自身の仲間と異なることに気付いたユキアグモンが、慌てて二人を逃がそうとしている。

「ユキアグモン! 俺だよ! 蒼太だ!」

 馴染みある声に動きが止まる。誠司が気付き、両手を降って自分達へ呼び掛けた。

「! そーちゃん! ここだよ! ……すげえ……あれがそーちゃんのパートナー!?」
「……ぎー。ゴロナモン……進化しだ……」
「おーい! ……ん? ユキアグモン、何て言ったの?」
「……ぎぃ」

 ファイラモンが降り立つ。蒼太は誠司と手鞠に駆け寄った。

「誠司、宮古! 先に逃げてって言ったのに!」
「オレたちだけで行けないよ! 村崎は!?」
「大丈夫、すぐ来るよ!」

 言葉通り、程なくしてガルルモンがバルコニーに到着した。
 
「花那ちゃん……!」
「手鞠! 誠司くんも無事でよかった!」
「待って花那、降りないで。──すぐ出発だ。ユキアグモン、パートナーと僕の背中に乗って。チューモンたちは彼の背中に」
「えっ、えっと、これ、村崎のパートナー?」
「そうだよ! 自己紹介は後でやるから早く!」

 突然現れた大型のデジモンに戸惑いながら、誠司と手鞠はガルルモンとファイラモンに乗る。

 バルコニーから飛び降りる。
 程なくして、図書館の扉が蹴破られる音がした。子供達を探す怒声が去り際に聞こえてきた。

「ね、ねえ、わたしたち、どこに行くの?」
「とにかく、城の外だ。この外壁の高さは、ガルルモンじゃ登れない」
「お城の外に出たら、わたしたち助かるの……?」
「城の結界を越えれば、ブギーモン達はそう簡単には追って来られないからね」
「結界なんてあったの? まあいいけど、どうして越えたら追って来ないなんて言えるのさ」
「結界の外は毒だらけだ。それに……フェレスモンが許可した以外のウィルス種は、結界を通ると死ぬらしい。城の中には許可が出てないデジモンもいるはずだ。だから奴等は、そう簡単には追って来ないよ」
『……いえ、待ッテくだサイ。そういえばチューモンは……』
「ちょっと待て! ふざけんじゃないよ!」

 チューモンが慌ててファイラモンの毛を引き抜こうとした。

「止まれって!」
「痛い! 痛いよ!」
『チューモンはウィルス種デス。結界を通れば死ぬ……!』
「ウチがフェレスモンの許可なんてもらってるわけないだろ!
 おいウィッチモン! まさか伝えてなかったの!?」
『も、申し訳ございまセン』
「危うく死ぬ所だった!」
「わかった、わかったよ。大丈夫だから手を離して。
 ……チューモンとパートナーは別の方法で戻ろう。蒼太の腕輪でリアルワールドに帰るんだ。パートナーと一緒なら、きっとあの道も抜けられる」

 ファイラモンは少し後ろを走るガルルモンを呼び止め、事情を伝えた。

「──だから、ガルルモン達は先に外に行ってて。俺たちは二人を送ってから行く」
「……わかった。城門を抜けたら真っ直ぐ進んで、領地の途中で待ってるよ。もっとも、外からのデジモンが襲ってこなければ……だけど」
「もし見当たらなければ、空から探すよ。大丈夫だ」
「任せたよ。なるべくそうならないことを願ってるけどね。……送るまで、蒼太たちを守ってあげてくれ」

 もちろんだ、とファイラモンは強く頷く。

「……手鞠……!」
「花那ちゃん……」
「また、学校で……! 私もすぐに帰るから……!」
「……うん!」

 ガルルモンは再び走り出す。花那は小さくなっていく手鞠の姿を、視認できなくなるまで見つめ続けた。



◆  ◆  ◆



「コロナモン、ブギーモンたちが……!」

 図書室の窓は壊され、バルコニーからブギーモン達が溢れてくる。
 ガルルモンが倒し損ねたミノタルモンは、再び見張り台に登り、ファイラモンを打ち落とさんと空へ照準を向けていた。

「……すぐにゲートを開くのは難しそうだ。城の壁を崩して足止めするか……。いや、ミノタルモンを先に倒して、城の上で開くか……。……いずれにせよ撒かなくちゃ……!
 二人とも、しっかり掴まってて。特にチューモンは振り落とされないように」
「! み、宮古! ジェットコースター平気!?」
「えっ!? あ、あんまり……」
「こ、これ、レバーとか付いてないから! コロナモンのたてがみ、絶対離さないで!」
「えっ……え! 待って……!」

 二人の叫び声をつれて、ファイラモンは高く飛び上がる。

 ミノタルモンの砲撃を避けながら、ブギーモンの届かない高さへと。そして、上空からひたすら城のデジモン達へ火炎弾を放つ。

「あまり時間もかけられない……けど数が多すぎる! ……やっぱり、ミノタルモンから先に……!!」

 自身の標的を、ミノタルモンただ一体へ。
 咆哮を上げる。ミノタルモンもまた獅子を見据え、雄叫びを上げながらアームの照準を定めた。

「ダークサイドクエイク!!」

 アームからの衝撃波が砲撃となってファイラモンを狙う。──本来は地面に衝撃を放ち、大地震を起こす技であるが──それを凝縮し空に放つことで、彼という存在はさながら大砲そのものとなった。

 砲撃は完全にかわさなくてはならない。かすめればその衝撃が、背に乗せた蒼太と手鞠たちを襲うからである。

「ファイラボム!!!」

 額に集中した炎の弾は、砲撃と相殺されて煙を巻き起こす。煙から逃れる為に距離を取った。
 
「……二人ともちゃんと掴まってる!? チューモンもいる!?」
「ウチは手鞠が落ちなきゃ大丈夫だ!」
「蒼太!」
「き、きもちわるい……! ……み、みやこ、宮古の顔がやばいよ! 倒れて飛んでいきそう!」
「……ッ蒼太とその子の位置を変えて! 蒼太は後ろに!」
「ここで!? 無理だよコロナモン!」
「一度あそこに降りるから!」

 煙はまだ上がっている。砲撃と火炎弾を何度も打ち合いながら、更に距離を取っていく。
 城壁が段差状になっている場所を見つけて降り立ち、体勢をかがめた。

「蒼太、今のうちに!」
「あ、足が震えて……」
「急がないと今度はブギーモンが来る!」

 蒼太はよろめきながら降りて、今にも気を失いそうな手鞠を、ファイラモンの後頭部にもたれかけさせた。そのすぐ後ろに蒼太を座らせ、手鞠を抱えるように自身のたてがみを掴ませる。

「これでその子が気を失っても大丈夫だ。蒼太、しっかり押さえつけててね」
「……コロナモン、次は安全ベルト付けたいよ……」
「次なんて無いのが一番だよ。
 それと、チューモン。ひとつ頼みたいことがあるんだけど……」
「……は?」

 ──煙が晴れていく。ミノタルモンの姿が鮮明になる。
 ファイラモンは再び臨戦態勢に戻った。

「蒼太、絶対に、頭をあげないで。伏せてるんだよ。頭を上げたら、死ぬかもしれない」

 ファイラモンは体勢を、低く、低く。四本の脚の筋肉を震わせる。
 牙を剥く。後肢が石にめり込む。力を込める。強く、強く。

 ────蹴り出す。

 蒼太は、ボンッ、という音を聞く。直後、猛スピードで自分達が飛んだことに気付く。
 直進していく。新幹線に乗っている時のような感覚。

 ミノタルモンは一直線にこちらへ向かってくる、ファイラモンが理解できなかった。正面衝突でもしてくるつもりなのか。しかしそれでは確実に、本体が生き残っても乗ってる人間が巻き込まれて死ぬ。

 理解できぬまま砲撃し続ける。ファイラモンも火炎弾を放ち、再び周囲に煙が舞った。

「くそ……照準が合わねえぞ! どこにいる!?」

 周囲に視線を回し警戒するが、それでも火炎弾は正面から撃ち続けられた。──この煙だ。軌道を変えても良い筈なのに、それでもまだ真っ直ぐ向かって来ているなんて。

「どういうこっだ……!? 本気で人間を死なせるつもりか!?」

 距離が縮んでいく。撃ち合いによる煙も広がっていく。それでも火炎弾は正面から来る。
 ──いや、これは罠だ。ミノタルモンは考える。ギリギリまで直進して、突然に軌道を変えて自分を狙ってくる。そうしなければ人間が死ぬ。

「だが下から来れば……人間が丸出しだ! …………上か!」

 下方向にも注意を払いながら、アームの照準をやや上に向けた。
 深くなる煙を凝視する。動きを狙う。

「……!」

 先程のファイラモンの位置よりもやや上の方に、新たな煙が立ち上がった。ミノタルモンはアームを上に向けたまま砲撃した。

「やっぱりだ!」

 煙は上方向で何度も巻き上がる。ミノタルモン自身の周りも煙で覆われ、もう視覚での照準は当てにならない。
 ミノタルモンは絶えず砲撃を続ける。もう軌道も変えることが出来ないくらいに。

「逃がさねえ! 行かせねえ! これで!! ダークサイド──」

 ──その時。
 自身の首から下の位置を、大きな何かが横切ることに気が付いた。

「…………は?」

 ──じゃあ、あそこで巻き上がってる煙は何だったんだ?

 すれ違い様に、耳元で声が聞こえた。

「良いだろ、“チーズ爆弾(ボム)”。そのデカい口で食ってみるかい」

 そして通り過ぎた影から投げられた小さな“チーズ”が、ミノタルモンの目の前で爆発した。

「──っっっっぎゃああぁぁぁあっ!!!」

 通り過ぎた影は背後で停止し、ミノタルモンに狙いを定める。──両手で目をおさえているミノタルモンは気付くことができなかった。

 ファイラモンの額に、牙に、前肢に、炎が集まる。
 空を蹴って、今度こそ一直線にミノタルモンへ向かう。

「……フレイムダイブ!!」

 突進する。
 ミノタルモンは見張り台から突き飛ばされ、その衝撃で背中を砕かれる。
 ファイラモンは追い討ちをかけるようにミノタルモンを前肢で掴んだ。首筋から爪を立てて──

「ファイラクロー……!!」

 深く深く、焼き切った。

 ミノタルモンは背部から大量の血液と内臓を撒きながら落ちていく。

「…………」

 落下の最中に力尽きたのか、ミノタルモンは光の粒子となり飛散した。
 ファイラモンはその姿を横目で見ながら、蒼太たちを降ろすことができる場所へと向かった。



◆  ◆  ◆



 先程の戦闘で、上に乗っていた蒼太達はひどく疲弊していた。

「二人とも大丈夫……!?」
「……も、もう、きついよコロナモン……」
「……ごめん。でも、置いて行くわけにも行かなかったんだ」
「それよりウチの、ウチのおかげだぞ! さっきの! さっきからウチばっか活躍してるんだけど! もっと待遇良くてもいいんじゃない!?」
「……ああ、君のおかげだチューモン。君のチーズ爆弾(ボム)がなかったら、ミノタルモンの注意を引けなかった」
「成熟期ならもっとこう、うまくやれって! もう疲れた!
 ちょっと手鞠しっかりしな! もう嫌だこんな場所! 帰るよ!」
「…………う、……うん……」
「宮古、大丈夫? 歩ける?」
「……た……たぶん……」
「だいぶキツそうだね。まあ、乗り心地は最悪だったから仕方ないけど」
「……ごめんね。本当に。でも、ここでゆっくりはできないんだ。だからリアライズゲートの中で休んで欲しい。チューモンも。
 リアルワールドに行けば、今までよりもたくさんご飯も食べられるし、何より……もう、命を脅かされることもいよ」
「……ありがたい話だね。前にも聞いたよ。でも手鞠は少し休ませてくれ。ゲートに入った途端に吐かれたら困るし。もうブギーモンは頑張ってアンタが追い払ってくれよ」
「そ、そんなこと言われても、俺にだって限度はあるし……」
「……あれ? ねえ、コロナモン」

 蒼太がまじまじと城の様子をうかがう。

「ブギーモンたち、こっち来ないよ」
「え?」
「バケツ持ってる……城が燃えちゃったから、皆で水かけてるんだ」
「じゃあ丁度いいじゃん。ちょっと休憩だ。手鞠も立てない歩けないってさ」
「……す、少しだけ……。……ごめんね……」

 手鞠は本当に腰を抜かしているようで、歩くどころか立つことも難しい様子だった。ひどく、青い顔をしている。

「……わかったよ。本当に少しだけだ。もし来たら……すぐゲートを開くんだよ。それまで俺がちゃんと見ておくから」

 ファイラモンの言葉に、手鞠とチューモンは気が抜けたようにその場で倒れこんだ。蒼太は少し離れた場所へと急ぎ、そして静かに嘔吐した。



◆  ◆  ◆

ID.5024
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:23


*The End of Prayers*  第17話 E
◆  ◆  ◆


 ファイラモンがミノタルモンとの戦闘を繰り広げている頃、ガルルモンもまた、追いかけてくるブギーモンと戦いながら結界を目指していた。

 バルコニーからのブギーモンが後ろから、そして進行方向となる一階部分の出入口から、ブギーモン達が絶対に逃がすまいと立ち塞がる。

「ホワイトヘイル!!」
「フォックスファイアー!!」

 ユキアグモンが後方を、ガルルモンが前方を、それぞれブギーモンを寄せ付けまいと交戦する。

『バルルーナゲイル!!』

 ウィッチモンが更にガルルモンのフォローに入る。前方のブギーモンは、炎と竜巻で近寄ることが出来なかった。

「な、なあ、村崎! どこまで走ればゴールなの!?」
「前に変なモヤモヤの壁みたいの、見えるでしょ!? ……あとちょっとなのに……!」
「が、ガルルモン! もしかしてオレたちのこと気にしてるの!?」

 自分達を守っているせいで、思ったように走れないのではないか──誠司は懸念した。

「逃げきる方が先だよ! もっとスピード出していいよ! 突っ込んで!」
「ちょ、ちょっと、いきなり何言ってんの!」
「多分きっと大丈夫だから! ユキアグモンがなんとかしてくれるって!」
「ぎ!? ……ぎ、ぎー!」
「…………わかった!
 二人ともなるべく伏せて! ウィッチモンは上空を、ユキアグモンはそのまま後ろを頼む!」
『了解しまシタ!』

 ガルルモンは防御を全て二人に託した。
 スピードを上げる。突き進んでいく。槍を構えて向かって来るブギーモンを、ウィッチモンが一体ずつ迎撃していく。

『アクエリープレッシャー!! ……前方あと二体! 後方は五体デスが距離がありマス!』
「よし! よし! このまま突っ切る!! しっかり掴まれ!」

 ──走る。走る。全速力で。
 目の前の結界まであと少し。城門は閉められている。──問題ない。門は外壁よりも低い。ガルルモンが一度で飛び越えられない高さではない。

 スピードは増していく。背中の子供達は必死にしがみついている。
 立ち塞がるブギーモンは最後の一体。問題ない。あとはもう、駆け抜けるだけだった。

 地面を蹴り、ブギーモンの上空へ。
 そしてブギーモンの頭を踏み台に、ガルルモンは高く飛び上がり──城門を飛び越えた。

「うおおおおおっ!」

 結界を抜ける。

 見覚えのある荒野へ、着地した。

 灰色の空は、夜明けが近いのか少しだけ明るい。自分達がメトロポリスを出発した時と、同じ色をしていた。

「……やった……オレたち……本当に逃げられたんだ……!!」

 誠司は両手を上げて喜んだ。落ちそうになって、ユキアグモンに支えられる。

 ガルルモンはそのまま走り続けた。城となるべく距離を取るためだ。
 花那は振り返る。ブギーモン達は、自分達の結界を越えようとして来なかった。結界の外に出るのが怖いのか、それとも結界を越える許可をもらっていないのかは、わからない。

「……ねえガルルモン、蒼太とコロナモンとはどこで会うの?」
「もっと離れた場所まで行って、そこでだ。ブギーモンがすぐに追って来られない所まで。……大丈夫。ファイラモンなら、ちゃんと僕らを見つけてくれるから」
「……ファイラモン?」
「コロナモンのことだよ。……そういえば言ってなかったね。僕たちデジモンは、進化すると名前や姿が変わるんだ。びっくりしただろう」
「……進化……コロナモンが……」
「他にも色々、変わったことがあると思うけど……それは彼に直接聞くと良いよ。話す時間はたくさんあるんだから」

 そして、城に向かう際に通ってきた、フェレスモン達に焼き払われた領地を駆けていく。ガルルモンはスピードを落とし、身を潜められる場所を探す。

「……村崎のパートナー、なんでそんな険しい顔してるの?」
『城を出たからと言って、決して安全ではないからデスよ。結界の外も敵ばかり。油断はできまセン』

 結界を越えれば、そこには毒に侵され凶暴化したデジモン達がいる。そうでなくてもダークエリアは生存競争の激しい地域だ。危険は尽きない。

「……そんな……。じゃあ、オレたち、どこ行けば……」
『……要塞都市の迎えがまだ着かないようデスので、ファイラモンと合流したら一度……メトロポリスに戻ッテもいいかもしれまセン。
 ただ、できればこの付近で待機したいのも事実デス。ブギーモン達は、要塞都市の遣いが城に向かっていると言ッテいまシタから』
『フェレスモンの城は、ほとんど情報が入ってこないんだよね? なのにどうして、その情報だけは入って来たんだろう……』
『フェレスモンと城との間に全く連絡手段が無い、とも考えにくいデスから、恐らくフェレスモンが得た情報が城に行ったのでショウ』

 焼けた領地の一角に、まだ崩れていない石の建物を見つける。
 ウィッチモンの使い魔が中を探った。

『……まあ、生きているデジモンは、いないでショウね』
「……そうだろうね。この建物、崩れなければここで休もうと思うんだけど、どうだろう」
『解析しマスので少々お待ち下サイ。………………ええ、今の所は問題ないかと。恐らく炎には強い石材だったのでショウ。……きっと、中だけが焼けていった』
「……匂いは特に感じないけど、周囲にデジモンの反応はある?」
『こちらも、今のところは』
「……よし。決定だ。花那、ユキアグモンとパートナーの子も」
「オレ、誠司っていいます!」
「……誠司。君たちは少し休憩しよう。僕とウィッチモンで見張りはするから、大丈夫だよ」
「……ガルルモンは休まなくていいの? そんなに怪我してるのに……」
「…………大丈夫。死ぬ程じゃないからね。それに僕がいないと、ファイラモン……コロナモンが、僕らを見つけられないだろ?」

 花那の背中を鼻で押す。花那は心配そうに、誠司達と建物の中へ入って行った。

 ガルルモンは、無事に城を抜け出せたことに安堵し、息をついた。
 ──空を見上げる。灰色の空に浮かぶ赤い太陽のように、ファイラモンが自分達の前に戻ってきてくれるのを待つ。彼らの無事を、願いながら。



◆  ◆  ◆










「それで、君達は一体、私の領地で何をしているのかね?」










◆  ◆  ◆






第十七話  終



ID.5025
 
■投稿者:組実  HOME
■投稿日:2018/07/07(土) 15:54


*The End of Prayers*  第17話 あとがき
4か月ぶりの投稿となります。くみでございます。お久しぶりです。

前回に頂きました感想はなめまわすように何度も拝見させていただいております。大変うれしくありがたくそして励みになっております!
返信はもう少々お待ちくださいませ。申し訳ございません。


さて、今回は激動?の17話でございました。
そして1話ぶりにストーリーストーリー挿絵があります!!笑

お城ってロマンがありますよね。夢の国のシンデレラ城とか、内部をくまなく探索したい好奇心が今でもあふれております。
そんなお城の探検からわちゃわちゃタイムに突入したわけですが、過去にミノタルモンとフーガモンの会話(13話より)にて、ブギーモンはリアルワールドから帰還してすぐにフェレスモンの遠征に途中参加しに行ってしまっていて、60体+αの従者は20体くらいにまで減っています。ラッキーでしたね。これがフルメンバーだったら流石に今回の展開でもリンチされて終わっていたでしょう。

ガルルモンとコロナモン、そしてコロナモンとパートナーたる蒼太との絆を再確認したところで、次回18話へ続きます。果たしてどうなってしまうのか、お楽しみにして頂ければと思います。


以前までのお話についてはホームページからご覧ください!
スマホだとなかなか見づらいので、ちゃんと見れるようにリニューアル!途中です!あしからず!
スマホで見られるなら横画面で、一番の安全策としてはPCかタブレットが推奨です。
インラインフレーム難しいよママ……


それでは次回、またお会いしましょう!
ご拝読いただきありがとうございました!

ID.5032
 
■投稿者:夏P(ナッピー)  MAIL
■投稿日:2018/07/11(水) 00:30


恐怖で腰が砕けそうな僕ら
 待っていた! 17話! 夏P(ナッピー)です。


 ゼルダの伝説風のタクト序盤、初めて魔獣島に訪れるも剣を落として見張りのモリブリンに見つからないよう恐怖しながら恐る恐る進んでいったあの頃を思い出しつつ、小学生の子供達を肉体的にも精神的にもとことん追い詰めこのディオがジョースター家の財産を奪ってやる、なんて酷い真似をしてくれるんだと言わんばかりの閉塞した雰囲気が長らく続いた中でやっと得られた解放感! アカンいきなりコロナモン死んだなんてことをしやがるんだァァァァと戦慄してたら、やっと待ち望んだ瞬間!
 元よりメインとなるのがコロナモン&ガルルモンのコンビだったのは、進化した時に炎と氷(氷ではなく青い炎な気もするが私は謝らない)の獣が肩を並べる展開の布石であったか! よく考えれば正統進化の完全体も同じく二足歩行で立ち上がった獣だ!
 笑うところではないはずですが、自然に城を脱出してたら危うく死ぬところだったチューモンに笑いました。意図せず仲間に殺されてはたまらん!


 何気にガルルモンも乱戦の中、ちぎっては投げ、ちぎってはなげの大活躍。しかしブギーモン明確に殺害してる描写入ってることが何か闇を落としそうな……? 02で言う「倒すしか無かった、許してください」イベントを普通にこなしてしまった感。あとちょこちょこ出てきてたミノタルモン死んだァァ!!
 あと今まで賑やかしだったみちるさんとワトソン君がいいこと言ってる……この二人、やっぱ何か秘密があるのかしら……?


 え、これもしかしなくても紳士だろティータイムとか招待してくれる奴だと思いつつ、次回もお待ちしております。